岡本全勝 のすべての投稿

今日のささやかな善行

今日、新幹線の車中でのことです。通路をはさんで反対側の座席で、赤ちゃんが、むずかっていました。私は、これから講演する内容をおさらいしつつ、いないないばーをして、相手をしていたのですが。途中で気がついて、若いお母さんに、話しかけました。
「ひょっとして、そのジャンパーが熱いのでは。子どもは体温が高いから。うちの子どもは、そうでした。個人差はありますがね」と。お母さんが、ジャンパーを脱がしたら、効果てきめんでした。
ホームページで、自慢するほどのことでは、ないのですが。

2010.12.01

今日は、慶応大学で講義。今回は、地方交付税の機能と仕組みです。私の専門分野です。「資料なし、目をつむってもしゃべれます」といったら、言いすぎですかね(笑い)。30年近く携わっていると、かなり要領よくわかりやすく、お話しできるようになりました。と、本人は思っています。話している途中で、いろんなことを思い出し、脱線したくなるのですが、それは最小限に抑えて。
あることに詳しくなるには、いくつかの段階がありますね。まずは、理解する、解説できるようになる。次に、全体像と細部の両方がわかる、仕組みだけでなく機能を理解する、一般の方にわかりやすく話せるようになる。さらに、限られた時間で解説できる、といったところでしょうか。結論からお話しすることが、短い時間で理解してもらう、一つのコツですね。
今週は、2度も慶応大学に行きました。

慶応大学大学院講演

今日は18時半から、慶応大学法学部大学院で講演。大山耕輔先生、小林良彰先生のお招きです。与えられたテーマは「地方自治の問題」でしたので、最近考えている「地域社会の課題と行政機構の課題」について、幅広くかつ歴史的・国際的視野から、お話ししてきました。院生が相手なので、話しやすいですね。質問も鋭く、やりがいがあります。
盛りだくさんのことを、短時間にお話ししたので、聞いている方は疲れたと思います。いつもながら、反省です。

農業政策の反省

11月25日の朝日新聞オピニオン欄、松下忠洋経済産業副大臣の「市場自由化と農業、国際化意識した改革急務」から。
・・私は国民新党に所属しているが、かつては自民党農林族として農産物自由化反対の旗振り役を担ってきた。1993年にはガットのウルグアイ・ラウンド交渉でのコメ自由化案に反対して国会前で座り込み、ガット本部前でも韓国の国会議員と共闘して自由化反対を叫んだ。だが、こうした主張が結果的に国内農業の体力を落としてしまったことを痛切に反省している。
米作農家保護のため、94~2000年に投入されたウルグアイ・ラウンド対策事業費は6兆円。主な内訳を見ると、農業農村整備事業費(灌漑施設、農道空港など)3兆1750億円、農業構造改善事業費など(加工出荷施設、温泉施設など)1兆2050億円ーで、約7割は公共事業、施設整備に消えた。受益者の中心は農家や農業よりも建設業者だったことになる。
この間、農家1戸当たりの農業所得は年159万円から108万円に減り、食料自給率も約3%下落した。何のための6兆円だったのか。農家を直接支援して生産額と販売価格の差額を補填し、集落営農の推進や後継者育成策に回すべきだった・・
就農者の平均年齢は66歳。このままでは10年後に担い手がいなくなる・・
詳しくは原文をお読み下さい。

進む三位一体改革ーその評価と課題

月刊『地方財務』(ぎょうせい)2004年8月号、9月号
続きは、続・進む三位一体改革に書きました。

私が、月刊『地方財政』(地方財務協会)に「地方税財源充実強化の選択肢」という論文を書き、税源移譲などの選択肢を論じたのは、平成13年4月でした。その後、地方財政改革とも言うべき動きが動き出しました(もっとも、私が動かしたのではありませんが)。
経済財政諮問会議の提言等を踏まえ、交付税課長としていくつかの地方交付税改革に着手しました。その動きを取り入れて解説したのが、「地方財政改革論議ー地方交付税の将来像」(ぎょうせい、平成14年)です。その出版以来、約2年が経過しました。
正直言って、平成13年時点では、その後直ちに、これほど大きな交付税改革が進むとは考えていませんでした。14年の執筆時点でも、ここまで税源移譲が進むとは思っていませんでした。これは、関係者みんなの共通意見でしょう。三位一体改革が動き出し、かつ期限と数字目標が設定され、それに沿って進んでいることに、感慨無量のものがあります。

しかし、三位一体改革が進んでいることを、喜んでいるだけではいけないのでしょう。平成16年夏に、政府が地方団体に投げたボール「補助金改革案を取りまとめること」は、きちんと打ち返さなければなりません。いくつかの地方団体には、三位一体改革に対し不安もあります。今後の進め方について、理解を得る必要もあります。
今回の三位一体改革は、「走りながら考える」かたちをとってきました。確かに、地方税財源充実強化の方向性としては、関係者の間に共通理解はありました。「国庫補助金削減、税源移譲」です。しかし、具体策になると、十分まとまっていたとは言えません。
走りながら考え、考えながら走ってきました。問題点が見えるたびに、次の手を打ってきたのです。
三位一体改革が進みつつある今、われわれがしなければならないことは、これから2年間に残るノルマを達成することです。そして、「三位一体改革その一」が進んだ後の、次なる「三位一体改革その二」への道筋をつけることでしょう。克服しなければならない課題は、たくさんあります。

  目次
第一章 「三位一体改革」の設定
1 設定まで(平成一三年)
(1)第一次分権改革の成功 (2)予想外の展開ー経済財政諮問会議 (3)地方交付税の算定の見直し
2 「三位一体改革」方針の決定(平成一四年)
(1)「片山プラン」 (2)「骨太の方針二〇〇二」 (3)三位一体の意味 (4)一五年度の芽だし
3 数値目標の設定(平成一五年)
(1)協議不調 (2)分権改革推進会議の「迷走」 (3)「骨太の方針二〇〇三」 (4)その評価 (5)秋の動き

第二章 平成一六年度の成果と評価
1 経過
(1)総理指示 (2)麻生プラン (3)補助率カット案拒否 (4)幻のたばこ税移譲 (5)総理のリーダーシップ
2 初年度の成果
(1)概要 (2)成果
3 関係者の評価
(1)プラスの評価 (2)マイナスの評価 
4 いくつかの論点
5 評価
(1)平成一六年度分の評価 (2)三か年間の評価

第三章 一七年度に向けて
1 これまでの動き
(1)麻生プラン (2)「骨太の方針二〇〇四」 (3)評価一ー進む改革(4)評価二ー政治的意味
2 今後の予想
(1)残されたノルマ (2)対象補助金の選択 (3)地方団体の責任 (4)全体像の明示 (5)関係者の協力と国の決断

第四章 「三位一体改革」の次に来るもの
1 三位一体改革の続き
(1)三位一体改革その二、その三 (2)検討すべき課題一ーどこまで補助金を廃止するか (3)検討すべき課題二ー税源移譲の構想
2 ポスト三位一体改革
(1)財政再建 (2)規制の分権
3 地方財政の将来
(1)財政再建と歳出削減 (2)増税の準備 (3)交付税の将来像

第五章 見えてきたこと
1 地方財政の新展開
(1)理論と政治 (2)動き出した地方財政
2 構造改革
(1)新しい政治の形 (2)改革が進む条件 (3)この国のかたちを変える