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現場の苦しさと国からの支援

読売新聞が、26日から朝刊1面で、「復興漂流」という企画を、連載しています。避難所や仮設住宅での困難な生活、市町村役場での苦労など。現場でのご苦労が、報告されています。悲しい事案が多いです。
多くの地域で復旧が進んでいますが、その影でまだ十分に行き届いていないこともあり、苦しんでおられる方も多いです。
今回の災害では、国に被災者支援チームをつくり、被災者の支援を行なっています。これは、政府では初めてのことであり、復興本部に被災者支援班を置くことも、初めてのことなのです。しかし、私たち被災者支援チームや復興本部は、東京から、東北3県さらには全国的な被災地や被災者の状況を見ています。どうしても数字でとらえ、類型として把握することになります。もちろん、各地の個別問題も持ち込まれますが、現場の生々しさからは遠くなります。
また、現場で対応に当たるのは多くの場合、市町村職員です。例えば、個別の仮設住宅の立て付けが悪いところを、私たちが修理に行くわけにはいきません。国が行うのは、市町村が被災者支援を行う際に必要な財源や職員の応援を準備し、助言を行うことです。なかなか、被災者を十分に支援できないこと、市町村役場を支援できていないことが、申し訳ないです。

第3回復興本部会合

今日は夕方に、総理官邸で、第3回の復興本部会合を開きました。当面の復旧と復興の事業費を推計し、その財源をどう手当てするかです。他方、基本方針の本文(どのような復興をするか、どのような取組をするか)についても、地方自治体や与党の意見を聞き、各府省と詰めています。
この2つの内容を合わせて、「基本方針」として、今月中に決定する予定で、作業を急いでいます。
各担当の職員が順調に仕事を進めているか、滞っている項目はないか、漏れ落ちている項目はないか、目配りすること。次の段取りはどうするかを考えることが、わたしの仕事です。被災現場から持ち込まれる様々な案件もあり、その対応も忙しいです。なかなか、ゆっくりと考える時間が持てません。いけないことですが。

宮城・福島視察

昨日(土曜日)と今日(日曜日)にかけて、平野大臣のお供をして、宮城県と福島県に行ってきました。仙台港・塩釜港の被災と復旧状況、亘理町と山元町の堤防と農地の被害と復旧状況、相馬市と南相馬市の被害と仮設住宅などです。4月23日24日に視察した時に比べ、がれきがほとんど片付いていました。港湾も、順次再開しつつあります。なんといっても、経済が再生しないと、地域と住民の復興はありません。
市長町長さんたちは、自ら被災しながら、休みなしで指揮を執っておられます。お疲れがでませんように。
これで、今月8回目の東北新幹線でした。20時に東京に戻り、大臣に職場に登庁してもらって、明日以降の打ち合わせをしました。復興本部も、たくさん仕事があります。

被災者支援チーム4か月

被災者支援チームは、5月20日に、「当面の取組方針」を公表しました。そのころには、課題の道筋が見えたので、全体像を明らかにしたのです。1か月後に進捗状況を報告しましたが、今回、2か月後の状況を取りまとめました。地域によって差はありますが、避難所の解消、仮設住宅の建設、がれきの除去、インフラの復旧など、おおむね順調に進んでいます。もちろん、いくつか問題も抱えています。懸命に努力をしていただいている関係者に、感謝します。

このように、被災者支援の仕事は、それぞれの担当である各省・県庁・市町村役場などで、軌道に乗っています。被災者支援チームとして取り組む作業は全体のとりまとめなどで、かなり減りました。そこで、残っている業務を持って、数人の職員が復興本部と内閣府防災担当に移り、支援チームのこれまでの事務所は閉鎖することにしました。チーム自体は、存続します。私をはじめ数人が、仕事を持って場所を移るということです。残りの職員10人ほどは、各省に戻ってもらいます。元もと併任発令で来てもらっていたので、併任解除です。
これまでに支援チームで働いてもらった職員は、約600人にもなります。霞ヶ関には、約4万人の職員がいます。そこから、600人の職員に来てもらったのです。苦労をかけた職員に、感謝します。それぞれの職場に戻られ、活躍されることを、期待しています。

3月20日に支援本部を立ち上げてから、約4か月です。大変なこともあったのですが、過ぎてしまうと、あっという間でした。職員の多くは「大変だったけど、やりがいがあった」と言ってくれます。被災地の状況や被災者の境遇を見て、私たちも必死でした。仕事を始めた当初は、何から取り組んだらよいか分からない、誰に何を指示したら問題が解決するか分からない、といった状態でした。政務の方から次々と降りてくる指示をどうこなすかも。
なるべく職員に無駄なことをさせないように、心がけました。また、明るく仕事ができるようにです。毎日、政務職と事務職が集まって開く運営会議(連絡会議)が、効果的でした。「大変な仕事を、素早く楽しくこなす術を勉強しました」とか「全勝さん流の仕事を学びました」と言ってくれる職員もいます。ありがたいことです(チームの仕事の仕方については、6月20日の記事参照)。
私がしたのは、政務の方の指示であっても、できそうにないことには、「ここまでは努力しますが、そこから先は難しいです」と言うことや、指示が出たその場で「では、このような表を作りますが、それでよろしいですか」「その件は、××省に指示し、○○日までに返事をもらいます」というように、取り組む作業の道筋を整理することです。
懐かしい写真は、「被災者支援チームとは」のページの下にあります。

仕事の概要は整理して、できる限りホームページで公開しました(上の記述でリンクを張ったページなどです)。それが、そのまま記録になるようにです。そのほかに、仕事の途中で気がついたことを、書き留めました。それを文章にするべく整理を始めていたのですが、今度は復興本部に異動し、自分の時間を持てない生活をおくっています。文章が完成するのは、いつのことやら。そのうちに忘れてしまうのでしょうね(反省)。明日明後日も、被災地への出張です。

「基本方針骨子」

今日21日夕刻、総理官邸で、復興本部会合が開かれ、「基本方針の骨子」がおおむね了承されました。「骨子」は、7月中にも作る「基本方針」の骨組みです。今後、これを基に、各府省、地方自治体、与野党の意見を頂き、肉付けします。
本文の最初にあるように、「基本方針は、東日本大震災からの復興に向けた国による復興のための取組みの基本方針であり、また、被災地域の復興計画等の策定に資するため、国の取組みの全体像を明らかにするもの」です。
「復興を担う行政主体は、住民に最も身近で地域の特性を理解した市町村が基本。国は、復興の基本方針を示しつつ、市町村が能力を最大限発揮できるよう、現場の意向を踏まえ、人材、ノウハウ、財政等の面から必要な制度設計や適切な支援を実施」します。
復興には国を挙げて取り組みますが、官だけでなく、民の力も期待しています。知恵、お金、人です。4(2)。
復興に際しては、「インフラの復興」だけでなく、「暮らしの再生」とそれを支える「雇用・企業の再生」を柱にしています。