投稿者アーカイブ:岡本全勝

暗い予測はできても対応できない

2012年5月22日   岡本全勝

5月18日の朝日新聞オピニオン欄に、沼上幹教授が、「特需の向こう側、予測段階での危機管理が必要」を書いておられました。家電エコポイント制度と地上波デジタルへの移行という2つの政策が、家電量販店と家電メーカーに与えた影響です。この政策によって、テレビがよく売れました。しかし、それが終了すると、極端に売れなくなり、量販店は大幅な減益、メーカーは巨大な固定設備を持っているのでさらに悲惨で、大赤字になっています。
・・この種の急激なアップダウンは、ある程度予測されていたからである。それなのに、どうしてこれほど対応時期が遅れるのだろうか。実際、地上波デジタル移行やエコポイント終了の時期などは、ある日突然決まるのではなく、事前に公表されている。しかも、この政策の結果として需要が先食いされ、2012年には需要が急減し、その後も低迷する期間が続くから、「地デジへの移行期間までが勝負だ」という考え方も広く知られていた。
だが、実際の企業の対応はかなり後ろにずれ込んできたように見える。すでに昨年8月からはテレビ売り場で閑古鳥が鳴いていたのに、家電量販店がテレビ主体の売り場づくりからの脱却を本格化し始めたのは、つい最近のことである・・
うーん、これは、危機管理というべき話ではないかもしれません。

都会の限界集落

2012年5月21日   岡本全勝

5月17日の読売新聞連載「列島再生」は「都心の限界集落」でした。東京都新宿区、しかも山手線内にある都営戸山住宅が、都会の限界集落になっているという記事です。ここは、2,300戸の高層アパートです。私も7年前まで、この住宅の近所に住んでいました。
高齢化率が48%です。全国の23%の倍、田舎の集落より高いです。孤独死も起きています。しかもこの住宅は、戦後建てられたものを、1990年代に高層化し戸数も倍になりました。そこに高齢者が入居しました。
過疎地の限界集落との違いは、団地自体はなくならず、次々と高齢者が入居するであろうということです。

金環日食

2012年5月21日   岡本全勝

今朝、金環日食を見ることができました。皆さんのところでは、どうでしたか。
東京は、天気予報では曇りとのことで、あきらめていたのですが、薄曇りでした。お向かいのご主人が、ご近所の子どもを集めて、「天体教室」を開いておられたので、参加させてもらいました。よく見えました。やはり感激しますね。

市場が解決できないこと

2012年5月20日   岡本全勝

日経新聞5月14日オピニオン欄、マイケル・サンデル教授の「市場第一主義と決別を」から。
・・過去30年間、米国では行き過ぎた「市場勝利(原理)主義」が席巻してきた。政治は問題の本質的な解決に踏み込まず、表面的な管理を重視するようになった。つまり政治が正義、平等・不平等、家族・コミュニティーの存在意義などを巡る問題に取り組まなくなったのだ。それこそ米国、日本などの国々に共通する人々の不満の源泉となっている。
この問題と向き合う唯一の方法は、市場が扱う品物について公正な議論を重ねることだ。市場の価値と市場ではないものの価値、すなわち家族やコミュニティー、民主主義といったものとの間で、より良いバランスを取る必要がある。市場が生み出す公的なサービスとそうではないものについて、開かれた議論をしなければならない。
経済成長だけで全ての問題が解決できないにもかかわらず、市場が正義や共通善まで定義できるかのような考えがまかり通っているが、それは間違っている。この「市場勝利主義」から抜け出し、新たな政治的議論を通じて市場の道徳的限界を考えなければならない・・
サンデル教授の『それをお金で買いますか―市場主義の限界』(2012年、早川書房)も出版されました。

少し話が飛躍しますが、日本の行政や議会も、その議論は「モノとお金」に偏ってきました。正義や平等、家族やコミュニティーなどの議論を避けてきたのではないでしょうか。国会や地方議会では、予算が議論の中心です。しかし、予算額では地域の暮らしやすさや行政の成果が測れないことを、『新地方自治入門』で解説しました。

ボランティア活動、求められる内容の変化

2012年5月20日   岡本全勝

5月13日の読売新聞が、「被災地支援ミスマッチ。ボランティア、短期に集中。ニーズは生活密着型」を伝えていました。
・・東日本大震災のボランティア活動に、ミスマッチが起きている。大型連休中も県外から多くの問い合わせがあったが、受け入れた自治体は少ない。被災地では、大人数が必要ながれき撤去などの作業が減る一方、仮設住宅見回りなど地域に密着した活動が求められている・・

指摘の通りです。原発避難解除区域などは、がれきの片付けはこれからです。しかし、それが済んだ津波地震被災地では、現地で求められる活動内容が変わっています。
例えば、仮設住宅への支援(どのようなことが求められ、何をするかも含めて)、これから進める「まちづくり」(区画整理、高台移転など)に際しての住民意見のとりまとめへの支援などです。これらは、元気な個人が「はじめまして」と訪ねていっても、できる仕事ではありません。「単純肉体作業」でなく、組織的な活動と専門的知見が必要なのです。

個人ボランティアから組織ボランティアに、求めが移行しています。あるいは、個人ボランティアを組織し、その人たちを「使う」組織ボランティアが必要なのです。どのようにその動きを進めるか、専門家の知見を借りて検討中です。

他方、読売新聞16日の夕刊は、仮設住宅での孤立防止のため、自治体が行っている見守り活動が、住民の拒否にあっている例を取り上げていました。石巻市では、調査に回答した6,000世帯のうち3,300世帯(55%)が、見守りを希望しないと答えています。毎日のようにボランティアが訪ねてくることを、煩わしく感じるのだそうです。しかし、訪問拒否をしていた世帯で、2人が死んでいるのが見つかりました。