投稿者アーカイブ:岡本全勝

竹内行夫さんの外交証言録

2022年5月26日   岡本全勝

竹内行夫さんが「外交証言録 高度成長期からポスト冷戦期の外交・安全保障 国際秩序の担い手への道」(2022年、岩波書店)を出版されました。500ページ近い大著です。
かつては、官僚も回顧録を書くことがありましたが、最近では少なくなりました。残念なことです。政治主導は望ましいのですが、例えばこの本のように、この30年間の日本外交の軌跡を話し、書ける政治家はいるでしょうか。

竹内さんが活躍され、本書の対象となったのは、冷戦後期から、冷戦が終了し、その後の変動期です。日本外交も、アメリカに追随しておればよい時期から、大変動の時代を迎えました。
この間の日本外交を外から分析することも重要ですが、当事者の語る中からの記録も重要です。もちろん、一人の外交官が日本外交すべてを語ることはできませんが、携わった事案については最も詳しいのです。ただし、書けないこともあるでしょう。

「はじめに」で竹内さんも書いておられますが、回顧録は自己弁護や美化という恐れがあります。竹内さんはそれを避けるために、残してあった膨大な記録を基に、記者と学者の聞き取りに臨まれたそうです。

竹内さんは、奈良女子大附属高校の先輩です。宮沢内閣で総理秘書官を勤められ、私は宮沢内閣の村田自治大臣秘書官で、お世話になりました。その後、定期的にお話を聞く機会があり、尊敬する先輩です。

世界の頂点で和食を出す

2022年5月26日   岡本全勝

5月13日の日経新聞夕刊に「松山英樹、和のもてなしでも世界魅了」が載っていました。松山選手は、去年「ゴルフの祭典」といわれるアメリカのマスターズ・トーナメントで優勝しました。この記事は彼が今年、歴代優勝者の夕食会の主催者役を務めたことを取り上げたものです。
緊張して、初めて英語で紙を見ないで話をしたことが書かれています。話し終わると、これまた緊張して聞いていた出席者が、立ち上がって拍手をしたそうです。

さてここで紹介するのは、その席で提供された食事が、松山選手が選んだ和食だったことです。寿司、刺身、銀ダラの西京焼き、牛、イチゴのあまおうです。お酒は日本酒です。皆さん、とても喜んでもらえたようです。
うれしいですね。

市町村アカデミー研修、現地調査

2022年5月25日   岡本全勝

職員研修と聞くと、教室に座って講師の話を聞くと想像する人が多いです。確かにそのような形が多いのですが。聞くだけでは身につくことは限られていて、参加する方が身につきます。
市町村アカデミーでは、ほぼすべての研修に課題演習(討議)を組み込んでいます。課題をアカデミーで準備する場合、研修生に持ち寄ってもらう場合などがあります。班に分かれて討議します。講師や教授が巡回し、必要に応じて助言しますが、あくまで研修生たちの自主性を重んじています。そして、各班の討議結果を全体会合で発表し、講師が講評します。
このような参加型研修は、座って聞くだけの研修とは効果が違います。楽な研修は効果が少なく、負担が効果を高めます。スポーツも同じです。

さらに、現場を見て研修することもあります。今朝は、「既存の建物等を活用した地域の再生」の研修生たちがバスに乗って、香取市に出かけていきました。現地調査は受け入れ先や指導教官などに負担がかかるのですが、それだけに効果が大きいです。

トイレの重要性

2022年5月25日   岡本全勝

5月12日の朝日新聞夕刊1面に「火事だ!トイレも現場へ 熱中症リスク・寒い夜…水分我慢しない 東京消防庁」が、大きな写真付きで載っていました。

・・・東京消防庁が昨年に導入した「トイレカー」が活躍している。この1年で40件以上の現場に駆けつけ、いったん出動したらトイレを我慢しがちになっていた署員の活動を支援してきた。消防だけでなく、災害に備えて移動式のトイレを配備する自治体も増えている・・・

・・・全国の自治体でも、トイレカーやトイレトレーラーの導入が相次いでいる。
東日本大震災をきっかけに組織された一般社団法人「助けあいジャパン」(東京)は、全国の自治体がトイレトレーラーを常備するよう呼びかけている。「みんな元気になるトイレ」プロジェクトと題し、災害時に自治体の隔てなく派遣し合うことを目指し、ふるさと納税を購入資金に活用することを勧めている。仕様によって異なるが、トレーラーはおおよそ2千万円前後という。
静岡県富士市は2018年に導入した。普段はスポーツ大会や花火大会といったイベントで使っているが、豪雨や台風の被害を受けた岡山県や千葉県、長野県にも派遣した。市の担当者は「臭うこともある仮設トイレより清潔で明るい。鏡や洗面台があり、化粧直しもできると女性からも好評だ」と話す・・・

災害直後の避難所でも、トイレ、温かい食事、快適な寝床が必要です。特に、トイレは辛抱できません。水や食料は運べるのですが、トイレは運べないのです。

こども食堂3

2022年5月24日   岡本全勝

子ども食堂2」の続きです。
近年、多様性(ダイバーシティ)の尊重が提唱されています。さまざまな事情を持った人たちが社会で活躍できるようにすることは、重要なことです。
この点に関して、湯浅誠著『つながり続けるこども食堂』(2021年、中央公論新社)に、次のような指摘があります。
「みんなちがって、みんないい」はよいことか。家族旅行に行くときに希望を聞いたら、父はハワイ、母は温泉、姉はディズニーランド、私はどこも行きたくない。では、みんなバラバラに行くのがよいのか。

これは困りますよね。湯浅さんは、多様性だけでは足りない、配慮が必要だと指摘します。その配慮は、英語ではインクルージョン(inclusion)で、包摂などと訳されますが、湯浅さんは「配慮」と訳します。
家族それぞれに希望が異なる行き先を、みんなで話を聞いて、配慮し合うことが必要です。みんなバラバラだけでは、困るのです。多様性と共同性を両立させるためには、各人の意尊重尊重とみんなでの配慮が必要です。

田村太郎さんは、ダイバーシティ(多様性)への配慮に関して、次のような指摘をしています。
「少数者(マイノリティ)への配慮」と言われるが、この言葉はおかしい。日本の人口では、女性の方が男性より多い。女性は少数者でなく、社会において男性より「劣位」におかれてきた。
そうですね。男性でも子育てや家族の介護・看護をする社員は「少数者」で、配慮されませんでした。