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休みは増えたが労働時間は減っていない

10月25日の日経新聞経済教室は、黒田祥子准教授の「日本人男性の労働時間。一日当たり、一貫して増加」でした。
1987年の労働基準法改正で、週間法定労働時間は、48時間から40時間になりました。90年代初めには、週休二日になりました。労働者の年間休日数 は、1985年の92.2日から、2009年の113.7日と、21日も増加しました。1日8時間とすると、170時間の労働時間削減です。
一方、20歳から49歳の壮年男性社員の平均労働時間は、1980年代末に週52時間近くあったものが、1990年代に48時間に減り、2000年代には 50時間に戻っています。そして、1日当たりの労働時間は、1970年代の8時間から年々増加し、2006年には9.1時間にまで増えています。その分、 睡眠時間が7.9時間から7.2時間へと減っています。1日当たり13時間以上働く人の割合も、2%から8%に増えています。
休日は増えたけれど、その分だけ平日の労働時間が増え、睡眠時間を削っているという姿が見えます。疲労が蓄積されるのです。

模擬記者会見

今日、自治大学校の第3部課程では、不祥事の際の、模擬記者会見の授業でした。今回からやり方を変えたので、私も一部を参観しました。
しつらえた記者会見場で、グループごとに記者会見をします。前には、新聞記者役の人(セミプロの人)が陣取り、厳しい質問を浴びせます。ライトが赤々と照らし、しばしば写真のフラッシュが光ります。その様子を、ビデオカメラに収録し、あとでそれを見ながら講評があります。
今や、多くの企業でもやっておられる研修です。このような授業は、座って聞くより、やってみることが一番効果的です。

アメリカ、住民投票ビジネス

10月30日の朝日新聞国際面は、アメリカの中間選挙を伝える記事で、住民投票の署名集めを請け負うビジネスを紹介していました。カリフォルニア州では、9件が住民投票にかけられます。カリフォルニア州では、住民投票のためには、43.4万人の署名を150日間で集める必要があります。州憲法改正の住民投票には、69.4万人の署名が必要です。
一見、高いハードルですが、ある案件は2か月足らずで、必要数の署名を集めたそうです。夫婦二人の会社が請け負い、1,500人のスタッフで集めました。署名1人当たり1.55ドルの出来高払いです。提案者はそのために、103万ドルを使ったそうです。
その他、投票の文言を書く弁護士、運動を仕切るコンサルタントなどのプロが介在し、テレビのコマーシャルにも巨費が投じられます。ときに、1千万ドルにもなるとのこと。企業や労組などのスポンサーがついた投票も多くなります。住民投票もビジネスになる。アメリカらしいですね。

あっという間の10月

もう、10月が終わります。早いですねえ。あっという間に、1か月が経ちました。どうしてだろうと、振り返ってみました。
自治大学校は秋学期が始まり、忙しくなりました。来年度に向けて、研修内容を見直すために、企画会議が続いています。毎週、日本大学大学院のほかに、慶応大学での授業あります。この準備も結構かかります。さらに講演などにも呼ばれました。執筆の方は、連載のほかにいくつか引き受けたものがあり、終わりのない戦いを続けています(笑い)。結婚式やいくつも懇親会もありました。手帳を見ると、10月はちゃんと31日あったのですね(苦笑)。
ついこの間まで、猛暑だとぼやいていたのが、コートを着る季節になりました。11月は出張なども入っています。さらに、あの年賀状の季節が来ます。もう少しゆとりある暮らしができると、思っていたのですが。自分で忙しくしているのですね。困ったものです。

貸し出し機能の衰えた銀行

31日の日経新聞「検証、ニッポンこの20年。長期停滞から何を学ぶか」は、「衰えた金融機能。破綻懸念遠のき、革新怠る」でした。
1990年代、巨額の不良債権処理のためと金融ビッグバンに備え、大手金融機関の淘汰と再編が続きました。これで一部の銀行と証券会社を除き、金融機関は 破綻を免れたのですが、記事では、その後、金融機関の資金仲介機能は低下したと指摘しています。
すなわち、1999年には、国内銀行の預金と貸出金がともに490兆円前後で均衡していたのが、5年後には預金が6%増えたのに、貸出金は17%も減って います。そして、国債保有額が44兆円から102兆円に膨らんでいます。民間企業に回るべきお金が、国や地方団体の赤字を支える方に回ったのです。
・・巨大化や公的資金の注入で破綻の懸念が遠のき、預金が銀行に集まりやすくなった。その半面、お金を将来性のある企業に貸し出す技量を銀行が磨くことは なかった。資産運用など直接金融にかかわる部門を思い切って拡充するなどの改革も不十分だった・・と記事は述べています。