2020年のオリンピックが東京に決まり、お祝いムードに包まれています。「経済効果がいくらになるか」といった報道もありますが、それ以上に社会に与える影響には、大きなものがあると思います。
子どもたちが、「僕もオリンピックに出るのだ」と言っているニュースを見ると、若者に与える希望とその後に続く努力は、金銭では評価できません。
世界中から、大勢の運動選手と観光客とメディアが日本に来ることの効果も、大きいです。その際に、何を見てもらうか。何を思い出に持ち帰ってもらうか。そのためには、どのような大会にして、どのような日本にするか。私たちの、構想力が問われます。
2020年まで後7年。7年は、社会の大きな課題を解決するには、適当な期間ですね。2~3年では短すぎます。10年を超えると、遠い将来のことで現実感がなくなります。
7年後はどうなっているか、7年後はどうするか。
私が携わっている復興は、ちょうど発災以来10年目になっています。区切りをつける年です。復興庁の設置期限でもあります。立派に復興を成し遂げた姿を、見てもらいたいです。
日本社会全体では、どうか。前回の東京オリンピックは1964年。敗戦(1945年)から19年。よく言われるように、日本が敗戦から立ち直り、高度経済成長の時代でした。1968年には、GDPで西ドイツを追い抜き、世界第2位になりました。
2020年は、バブル崩壊(1991年)から30年。安定した経済になっていたいです。高齢化はさらに進み、世界のトップを走っています。世界各国に、活力ある明るい高齢社会を、お見せしたいです。
他方、犯罪の少ない清潔な街、勤勉かつ誠実で助け合う日本人といった日本のよいところは、半世紀経っても変わっていないことを見せましょう。
そして、あなたは、どうなっているでしょうか。あるいは、どうしていたいですか。私は65歳になっていて、う~ん・・・。
投稿者アーカイブ:岡本全勝
読者の反応
この拙いホームページを見てくださっている読者の方から、時々反応があります。
アメリカにいる元部下から、「アメリカでも読んでいます。相変わらず忙しそうですね・・」。
便利なものですね。アメリカでも、読めるのですから。
久しぶりに会った新聞記者さんから、「最近、本の紹介が少ないですね。あれ、参考にしているのですよ。特に、政治の分析に関するもの。また、頼みますよ」。
すみません、読書量が減っているのと、読み終えずに途中になっているのも多くて。反省。
別の記者さん、「昔に比べ、内容が穏当になりましたね」。
そうですね。総理秘書官をしてから、いろいろとものを言いにくくなりました(苦笑)。書いた内容が、99人の人に賛成してもらっても、1人の人を怒らせると、なかなかやっかいです。もちろん、正しいと思って書いているのですが。気分を害した人にとっては、おもしろくないでしょう。気を遣いますわ。このページは、実名で書いていますから。
日本語に守られる日本的思考
新聞には、論壇誌を紹介する欄があって、1月に一度、各論壇誌から主な論文を紹介しています。たくさんの雑誌に目を通す時間のない私たちにとって、便利なものです。ところで、読売新聞には、「海外メディア」の欄があって、海外の雑誌や新聞の論説を紹介しています。ハタと、思い当たりました。多くの日本人は、国内の新聞と雑誌しか、目を通していないのですよね。
もちろん、英字新聞や雑誌に目を通している外国通のインテリも、たくさんおられるでしょう。しかし、政治・行政・経済界で、毎日定期的に幅広く海外メディアとその論説に目を通している人は少ないでしょう。自らの本業関係には、それぞれ目を通しておられるでしょうが。
すると、どうしても、国内だけの視野と発想になります。政治・行政そして学界(文系)・メディアが、日本語=日本国内だけの世界に閉じこもっていることを、私は「日本語という非関税障壁に守られた世界」と、表現しています。
読売新聞のほかに、インターネットの会員制情報誌「フォーサイト」に、会田弘継さんが「国際論壇レビュー」を書いておられます。なるほどと思うことが多く、勉強になります。
9月11日講演、多様な主体による復興支援
今日は、仙台で開かれた会議「寄りあいNIPPON」で、基調講演をしてきました。150人を超える人が、集まってくださいました。この会議は、行政だけでなく、NPOや企業など、復興に携わっているさまざまな分野(セクター)の方が、課題を共有し連携協力することで、今後の復興を進めようという仕掛けです。
ありがたい試みです。本来なら、復興庁や地元自治体が仕掛けてもよい会議です。田村太郎さんの「指示」で、二つ返事で引き受けました。
このページでも繰り返し述べているように、復興は行政だけで、できるものではありません。インフラ復旧は行政ができますが、被災者の不安に答えることや、見回りや相談業務などは、NPOの助けが必要です。復興を「国土の復旧」ではなく、「暮らしの再建」ととらえると、企業、NPOそのほかの中間団体、コミュニティなど、さまざまな人や団体の協力が必要です。
私の持ち時間は25分なので、復旧の現状と課題はごく短くして、NPOや企業の方に期待することを、述べてきました。官庁からの解説ではなく、民間の方々への扇動(アジテーション)でした。私の思いが、伝わりましたかね(苦笑)。
発災直後の救助の時期、避難所生活の時期、そしてこれからの本格住宅への移住の時期と、時間が経つと現地での課題も変わってきます。NPOなどに期待する活動内容も変わってきます。これをどう誘導するか。市町村役場とどのように協力しながら進めるか。被災者や国民の理解をどう得るか。必要な資金をどのように調達するか。課題はたくさんあります。
私の持論については、次のページをご覧ください。
「被災地から見える「町とは何か」~NPOなどと連携した地域経営へ~」(共同通信社のサイト「47ニュース、ふるさと発信」2012年8月31日)
直接支援政策と環境整備政策
9月10日の日経新聞経済教室、奧野正寛・東大名誉教授の「政策『先送り』今こそ脱却を」から。
・・一つの経済では、時間とともに、ある産業が成長し、代わりに別の産業が衰退する。その過程で衰退産業から成長産業に、ヒト・モノ・カネなどの資源が移動することが、経済が全体として成長するために必要である。しかし、資源が企業間・産業間で移動するには摩擦がつきまとう・・
そのような産業構造の転換に伴う一時的な失業問題を解決しようとする政策が、産業調整政策である。伝統的に産業調整政策は「積極的産業調整政策」と「消極的産業調整政策」に分けられてきた。これらに「環境整備政策」を加えるのが適切かもしれない。
「積極的産業調整政策」とは、成長産業に資源を誘致するため補助金などの政策援助をするものである。他方、「消極的産業調整政策」とは、衰退産業での雇用や資源利用を援助し、失業の痛みを減らそうとする政策である。「環境整備政策」とは、どの産業が成長産業であるかが分からなくとも、職業訓練などの求職者援助政策によって、資源の産業間移動を促進しようとする政策である・・
消極的産業調整政策は短期的に失業を抑えるプラスの側面がある一方、長期的には、成長産業への資源の移動を抑制し一国経済の経済成長を妨げるという問題を抱えている。日本経済の新陳代謝が妨げられ、潜在成長率が低迷している背後には、日本経済の構造調整を「先送り」させるこれらの政策的・制度的措置があると考えられる・・