投稿者アーカイブ:岡本全勝

日韓関係の過去と未来

2010年10月27日   岡本全勝

10月22日の朝日新聞「百年の明日。ニッポンとコリア」は、韓国併合100年記念の座談会でした。
小此木政夫教授の発言から
・・日韓には不幸な過去の歴史がある。そのため我々は過去から現在を、現在から未来を考える習性が身についているが、時には未来から現在を考えてみたい。20年後の日韓関係は、どのようなものだろうか。日韓はすでに民主主義と市場経済、人権・人道という普遍的価値を共有している。技術に依存する貿易国家という産業構造や少子高齢化という点も共通する。安保体制でいえば、米国を通じ、日韓は「疑似同盟」の関係だ。大衆文化の交流も進んでいる。こうした流れから、将来は一見して区別しがたい双子のような国として、中国の周辺に存在するだろう。だが、日韓は良き友でありライバルだ・・

若宮啓文さんの発言から
・・この100年に朝鮮民族は3つの悲劇に見舞われた。35年間の日本による支配、解放後の民族の分断、そして内戦。そんな中で民主化と経済発展を遂げた韓国には、敬服する。
戦後の日韓関係を、3期に分けたい。国交がなかった65年まで韓国では反日が進み、日本では植民地支配を反省する機運がなかった。第2期は韓国の軍事政権時代で、「軍事独裁の国」と「過去を反省しない日本」が互いの嫌な点を我慢して国交を正常化。経済協力の実を上げたが、時に矛盾が噴き出した。第3期は韓国の民主化宣言(87年)以降。交流は次第に自然になり、歴史認識の問題でも日本の首相らの謝罪が相次いだ。併合100年の今年、日韓は真の「成熟時代」に入るべきだ。その際に大事なのは、なお不満はあれ、共に影響し合って、過去のどの時期に比べても互いに見違える存在になったという基本認識だ・・

深川由起子教授の発言から
韓国の経済的な成功やそれを土台にした政治的、社会的成熟は、日韓関係の発展に大きく貢献してきた。
貿易、投資、技術移転などの拡大は、日韓に「経済関係」という第1に柱を生んだ。経済的成功は韓国に膨大な中間層を生み、民主化と言論の自由が進んだ。多様な価値観と社会の多元化が促され、両国は「体制の共有」という第2の柱を得た。さらに市民団体が影響力を持ち、草の根交流が拡大。年間500万人近い往来など日韓関係はグローバル化の中で相対化され、「社会的紐帯」という第3の柱ができた・・

2010.10.27

2010年10月27日   岡本全勝

今日は、慶応大学で講義。地方税の概要、自主課税とジレンマ、その他の負担の差、さらに地方債まで。順調に進んでいます。
その合間に、地方財政の多面的な見方も、お話ししました。制度(仕組み)と運用の実際、各地方団体と全体、国と地方、国民経済・資金循環の中の地方財政。これら経済としての見方とともに、主権者である住民の意思との関係があること。地域の課題に対し、財政が解決できる範囲など。地方財政は、財政学・経済学であるとともに、実務であり、行政・政治です。お金の循環だけでは説明としては不足することを、大きな図を書いて解説しました。
次回から、財政調整制度に入ります。ここは、私の一番の専門分野です。

国家のパワー再考・相手を動かす力と左右されない力

2010年10月26日   岡本全勝
国際社会での国家の力を、もう一度考えてみました。
よく言われるのが、軍事力や経済力です。しかし、相手の国を動かすことについては、これにとどまらず、もっと広く考えるべきです。有名なところでは、ジョセフ・ナイのハードパワーとソフトパワーや、スーザン・ストレンジの関係的権力と構造的権力という考えがあります。これについては、かつて書いたことがあります。
次のように整理してはどうでしょうか。まず、国家間の力(パワー)を、相手の国を(こちらの都合のよいように)動かす力とします。もう一つは、相手の国から「攻撃」されても耐えられる力、左右されない能力です。後者が忘れられる時があります。しかし、日本の自衛隊は専守防衛ですから、相手を動かす力ではなく、相手に動かされない力です。あるいは、相手を動かさない力です。
さて、前者の動かす力には、1武力、2経済力(生産力、金融力、技術力など)、3文化力(相手の国にあこがれられる文化)、4ルール設定力などがあります。ソフトパワーは、3に当たります。構造的権力は、4に当たります。
後者の動かされない力には、1防衛力、2(自立できる)経済力、3(自立できる)文化力があります。
このほかに、国家を政府と置き換えれば、政府の強さとしては、企業や市場に対する国家の強さ、災害に対する強さ、国民の信頼への強さなどもあります。

嘘をつく意識はないが記憶を美化する

2010年10月26日   岡本全勝

26日朝日新聞夕刊「追憶の風景」保坂正康さんの言葉から。
・・私はこれまで昭和史を調べる中で、のべ4千人の方に話をうかがってきました。それで気づいたことがあるんです。1割の人は本当のことをいう。1割の人は最初から嘘をいう、8割の人は記憶を美化し、操作する。この8割というのは実は我々なんです。悪人じゃないけど、うそをついている・・

国際経済・金融の協調枠組み作り

2010年10月26日   岡本全勝

23 日に、韓国で開かれていた、20か国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が終わりました。アメリカのガイトナー財務長官が、各国の経常収支比率を一 定水準に保つ数値目標の導入を提案しましたが、参考ということに落ち着いたようです。一方で、準備通貨(アメリカ、EU、日本です)を持つ国は、責任ある 経済政策をとり、為替相場の安定を保つ必要があると合意されました。経済成長や通貨の安定のために、国際協調の枠組みが進みつつあります。
24日の日経新聞は、1970年代のG5からの歴史を、簡単な表とともに解説していました。1985年にプラザ合意(アメリカ、ニューヨークのプラザホテ ルでの会議)がされ、円が大幅に値上がりしました。この時は、G5(アメリカ、日本、ドイツ、フランス、イギリス)です。
その後、イタリアとカナダを加え、G7になりました。1987年のブラックマンデー(ニューヨーク株式市場の暴落)、1997年のアジア通貨危機、 2008年のリーマン・ショックと、経済が政治を揺さぶりました。そして、中国やブラジルなど新興国が台頭し、G20という枠組みになりました。
一方で、国連はこのような分野では、存在感がありません。政治は主権国家体制でありながら、経済金融はその国境を越えて動くという現代において、どのように国際協調の枠組みが進むのか。人類の知恵が試されているのでしょう。