岡本全勝 のすべての投稿

口蹄疫、封じ込めか選抜か

28日の朝日新聞オピニオン欄「私の視点」、萬田正治鹿児島大学名誉教授の、今回の宮崎県の口蹄疫についての発言から。
・・根本的な問題は、旧態依然たる国際獣疫事務局(OIE)の指針とそれに従う日本の対応策、そして近代化畜産にあるのではないか。
OIEは、世界を口蹄疫発生がない「清浄国」と、ある「非清浄国」に分類する・・しかし、グローバル化で人と物の往来が地球規模で頻繁に行われる今日では、人や物に付着する病原体を陸海空の国境ラインで未然に防ぐことはほぼ不可能だ・・
そもそも細菌やウイルスなどの病原体に対して、人間を含む動物はその抗体を獲得し、抵抗力を身につけて対処してきた。これに対して病原体は耐性を獲得したり、新型の病原体となったりして反撃する。再び動物はその抗体をつくる。この繰り返しが生物の進化だ。従って、無菌化社会を進めていけば、かえって動物が持つ免疫力を衰弱させ、動物たちを危機に陥らせることになる。清浄国の家畜たちは、口蹄疫ウイルスに日頃遭遇しないために口蹄疫に抵抗力をもたないひ弱な家畜となり、ウイルスの侵入で発病し、大騒動となる。
今回、全頭殺処分ではなく発病しなかった家畜を残せば抵抗力のあるものを選抜する結果となり、低コストの有効な対策となっただろう。マスコミ報道は国民に恐怖感を与えたが、この病気は一般に人間には感染せず、動物の致死率も低い。健康な家畜を育て抵抗力をつければ、怖い伝染病ではない・・
そのような考え方も、あるのですね。

アメリカ書店事情

28日の朝日新聞別刷りbe「フロントランナー」小城武彦丸善社長のインタビューから。
・・米国は日本の25倍の面積ですが、書店数は1万店を切っています。一方で、日本は1万5千店以上残っている。米国で本を買うには、車で30分走らなければいけません。日本人は通勤や通学途中に立ち寄って買えます・・

高円寺阿波踊り

昨日今日と、高円寺では、恒例の阿波踊りでした。今年は、お客さんがあったので、久しぶりに、案内がてら踊りを見に行きました。と言っても、家の裏の通りが演舞場です。
いつもながら、すごい人出です。また、どこに、こんなに美人がいたんだろうと思うくらい、踊り手さんは美人に見えます。徳島では、「夜目、遠目、傘のうち」、と教えてもらいましたが。

山梨県で講演

今日は、山梨県市町村職員研修所まで、講演に行ってきました。連続講座「地域力創造と地域おこしのヒント」の、一コマを担当しました。椎川忍総務省自治財政局長(前地域力創造審議官)の肝いりで、2日間にわたって開かれています。ほかの講師は、菅原文太さん、安田喜憲先生です。夏休み最後の土曜日なのに、250人を超える人たちが、集まってくださいました。ありがたいことです。
私の講演は、地域からというより、日本の地域社会の課題を、歴史的に、また経済的、国際的に位置付けて、なぜ日本の地方行政が成功し、そして停滞しているかを解説しました。そして、これからの地方公務員は、何をしなければならないかも。
例によって、笑えるが、暗くなる話です。でも、これまでのやり方が通用しなくなっているのですから。その困難な条件を、理解してもらわなければなりません。放課後の懇親会で、何人もの参加者から、「厳しいですが、その通りですね」との声を、かけてもらいました。
17年前に、交付税課に派遣されていて、苦労をかけた県職員が、迎えに来てくれました。立派になっておられます。ありがとうございました、神宮司さん。

2010.08.27

今日は、自治大での「政策課題研究」発表会の2日目。学生が選んだ研究テーマは、さまざまです。児童虐待防止、ソーシャル・ビジネス支援といった地域の新しい課題から、国・県・市町村の権限再配分方法といった分権のあり方まであります。地域振興も多く、日帰りで帰る観光客をどうしたら1泊させることができるかや、今流行のキャラクターを使った地域振興もありました。
このような研究成果=政策提言の出来具合も重要な成果であり、学校からすると評価の要素ですが、私は、それとともにもっと重要な成果があると考えています。
それは、この研究のプロセスです。課題を見つけ、現地を調査し、解決策を立案し、発表資料を作って、発表する。それも、考え方が違う職員が、一緒になって取りまとめる。この過程が、重要なのです。この反対は、言われたことをする、言われた通りにする、課題があっても知らんふりをする、どこかのモデルを探してきてそのまねをする、批判はするが自分では代案を出さない・・などです。これまでの地方公務員は、これでもすみました。これからは、課題は地域から発生するのであり、見つけるのも地方公務員です。そして、解決策は、自分たちで考えなければなりません。横へ倣えは、できないのです。
そして、「明るい係長講座」にも書きましたが、公務員の多くは、資料を作ったり、人に説明することは不得手です。記者会見も。もちろん、経験が少ないからまだ下手だ、という理由もわかります。でも、優秀な管理職には、必要な能力です。自治大は、幹部候補生養成学校なので、それらの知識と技術を提供するだけでなく、模擬訓練で身につけてもらうのです。