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日本行政学会で報告

2012年5月19日   岡本全勝

今日は、日本行政学会(慶應大学)で、「東日本大震災における行政の役割」を報告してきました。私の役割は、被災者支援から復旧復興の過程において、政府の一員として携わったものから見た、行政の役割についてです。行政の研究者、それはまた官僚制の研究者でもありますが、その方々の前で、「今回の大震災に対し、日本の行政・官僚は何をしたか」の審判を受ける場でもありました。「まな板の鯉」です。
時間が限られているので、阪神淡路大震災の教訓を踏まえて、政府は今回、どのように「違った対応」をしたか。自治体(被災自治体、応援自治体)、企業、NPO・ボランティアとの役割分担。そして、被災者生活支援本部、復興本部、復興庁という臨時組織を立ち上げ運営していることの意味を、お話しました。レジュメを載せておきます。

この1年間、走り続けてきたので、私たちのしたことを振り返って整理してみる、良い機会でした。専門家の前で話すことは、いささか緊張します。しかし、旧知の先生方がたくさんおられるのと、基本的知識を共有していただいている方々なので、しゃべりやすかったです。
また、昨年この仕事に携わったときから、官庁、自治体、マスコミ、国民に私たちの仕事を知ってもらうために、ホームページを立ち上げ、なるべく多くの情報を載せるようにしました。また、これまでにない仕事なので、後世の人たちや研究者の方々にも利用していただけるよう、古くなったページも残してあります。

昭和50年(1975年)に東大法学部で、西尾勝先生の「行政学」の授業を受けました。そして、公務員を職業に選び、34年勤めてきました。この間いろいろと貴重な経験をさせてもらったので、その経験を後輩や研究者に提供することも、私の務めです。時間ができたら、この1年間の経験と考えたことを文章にまとめたいと思っています。

日本行政学会の報告レジュメ

2012年5月19日   岡本全勝

2012年5月19日に、日本行政学会で報告した際のレジュメです。そのほかの添付資料は省略します。

日本行政学会・共通論題(資料)                 平成24年5月19日
復興庁岡本全勝

大震災からの復興ー政府の役割と組織の運営

1 今回の特徴ーこれまでにない国や自治体からの支援
・被害がこれまでにない大きさと範囲、市町村役場が被災
・阪神淡路大震災(1995年)の教訓
(1)政府の支援(タテの支援)
①責任組織の設置と一元化(被災者支援本部、復興本部、復興庁)
②直接の被災者支援
・緊急物資の調達と配送、被災者への支援情報の提供(壁新聞など)
③市町村役場への支援(財政、職員、技術など)
④インフラだけでなく、生活や産業の復旧を重視
・雇用創出基金(被災者を臨時雇用)、仮設工場や仮設店舗の貸し出し
⑤制度改正と特例制度
・民間アパートを仮設住宅として借り上げ
・復興特区制度と交付金制度
⑥増税をして、資金を確保

(2)各セクターによる積極的な支援ーお金と物資だけでなく、知恵や労力を提供
①他自治体からの応援(ヨコの支援)
職員の応援、避難者の受入れ、役場機能の代替
②企業の貢献とボランティアの活躍(外からの支援)
・支援物資の提供、支援活動、企業の社会的責任(CSR)
・サービスと生産の早期再開(基礎的インフラ以外に、ガソリンスタンド、コンビニなど)

2 復興に向けて
(1)地震津波被災地
・道路や堤防などの本格復旧ー計画を策定済み
・住宅と町並みの復旧ー津波被害地域で再建は危険。移転の住民話合い
(2)原発事故災害地域
・放射線量の低い地域から、住民の帰還
・当分の間、帰還できない地域の住民への支援
(3)街が復興する3つの要素
①インフラの復旧=道路、住宅、施設、ライフラインなど
②暮らしの復旧=公共サービス(教育、医療、介護)と商業サービス
③働く場の復興=雇用と産業(企業活動と事業の再開)

3 臨時組織の運営ーこれまでにないことをする。そのための組織をつくる。
(1)組織の設置と運営
①被災者生活支援本部の設置
②職員の招集、組織の立ち上げ
③任務の発見・確認と日々の作業

(2)一元的組織設置の機能と効果
事業官庁と自治体の役割を前提として、「司令塔」を作る意義
①情報の集約と業務の調整
・現地の状況と課題を全体的に把握
・各府省の情報交換の場
・府省間で課題と問題意識を共有
・各府省への連絡と指示
②各組織の補完
・市町村役場や県庁を補完ー直接支援
・各省庁の隙間を埋める
・企業やNPOとの連携
・関係府省を束ねる
③「見える組織」
・自治体、被災者、関係団体、議員、マスコミからの「窓口」ー指摘、不満、問合せ
・被災者、関係組織、国民に対して、情報提供と政府がしていることを伝える
・存在自体が「政府を見せる」

被災者生活支援本部の記録http://www.cao.go.jp/shien/index.html
山下哲夫執筆「政府の被災者支援チームの活動経過と組織運営の経験」季刊『行政管
理研究』2011年12月号(行政管理研究センター)
復興庁http://www.reconstruction.go.jp/
岡本全勝のページhttp://zenshow.net/

復興会議

2012年5月18日   岡本全勝

今日18日朝、総理官邸で復興推進会議(全閣僚会議)を開きました。今、私たちが抱えている主な復興の現状と課題インフラ事業などの進捗状況原発避難区域への取組方針などを報告しました。
インフラの復旧については、一部の事業を除き、おおむね計画通りに進んでいます。ただし、問題はこれからです。道路や堤防は、関係者の同意があれば工事を進めることができます。ガレキの片付けも、仮設焼却炉をたくさんつくっています。これで急速に進むでしょう。
問題は、街並みの再建です。地震被害地はガレキを片付ければ、そこで住宅や商店を再建することができます。津波被害地は、その場所で再建することは危険です。街ごと移転する必要があるのです。多くの住民のこれからの生活がかかっています。合意は、並大抵ではありません。
また、原発避難区域での現状と課題を、お示ししました。除染、賠償、インフラ復旧、当分帰還できない方への支援と、省庁の内外を含めて総合的に対策を打つ必要があります。それぞれは専門家・責任者がいますが、復興庁が全体を統括し始めています。まだ、この一覧表は十分ではありませんが、地元市町村と課題を解決していきます。
また、復興の現状データを最新のものにしました。ご利用ください。

被災地学生支援

2012年5月18日   岡本全勝

昨日、被災地支援のファンドを紹介しました。大和証券がブリティシュカウンシルと一緒につくっている「大和日英基金東北スコラーシップ」というファンドを教えてもらいました。これは、災被災地域の学生を、イギリスに留学させる奨学金です。こんな支援も、あるのですね。

家族に捧げる

2012年5月17日   岡本全勝

三浦展さんの著作に触発され、いつか読みたいと思っていたので、藤岡和賀夫著『ディスカバー・ジャパン』(1987年、PHP研究所)を読みました。インターネットで中古品を探してもありませんが、区立図書館を調べたらありました。ありがたいですね。
藤岡さんは、電通の有名な広告プロデューサーで、「ディスカバー・ジャパン」「モーレツからビューティフルへ」「いい日旅立ち」などで有名です。1970年、80年代のことなので、若い人たちは、ご存じないかもしれません。
さて、今日紹介するのは、その内容ではなく、本の最初に書いてある「献辞」です。広告を志す人たちといった後輩にこの本を捧げると書いた後に、次のような言葉が並んでいます。

・・妻 奈美子へ
君が一人の子を家におき
一人を背負い一人の手をひき
一人を幼稚園に迎えに行った頃
私はこんな仕事をしていた・・

この本は、藤岡さんの仕事を振り返るものです。60歳になられて、ご自身の仕事を集大成されました。その時の、ご家族への感謝のお気持ちだと思います。私の場合は、家族へのお詫びになります。