岡本全勝 のすべての投稿

日本経済の生きる道

日本が今後、活力を持ちつつ、国民が幸せになり、また世界で一定の地位を保つために、適度の経済成長は必要です。そして、これまでのような、先進国への追いつき型経済は無理であり、安価で大量の製造業もアジア各国に太刀打ちできません。
新しい成長を切り開いていった欧米諸国を参考に、日本は独自の道を探さなければなりません。政府は、この春に、日本の優位な点を3つに絞って、成長戦略を打ち出しました。「未来開拓戦略」(平成21年4月17日、内閣府・経済産業省)。
一つは、長寿社会です。日本は、世界に例を見ない早さで、高齢社会になりました。とかく暗いイメージ語られる高齢社会を、活力ある明るい社会にすれば、世界各国のお手本になります。二つ目は、低炭素社会です。日本は、世界一の省エネ・環境技術を持っています。これを伸ばすことは、地球環境を救うことにもなります。三つ目が、日本の魅力を伸ばすです。これはこのHPでもよく書いていますし、昨日も書きました。
もちろん、この分類に収まらない成長分野もあるでしょう。でも、このようなスローガンは、3つが良いのですよね。

世界に売り出せ日本の魅力

嶌信彦著『日本の世界商品力』(2009年、集英社新書)は、これからの日本が伸ばすべき産業を、「クール・ジャパン」という分野で解説しています。
「格好良い日本」「世界があこがれる日本文化」といったらよいでしょうか。
アニメ、漫画、ゲームといったコンテンツ産業だけでなく、ファッション産業、和食産業、観光産業、スポーツ・イベント、小説など。世界で、日本らしさが、高く評価されています。それを伸ばそうという主張です。
寿司や和食は、一部の好き者が食べる、珍しい食べ物ではなくなりました。ポケモンは3兆円を稼いだそうですし、イチロー、松井の活躍、村上春樹の小説なども。
課題は、これらを日本の「主力産業」として育てる戦略です。

教育バウチャー

5日の日経新聞「教育」は、渡辺美樹さんの「教育バウチャーの意義」でした。その主張は、原文をお読みください。私もバウチャー導入論者で、渡辺さんの論旨に賛成です。競争のない世界は、進歩しません。
「教育に競争はなじまない」という反論もありますが、既に、学校では満足できず、多くの父兄が子供を塾に行かせています。また、都会では私立学校を選んでいます。教員の競争なのか、生徒の競争なのか、曖昧にした議論はおかしいです。バウチャーの趣旨は、生徒によりよい教育を提供するために、教員と学校が競争するのです。そして、公私立間の公費格差も解消できます。
さらに、「田舎では選ぶだけの学校がない」ということを、反論にされる方がいます。そのようなところまで、導入する必要はないのです。このような反論は、意味がないですね。(11月5日)

昨日、「教育バウチャー」を書きました。現在では、公立学校と私立学校への公費補助は、大きな差があるのです。学校への補助でなく、生徒(保護者)への補助にすれば、この格差は解消します。
6日の東京新聞に、「冷遇、外国人学校に光を」が載っていました。日本には既に200万人の外国人が住んでいて、その子供たちの教育が問題になっています。公立学校でなく、外国人学校に行く子供もいます。この子供と学校には、公費は投入されていません。さらに、授業料に消費税もかかるのだそうです。
「国民」じゃないから、というのが理由だそうですが、税金は取っておきながら・・。これでは、「法の下の平等」なんていっても、むなしいですね。

価値を生む経済、バブルの経済

今回の国際金融危機が示したことは、実体経済を伴わない金融は、いずれは立ちゆかなくなるということでした。バブル経済の一種だったのです。1980年代後半の日本のバブル経済と比べると、土地を担保にした点は同じです。違ったのは、債券化されより複雑化し、そして世界中に売られたことです。国際金融の規模が、実物経済より大きくなったことは、早くから指摘されていました。
目を歴史に転ずると、もの作りや貿易でリードした国が、金融で儲ける国に「進化」し、そして衰退する例があります。イタリアの都市国家、オランダ、イギリスです、今のアメリカが、その道を歩むのかどうか。
もちろん、金融が悪ではありません。実物を伴わないものは、ゲームであり、いずれ破綻するということです。かつて、金融には「裁定型業務」と「価値創造支援型業務」の二つがあるという、池尾和人教授の主張(2008年9月21日)を紹介しました。
経済が成長するためには、モノなりサービスなり、価値を生まなければなりません。そして、これからの日本は、そのうちの何を伸ばすのか。

消防大学校で家を燃やす

今日は、消防大学校で、家を燃やしました!!!。
火災調査科が、火災原因調査の実習をします。そのために、模擬の家屋を燃やすのです。コンクリートでできた、巨大な体育館のような実験棟があり、その中で燃やします。
「電気製品などから、出火した」という想定です。8畳ほどの家を造り、家具や衣類、電気製品などを入れて、本当の住居のようにします。結構、本格的な家です。そして、教官が「原因を仕組んで」、出火させるのです。
しばらくすると出火し、煙もすごくなり、あっという間に火が回ります。私たちは、最初は近くで見ていますが、そのうちに危なくなるので、観察できる部屋からガラス越しで、見ています。それでも、結構な熱さです。
実験棟には、天井に家庭の台所にあるガスレンジのフードのお化けみたいなのがついていて、煙をきれいにする装置もあります。
屋根まで火が回った段階で、学生(各地から入校している消防職員)が入ってきて、消火します。消火はお手のものです。しかし、学生たちには、発火の段階を見せないのです。ここがミソですね。
消火した家の残骸は、外へ運び出します。運び出しやすいように、模擬家屋は台車の上に乗っています。そして、学生たちが、残骸から灰をかき出して、原因を探すのです。
今日は、合計4棟の家を燃やしました。私は解説付きで見ていましたから、原因はわかっています。でも、学生たちは、灰の中から、原因を特定するのです。たばこの吸い殻なのか、電機製品なのか、電気の配線なのか???? 推理小説、刑事コロンボみたいですね。たいしたものです。