投稿者アーカイブ:岡本全勝

有償ボランティアへの抵抗

2022年5月21日   岡本全勝

読売新聞連載・時代の証言者、堀田力さん、5月19日はボランティアに取り組んだ初期の頃の思い出です。「堀田力さん、敵は後ろにも

・・・専業主婦を中心にチームを組んで支える動きは芽生えていたものの、「ただで助けてもらうのは気が引ける」という高齢者も少なくありません。そこで少額の謝礼を受け取る「有償ボランティア」活動の普及に取りかかりました。しかし、それほど簡単にことは進みませんでした。
「ボランティアは無償であるべきだ」という強い信念を持つ団体が多くて、私が講演すると「有償はいんちきだ」「新参者が何を言うか」とよく叱られました。また、「ボランティアはしたいが、謝礼は受け取りたくない」という人もいました。そこで謝礼金を団体が一時預かり、将来、その人が助けを受ける時、それを謝礼金として渡す「ふれあい切符」という時間預託型システムを提唱しました・・・

つい最近まで、ボランティア活動は無償だと考える人が多かったのです。非営利活動と無償との区別がつきませんでした。私も、そうでした。

福島被災地視察

2022年5月20日   岡本全勝

昨日5月20日は、福島県の南相馬市と浪江町、双葉町、大熊町に行ってきました。アイリスオーヤマが、南相馬市に工場を建ててくださって、その竣工式に招かれました。

 

 

 

 

 

 

何度も発言していますが、公共施設を復旧しただけでは、まちの暮らしは戻ってきません。働く場がないと、暮らしは成り立たないのです。そしてこの地域は、原発に依存していました。廃炉が決まったので、関連産業が再開しませんし、それを支えていた飲食店などのサービス業も再開できません。
新しい産業が必要なのです。とはいえ、日本全体を見ても製造業はアジアに出て行き、企業誘致は簡単ではありません。この地域では、経済産業省が持てる力を発揮して、産業再生に取り組んでいます。
アイリスオーヤマの大山健太郎会長は、自社の持っている能力を産業復興につぎ込んでくださっています。農業再生、工場建設などです。感謝します。

久しぶりの被災地だったので、浪江町、双葉町、大熊町の復旧ぶりを見てきました。コロナ禍もあり、原発被災地に行くのは1年半ぶりです。それぞれに見違えるように復興が進んでいました。町長や職員皆さんが笑顔なのが、うれしいです。まだ復興の拠点となる狭い地域ですが、まずはここを整備して、さらに広げていきましょう。

連載「公共を創る」117回

2022年5月20日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第117回「国民・社会の政府に対する意識」が、発行されました。
第97回(2021年10月28日)から、社会と政府の関係を考えています。ここまでは、政府による社会への介入を考えましたが、今度は逆に国民や社会からの政府に対する意識について考えます。

人々による社会や政府への信頼は、重要な関係資本であり、文化資本です。法を守る、政府を信頼する、あるいは政府に依存しない自立精神などで、安心できる社会ができたりできなかったりします。
政府は、私たち国民に規制をかけたり、サービスを提供したりする「主体」(国民が客体)である一方で、私たちによってつくられ、操作されるという「客体」(国民が主体)でもあります。

その国民と政府との関係を、大まかに三つに分類しましょう。国民による統制、機能の対応、信頼関係です。
国民による統制は、国民が政府を選ぶことであり、その政府が行っていることについて国民に説明することです。
機能の対応は、国民からの納税、要望、異議申し立て、許可などの申請と、政府による規制やサービス提供です。
そして国民は、個別政策や政治的行為について意見を持つとともに、それらを通じて政府に対する全般的な意識を形成します。それは政府に対する何らかの期待、それに応じた政府の応答、それについての国民の評価を通してつくられる政府への信頼です。ここで取り上げるのは、この3番目の信頼関係です。

戦後はいつ終わるか

2022年5月19日   岡本全勝

5月18日の肝冷斎「むかしむかしのこと」は、中国の明の時代の話ですが、末尾に次のような文章があります。
・・・中公新書の「中曽根康弘」を読んでいるんですが、中曽根さんが総理になったのは昭和57年(1982)だったそうです。それからもう四十年経ちました。中曽根さんが「戦後政治の総決算」と言ってた「戦後」がその時までで37年間だったので、それよりも今までの方が長くなってしまったのだ・・・

指摘されて、驚きました。確かにそうですね。
私は、若いときは戦後を区切るとしたら、1970年の大阪万博(日本が経済成長をして先進国の仲間入りをした時点)であり、1973年の石油危機(高度成長が終わった時点)だと考えていました。最近は、1991年のバブル崩壊が区切りだと考えています。「経済成長の軌跡
戦後は既に77年です。沖縄が返還されて50年になりましたが、アメリカ占領下が27年ですから、その2倍近くの時間が経ちました。

戦後77年の転換点を1991年だとすると、1945年からは46年間、2022年までは31年間です。時間的に中間点とはいえませんが、それに近いのです。
さて問題は、いつになったら「戦後は終わった」と言えるかです。それを連載「公共を創る」で考えています。

社員のやりがいが企業の業績を上げる

2022年5月19日   岡本全勝

5月10日の日経新聞経済教室は、鶴光太郎・慶大教授の「その資本主義、新しい?」でした。
岸田首相が提唱する「新しい資本主義」、アメリカでも見直されつつある「会社は株主のためにある」という考え方、国連が提唱する持続可能な開発目標SDGs)など、現在の資本主義では行き詰まったという意見があります。
他方で、日本においては、失われた30年を反省し、産業再生の途が模索されています。

記事には、次のような指摘があります。
・・・一方、大きな時代・環境変化の中で、時間視野の長さに依存しない「ステークホルダー資本主義2.0」ともいうべき「新しい資本主義」の胎動を感じることも増えた。例えば、今、日本の超優良企業では、働き方改革をさらに進化させ、従業員のウェルビーイング(肉体的、精神的、社会的に良好な状態)を高めることで企業業績を高めようとする取り組みが広まっている。これはやりがいやワーキングエンゲージメント(熱意、活力、没頭)といった要素も含む広い概念だ・・・
・・・(調査では)例えば、従業員のワーキングエンゲージメントが高い企業は利益率も高いという傾向がある・・・また、健康経営の取り組みは企業業績を高めるという分析結果もその好例だ・・・

従業員が仕事に頑張るのは、報酬(給与と地位)とやりがいです。