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秋の一日

今日は、たまっている副業準備を放棄して、美術館巡りに。東京国立博物館では大徳川展、東京都美術館ではフィラデルフィア美術館展、さらに三井記念美術館で安宅コレクションを。
前2者は、混雑で人の頭を見に行ったようなものでした。武具と嫁入り道具で徳川将軍を理解するには、無理がありますね。アメリカの美術館にヨーロッパ絵画を見に行くことも、優品がそろってはいるのですが、何か変な気がします。私は、印象派までしか、わからないし。
安宅コレクションは、大阪市立東洋陶磁美術館で見て以来、久しぶりです。何度見ても、素晴らしいですね。今回は、それぞれの解説のほかに、それを安宅さんが手に入れたときのいきさつや様子が添えられています。透明のフィルムで、ガラスケースの上部にさりげなく貼られているので、最初は気がつきませんでした。それがなかなか、読み応えがあります。数百年の歴史を越えた壊れやすい陶磁器と、人間くささの対比を楽しんできました。

マスコミの力

12日の朝日新聞は、新聞週間特集で、新聞記者が取材で暴いた事件を取り上げています。一つは、朝日新聞北海道支社による、偽牛ミンチ(ミートホープ)事件です。疑惑のコロッケを買って、検査機関に持ち込んで肉の種類の鑑定までしています。「報道で批判して逆に訴えられると、数十億円単位の請求額になる」という心配を抱えてです。
もう一つは、北日本新聞(富山県)による、高校での世界史必修科目履修漏れです。もう一つは、各紙が追いかけた政治家とカネの問題です。
それぞれ、地道な取材と独自の調査で、素晴らしい結果を挙げています。各省の発表や誘導による「大本営記事」でなく、このような記事を書いて欲しいですね。
先日、ある紙が、年度末に租税特別措置の延長法律が通らないと、軽減税率がなくなって、ものの値段が上がる場合があることを、例を挙げて書いていました。それは正しいのですが、一方で、超過税率がなくなって、値段が下がるものもあるのです。なぜか、そちらの方は書いてありませんでした。

2007.10.13

今日は、第3回目の授業。順調に進み、そして例によって少し遅れています。最初は地方自治の仕組みの解説なので、学生にとっては、あまりおもしろくないところもあります。なるべく実例を入れて、身近に感じてもらえるように、そして理解してもらえるように、工夫しています。
各回の出席者数は、50人足らずで安定してきたようです。毎回入れ替わり何人かの欠席者もいるので、資料は60人分が必要です。

1周年

昨年10月11日に再チャレンジ室が発足してから、1年が経ちました。職員のみんなには、大変な苦労をかけました。1年が経って、こう言えますが、走り出した頃の毎日は、それはそれは大変だったのです。机もパソコンもない部屋に、職員を集めたのが、その日でした。「再チャレンジって何」という職員ばかりでした。私が、東大大学院授業から、突然「帰ってこい、指示がある」と内閣官房から言われたのが、10月5日です。
正確には、昨日が1周年です。今日366日目に、「大1周年記念大会」を、銀座で開催しました。といっても、ささやかな飲み会です。OBも参加してくれて、すごく盛り上がりました。このような会は、苦労の数ほど盛り上がります。それぞれのスピーチで、何が大変だったかを述べてもらいました。やはり、「最初、今どこに私たちがいるか、どちらに向かっているかが、分からないのがつらかった」というのが、共通の感想でした。その後、2か月でプランをまとめ、法律改正の道筋をつけたことで、落ち着いたとのことです。方向がわかれば、官僚はちゃんと仕事を進めてくれます。
職員が述べた不安と不満は、室長としてよく理解できます。私自身が、当時、どちらに向かうか、わからなかったのですから。でも、管理職って、こんなことは珍しくありません。県庁の財政課長、総務部長の時は、もっと、わからないことだらけでした。そんなときは、部長や副知事、最後は知事に、確かめに行きました。私の思っていたとおりだったら「安心」、そうでなかったら「良かった、直ちに方向転換」、上司もよくわかっていなかったら「これまた安心」でした。その点では振り返って、「最初の2か月の舵取りは、間違っていなかった」と自己評価しています。誰も評価してくれませんがね。でも、県庁と違って、官邸と霞ヶ関との距離感の難しさを、実感した1年でした。共に苦労してくれた職員が、これからの仕事に、この経験を生かしてくれれば、仕事(上司)冥利に尽きます。

危機管理

今日12日早朝、東京は非接触型定期券・パスモとスイカが使えない自動改札が生じて、混乱しました。その際に、自動改札をやめて、改札なしで通した駅がありました。そうしないと、たぶん大混乱が生じたでしょう。私は、この判断は正しかったと思います。しかし、この判断は、かなり難しいものです。
こうすると、切符を持っていない人が、通る恐れがあります。ただ乗りを防ぐことができません。いちいち確認をしようとしても、駅員が少なく、とても確認はできません。定期券でない人には「切符を買ってください」と呼びかけた駅もあったそうです。趣旨はわかりますが、これは「まじめな人が馬鹿を見る」ことになりかねません。
また、いったん自動改札を通った人がいると(故障していない駅もありました)、その人は、出るときも自動改札を通る必要があります。パスモのカードは入場を記録するので、自動改札を通らず出た人は、その記録を訂正しないと次に入場できないのです。今日の夕方、帰宅する人たちをどうさばいたか、これも検証して欲しいです。
パスモとスイカを使える駅は、すごい数です。一駅だけが臨機応変の判断をしても、全体では大変な混乱を招きます。今回、どのような判断で、このような処置をしたのか。マニュアルはあったのか。検証して欲しいです。