投稿者アーカイブ:岡本全勝

資料を作って説明するのか、説明するために資料を作るのか

2012年5月28日   岡本全勝

今の職場での仕事は、前例がなく、前年通りというわけにも、いきません。毎日のように、初めての課題について、どのように対応するかを、考えなければなりません。その前に、誰が対応するかも、考えなければなりません。
職員が、知恵を絞って考えて、資料を作ってくれます。その際に、私と、スピード感がずれる場合があります。職員は一生懸命、完璧な資料を作ろうと努力します。一方、私は、なるべく早く、あるいは一定の期日までに、大臣や地元に対し答を示さなければなりません。しかし、難しい課題であると、いくら時間をかけても、完璧なものはできません。

「資料を作って説明する」では、間に合わないのです。「説明するために、資料を作る」=不完全でも説明してしまうことが、重要です。
私がするのは、指示を出す際に、「○月○日に、地元に説明するとしよう。そのために、そこから逆算して、×日前に大臣に説明する。その案を、今日から△日後に作って議論しよう」と、後ろを決めて段取りを示すことです。このような「工程表」では、決められた日までに、満足できる内容の説明資料ができない場合もあります。それは、仕方ありません。「完成度60%を目標に」とか、時には「完成度30%で良いわ」と指示します。
相手がある仕事ですから、時間も重要な要素です。「拙速をもって良しとする」。もちろん、課題の内容にもよりますが。

日本美術の見方

2012年5月27日   岡本全勝

田中英道著『日本美術全史―世界から見た名作の系譜』(2012年、講談社学術文庫)が、興味深かったです。
著者は、日本の古代からの美術を世界の美術史の中に位置づけることや、日本の美術史を歴史学の年代区分でなく、「様式」の発展として区分することを試みたと書いておられます。著者の考えは、必ずしも「正統」とみなされていないようですが、私には、「こんな見方があるのだ」と、勉強になりました。
日本美術の歴史書としては、辻惟雄著『日本美術の歴史』(2005年、東大出版会)があります。これは分厚いので布団の中では読めず、途中で挫折しています。田中さんの本は文庫本なので、布団の中で読むことができました(反省しつつも、仕方がないですね)。

また、作者が不明の作品について、推定を試みておられます。これまで、「作者は一人の芸術家でなく、工房で作られた」と書かれることが多かったようです。しかし、著者は、「優れた芸術は、一人の天才芸術家が作るのであって、その人の下で共同作業があったとしても、作者を同定すべきだ」と主張されます。西欧でもそうですから、これまた、「そうか」と考えさせられました。
田中さんは、自ら選んだ「特に水準の高い作品」に◎を2つ付けておられます。その選定理由を読んで「なるほど」と、また有名なのに◎がついていない理由に、これまた「なるほど」と、勉強になりました。「私の見方とは違うな」と思うのもありますが。

この本に載っている仏像や絵画を見て(合計500近い写真が載っています)、「私も、案外たくさんの作品を見てきたのだなあ」と、嬉しくなりました。奈良の仏さんは若いときによく見ましたが、それ以外は展覧会で見たのだと思います。それだけ美術展が盛んだということで(主に東京で)、素人にも見る機会が多いということでしょう。
さて、「一つだけ選べ」と言われたら、あなたは何を選びますか。難しいですね。私だと、長谷川等伯「松林図屏風」(東京国立博物館)か、尾形光琳「紅白梅図屏風」(MOA美術館)でしょうか。彫刻(仏像)では、「山田寺仏頭」(興福寺)が好きだったのですが、少し考えを変えました。東大寺戒壇堂の四天王「広目天」(飛鳥園の写真)が、厳しい性格が良く表されているので。

情報をすっぱ抜く

2012年5月27日   岡本全勝

マスコミ(新聞やテレビの報道)が、ニュースの競争をします。例えば、政府が発表する内容や政府が公表していない情報を、いち早く報道するのです。
記者の間では「抜いた」「抜かれた」と、他社との競争が激しいようです。もっとも「どうせ明日になれば公表されるのに」と思うことが、しばしばあります。「抜く」という言葉には、他社より速く報道する(他社を出し抜く)と、非公開情報をすっぱ抜くの、二つの意味があるのでしょう。
政府側は、何らかの事情があって、ある期日まで部内限りの秘密とします。その事情はさまざまです。閣議決定事項なので、閣議後公表する予定になっている、あるいは関係者への事前説明が終わっていないとか。相手(外国だったり国内の交渉相手)との交渉途中なので、まだ公表できないとかです。これらは、ある日が来ると、あるいは交渉がまとまり公表できる段階になると、公表します。別に、「部外秘」というのもあります。国家機密(例えば日本の防空体制、政府のコンピュータシステムへのアクセスするパスワードなど)です。また、個人のプライバシー情報も、保護されます。これらは、かなりの期間、秘密とされます。
すると、記者が「抜く」ことの意義や影響を、場合に分けて考えることができます。不十分な検討ですが、次のように整理してみましょう。
閣議決定内容が事前に報道される場合。これは内容が決定済みなら、影響はそう大きくはないでしょう。事前根回しがまだの関係者が、すねる場合があります。決定案が作成途上だと、やっかいなことになります。漏らしたのは、情報をもっている人(政府部内)でしょうから、情報管理に問題があります。
相手と交渉中の場合。これは大きな問題になります。まだ交渉中なのに、その過程が明らかになる、あるいはこちら側の手の内が明らかになると、交渉はうまく行かないか、不利になります。そして相手が複数の場合は、さらにややこしくなります。交渉が難航するか、相手国を利することになります。途中経過を、相手側が「意図的に」漏らす場合も考えられます。これはそうすることが、その人にとって有利に働くと考えた「作戦」かもしれません。情報管理に問題があるとしても、このような情報を記事にすることは、一考の余地があると思います。
国家秘密の場合は、内容によって、違ってくるでしょう。防空体制を公表することは、相手国を利することで、国家の利益を害します。パスワードも、犯罪者を利することになります。他方、アメリカのペンタゴンペーパーズや、ウォーターゲイト事件では、「政府の犯罪」を追求することになりました。

ブログを書く際の注意

2012年5月27日   岡本全勝

新聞に紹介されていたので、『「過情報」の整理学 - 見極める力を鍛える』(2012年、中公選書)を読みました。それについての感想は別に書くとして、そこに、IBMの社員がブログを書く際のガイドライン(決まり)が紹介されていました「ソーシャル・コンピューティングのガイドライン」。ガイドラインには、次のような記述があります。
・ブログ、ソーシャル・メディアまたはその他のユーザー参加型メディアにおいて、自分が掲載した内容に個人的に責任を持ちます。あなたが書いたものが長期間公開されることになることに留意し、自身のプライバシー保護に努めると共に、ルールを守ってサービスを利用してください。
・IBMやIBMに関連した事柄(製品やサービスなど)について書く際には、身元(氏名、必要に応じてIBMでの職務)を明らかにしてください。人称は一人称を使います。書かれたことは、自分の個人的見解でありIBMの意見を代弁するものではないことを明確にしてください。
・承認を得ずにお客様、パートナー、サプライヤーを引き合いに出したり、言及したりしてはいけません。また言及する場合においては、ソースへのリンクを張ってください。憶測を呼び、その結果お客様を困惑させる、あるいは損害を生じさせるような情報を公表してはなりません。
喧嘩を仕掛けてはいけません。自分の間違いがあればいち早く訂正しましょう・・
これからは、このようなルールやマナーを、学校の国語の授業で教える必要がありますね。手紙の書き方と同じように。
また、その中でも引用されていますが、社員が遵守すべき行動基準を、「ビジネス・コンダクト・ガイドライン」として公開しています。官庁でも国家公務員法倫理規定など、さまざまな「決まり」があります。いろんな機会に研修がありますが、新入生・途中採用者だけでなく、全体を統一的に教えてもらっていない職員が大半なので、全体がわかる統一的な資料と研修が必要でしょう。

福祉のまちの再建

2012年5月25日   岡本全勝

津波被害地では、住宅や街並みの復旧が大きな課題です。もちろん、建物などの再建が鍵ですが、それだけでは住みよいまちにはなりません。各種のサービスが必要です。特に今回の被災地は高齢者が多く、医療や福祉が重要になります。ハードだけでなく、ソフトもあわせて考える必要があります。国土交通省が、市街地の復旧のためにいろいろと手を打っています。その中に「東日本大震災の復興における都市政策と健康・医療・福祉政策の連携及びコミュニティ形成に関するガイドライン」があります(概要本文)。コミュニティの復旧には、施設などの都市政策とサービスなどの医療福祉政策・商業政策の両方が必要です。