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南北逆の地図

8日の日経新聞夕刊に、「南が上、逆さ地図」という記事が、地図と一緒に載っていました。北東アジアの地図で、日本列島のほか、ロシア沿海地方、南北朝鮮、中国の一部が含まれています。ミソは、南北が普通の地図と逆になっていることです。太平洋が上で、ロシアが下に来ます。
これだと、日本列島が弧であることがよくわかり、またロシアから見て日本が「邪魔」なこともわかります。載っている情報は変わらないのに、少し見方を変えるだけで、感じ方が大きく違うという一例ですね。世界地図でも、日本で見る地図は日本と太平洋が真ん中にありますが、西欧の地図では大西洋が真ん中に来て、日本は端っこにあります。極東です。
この地図「環日本海諸国地図」が富山県庁でよく売れているというのが、記事の内容です。この地図の元は、オーストラリアでつくっている地図で、世界地図が南北逆になっています。私の記憶では、「正しい××の地図」と銘打たれていました。これだと、南半球のオーストラリアが、地図の上真ん中に来るのです。
私は、富山県勤務の時に、知事からこの地図を見せられ、「物の見方はこうも変わるのだ」ということを、教えられました。(2010年7月8日)
昨日書いた、オーストラリアの南北逆さ地図は、「マッカーサーの正しい地図」でした。

スーツの胸ポケットにペンは差さない

昨日に引き続き、電車内の観察を取り上げます。今日は、男性の服装です。スーツを着た人が、胸のポケットにペンを差しているのは、気になりますね。
私は若い時に、「胸のポケットには、チーフ(ハンカチ)しか、入れてはいけない」と教えられました。当時、ボールペンやらラインマーカーなどをたくさん差していたので、「えー。では、ボールペンはどうするのですか?」と聞いたら、「内ポケットに入れるのだ。そのための細いポケットも、ついているだろう」と教えてもらいました。ワイシャツの胸ポケットに入れるのも、みっともないですね。昔は、しばしばラインマーカーで(キャップが外れ)、シャツを黄色に染めました(笑い)。
技術系の人が、ブルーの作業着の胸ポケットにペンを差していても、おかしくありません。スーツの胸ポケットにペンを差すのが、変なのです。

生きにくい生き方

今日の帰りの電車での、出来事です。携帯電話で話ながら、中年の女性が乗ってきました。そのまま、大声で話し続けます。持っていた荷物は、隣の座席に広げて。そんなに混んではいなかったので、そのために座れない人が出たわけではありませんが。電話の内容は小学生の子どもの話らしく、さらに声が大きくなります。同じ車両に乗り合わせた人たちは、何だろうと、その女性の方を見ます。女性は、2駅ほどで、話を続けながら降りていきました。きっと、自ら人生を難しくして、生きておられるのでしょうね。

梅棹先生ご逝去

梅棹忠夫先生が、お亡くなりになりました。90歳とのことです。ご冥福をお祈りします。
私は密かに、梅棹先生の弟子を目指していました。『モゴール族探検記』『文明の生態史観』『知的生産の技術』から始まって、アフリカもの、日本文化論・・・。オリジナリティのある研究、壮大な視点、それを新しい学問分野に育て上げる構築力、そして国立民族学博物館に見られるような組織力、さらには、わかりやすく庶民にPRする戦略。大したものです。
私は、大学生の時に、先生を始め京都大学人文研の業績を知り、その後かなりのめり込みました。結構、著作は読んだつもりです(2006年5月4日、私の読んだ本)。そこから、新しい発想法やわかりやすい表現など、かなり「盗ませて」もらいました。今の私がある、私の発想法があるところのかなりの部分は、梅棹先生、清水幾太郎先生、加藤秀俊先生たちにあると感謝しています。たぶん、東大法学部にないことを、求めていたのだと思います。
もし、今の職業を選んでなかったら、この文化人類学か、子どもの時にあこがれた飛鳥の考古学の世界に、進んだだろうと思っています。それら発想の自由さを求められる世界と、全く違った世界に進みました。これも、人生の妙でしょうね。

アジアで評価される日本ブランド

7月5日の朝日新聞夕刊に、アジア各国で、日本産を偽装や模倣した農水産物が、たくさん見つかったそうです。中国産なのに「紀州」と表示した梅、大分県の日田梨にそっくりな包装の韓国産梨、「北海道」と大きく書かれた台湾の牛乳など。
それ自体はけしからんことですが、うれしいことですね。それだけ日本製品が、高級・安全と思われているということでしょう。日本が嫌われていたり、日本製品は粗悪と思われていては、このような模倣はされません。これまで日本が、欧米の商品をありがたがるという「拝外」でした。デパートでは、イギリス展が恒例でしたよね。それが、だんだん魅力が小さくなり、他方で、日本が外国から、ありがたがられる地位になったということです。
これまでは、自動車や電化製品など、日本の工業製品が模倣されることが問題になっていました。今回は、農産物です。すでに、女性週刊誌やポップカルチャー、アニメなども、好まれています。さらに広がって、日本文化・日本の生活様式全般が、あこがれの的になると良いですね。サッカーや野球などスポーツ選手も、アジアのヒーローになりませんかね。
最近は、銀座、秋葉原、新宿で、たくさんのアジアからの観光客が買い物をしています。どんどん来てもらって、日本にお金を落としてもらいたいです。日本人もこれまでさんざん、ロンドンやパリで落としてきましたから。もっとも、かつて書きましたが、日本で買うものがヨーロッパ製品では困ります(2月13日の項)。