投稿者アーカイブ:岡本全勝

社員のやりがいが企業の業績を上げる

2022年5月19日   岡本全勝

5月10日の日経新聞経済教室は、鶴光太郎・慶大教授の「その資本主義、新しい?」でした。
岸田首相が提唱する「新しい資本主義」、アメリカでも見直されつつある「会社は株主のためにある」という考え方、国連が提唱する持続可能な開発目標SDGs)など、現在の資本主義では行き詰まったという意見があります。
他方で、日本においては、失われた30年を反省し、産業再生の途が模索されています。

記事には、次のような指摘があります。
・・・一方、大きな時代・環境変化の中で、時間視野の長さに依存しない「ステークホルダー資本主義2.0」ともいうべき「新しい資本主義」の胎動を感じることも増えた。例えば、今、日本の超優良企業では、働き方改革をさらに進化させ、従業員のウェルビーイング(肉体的、精神的、社会的に良好な状態)を高めることで企業業績を高めようとする取り組みが広まっている。これはやりがいやワーキングエンゲージメント(熱意、活力、没頭)といった要素も含む広い概念だ・・・
・・・(調査では)例えば、従業員のワーキングエンゲージメントが高い企業は利益率も高いという傾向がある・・・また、健康経営の取り組みは企業業績を高めるという分析結果もその好例だ・・・

従業員が仕事に頑張るのは、報酬(給与と地位)とやりがいです。

シダネルとマルタン展

2022年5月18日   岡本全勝

ソンポ美術館の「最後の印象派、二大巨匠 シダネルとマルタン展」がよかったです。
この二人の画家を、私は知りませんでした。「最後の印象派」と呼ばれるそうです。
印象派の後、前衛絵画が盛んになります。私たちが学ぶ西洋絵画史では、最先端を追いかけるので、その裏にあったほかの流れを知らないのですね。
印象派に幻想を加えた感じと、私は理解しました。私は印象派が好きで、前衛絵画はついていけないので、この展覧会が良かったと思うのでしょう。

マルタンは、フランス国務院(コンセイユ・デタ)の本会議場の壁画を描いています。今回は、その習作などが展示され、本会議場の壁画の写真と並べてあります。4面の壁を飾る壁画は、すばらしいもののようでした。
コンセイユ・デタはフランス政治でよく出てきたのですが、どこにあるかは知りませんでした。パレ・ロワイヤルに入っているのです。下院(国民議会)は、見る機会があったのですが。

市町村アカデミー、一流講師招聘の悩み

2022年5月18日   岡本全勝

市町村職員中央研修所(市町村アカデミー)では、研修講師に、それぞれの分野の第一人者を呼んでいます。皆さん、都合がつく限り、喜んで引き受けてくださいます。

ところで、そのような方をお呼びすると、時々難しいことが起きます。急きょ、別の催し物(国際会議など)や、国会審議に呼ばれるとかです。その分野の第一人者ですから、そのようなことも起きます。
その場合は、代わりの方を立てたり、録画収録で対応したりしています。

一流講師をお招きしていることの「危険」であり、「悩み」です。

こども食堂

2022年5月17日   岡本全勝

「こども食堂」と聞いて、皆さんはどのようなことを思い浮かべますか。貧困家庭の子どもが食事を提供してもらう場所と想像する人が多いでしょう。ところがそれだけではなく、もっとさまざまな機能を提供しています。そして、これからの行政のあり方を示しています。
湯浅誠著『つながり続けるこども食堂』(2021年、中央公論新社)を、お読みください。

確かに、貧困家庭の子どもの食事対策になっているのですが、子育てに疲れているお母さんの息抜きの場、相談する相手や話し相手がいないお母さんのつながりの場にもなっています。子どもたちも、栄養を補給するだけではなく、異年齢の子どもやお兄さんたち、おじいさんやおばあさんと遊んでいます。ほかにそのような場がないのです。おじいさんやおばあさんも、居場所を見つけています。

貧困家庭(赤信号)だけでなく、そこまではなっていないけれど困っている家庭(黄信号)を救っています。さらに問題ない家庭(青信号)にも、子どもや親の居場所を作っています。行政が業者を使って提供する食事でなく、おじいさんやおばあさんも役割を持つことで、その人たちが生きがいを見いだします。
食事というものを配っているだけでなく、つながりという目に見えない安心を配っている、その場を提供しているのです。

コロナ禍での「集まってはいけない」は、こども食堂に大きな制約を課します。食事を配るだけでは、居場所としての機能を果たすことができないのです。孤独・孤立問題に対して、何が重要かがよく分かります。詳しくは本を読んでください。
この項続く。「こども食堂の活動

個人情報の組織間共有

2022年5月17日   岡本全勝

日本都市センターの機関誌「都市とガバナンス」第37号に、寺田麻佑・国際基督教大学教養学部上級准教授執筆「異なる組織間における個人情報の取得・利用・共有―ポストコロナ時代の危機管理の課題―」が載っています。

「個人情報の取得や利用、共有は、緊急時において必要となることが多い。しかし、日本においては、組織を超えた利用に関して、各組織において個人情報保護条例や個人情報保護法の解釈が異なる結果、必要な情報が共有されずに緊急に必要な支援などがなされないという事態が発生している。
この点については、2021 年の個人情報保護法改正によって制度改正がなされたこともあり、大きく状況は変わるものと考えられるが、改正個人情報保護法の完全施行前の現在は、自治体・組織間における個人情報の共有にまだ大きな課題がみられる。ポストコロナ時代の危機管理のためにも、緊急時や災害時においては、人命が何よりも優先されることから、個人情報の緊急時における取得・利用・共有については、法改正前からも可能であったことが認識される必要がある。
本論考は、危機発生時の組織間の個人情報の取得・利用・共有について、コロナ対応のための法改正と災害法制を振り返り、通知やガイドラインによって主に共有が促進された現状には限界があることを指摘し、ポストコロナ時代の危機管理としても、緊急時・災害時における個人情報の取得・利用・共有が可能であることについて、法律に明記すべきであることを提案するものである。」

個人情報の組織間共有について、日本の法と条例の課題とともに、ドイツでの実態がまとめられています。