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岡本行夫さんのボランティア・プロジェクト

8月31日の産経新聞「人界観望楼」に、岡本行夫さんが「漁業復興へ希望の烽火を」を書いておられました。岡本さんの活躍は素晴らしいもので、いつか紹介しようと考えていました。新聞でもたびたび紹介されていますが、よい資料がないので、今日になりました。
漁業の町では、魚が揚がることが、一番元気が出ます。働く場であり、生き甲斐であり、産業と町の復活です。漁師さんだけでなく、氷やさん、運送会社、燃料やさん、そして飲食店と、それにつながってたくさんの企業やお店が再開できるのです。
岸壁は、応急復旧しつつあります。漁船もいくつか残っていたり、他県から寄付されました。沿岸は、がれきが沈んでいるところもありますが、沖合は、世界有数の漁場です。しかも数ヶ月漁をしていないので、沸くほど魚がいるところもあります。ところが、冷凍・冷蔵施設がないと、獲った魚を市場に出荷できないのです。生魚では、販売先が限られます。
冷凍・冷蔵施設は、復旧までに、かなりの月数がかかります。建物、機具、電源など。そこで考えられたのが、冷凍コンテナです。冷凍品を運ぶ、冷凍機能付きのコンテナです。町で見かけるコンテナの、特殊なものです。町ではトレーラーで運ばれ、船ではそのまま積み込まれます。これなら、運んできて電源をつなぐだけです。知恵のある人がいますね。私は聞いた時に、目から鱗が落ちました。
船会社が、コンテナをたくさん無償で提供してくれ、必要な改造は専門のメーカーが協力してくれました。それに、フォークリフト、事務室の机とパソコン、電話機まで。先日お会いした魚市場の方は、「事務機器まで提供してもらった。事務所ごと流されたので、買いそろえると大変だ。中古でも、機能は何も不自由ない。ありがたい」とおっしゃっていました。
行政がもっと早く対応すべきなのでしょうが、このアイデアと早さには、脱帽です。ありがとうございます。このアイデアでつないでもらっている間に、行政は本格復旧を進めなければなりません。

現地での国の仕事

復興本部には、3つの現地本部があります。岩手、宮城、福島です。それぞれ出先機関として、現地での連絡と事業の調整を行っています。宮城現地本部が、「復興だより」を作りました。
今回の話題は、中小企業への仮設店舗設置の支援、漁港の復旧状況、がれき片付けの状況です。写真付きで、事業の成果が良くわかります。ご覧ください。

小学生の日記ではなく、おじさんの日記

今日は現地視察がなく、ゆっくりと職場で、資料の整理とこれからする仕事を考えることができました。土日に出張が入ると、この時間が持てなくて。平日は、大臣からシャワーのように降ってくる指示と、針の山のように突き上げてくる部下からの報告と相談で、自分の時間を持つことができません。
復興本部が取り組まなければならない仕事とそのスケジュールは、26日にも書いたように、「作業計画」として一覧表にできました。これで、次長としての私の仕事は、半分完成です。しかし、どんどん間口が広がり、取り組む仕事が増えたので、各項目が抱える課題も多いのです。
また、いつものように、後で読もうと取ってある資料に目を通し、捨てたり分類したり。部下からの相談に、とりあえずの指示を出してあるものを、もう一度じっくり考えて追加の指示を出したり。思いついて走り書きしておいたことを、指示書に書き換えたり。F参事官、M参事官、M参事官、T参事官、K参事官、Y参事官、M参事官、ごめん。
でも、すべての書類は片付きませんでした。新聞切り抜きも、たまる一方です。毎回(7月31日5月22日)、同じようなことを書いていますね。

先日、息子としゃべっていたら、「最近、お父さんは、同じことばかり繰り返す」と批判されました。私は「歳を取ったからなあ。役所でも、同じ言葉を繰り返しているらしい。もう、お前の時代だ。頼りにしているよ」と言ったら、息子は黙って自分の部屋に逃げていきました。

国と地方の協議の場、新しい行政の実験

今日は福島市で、国と県との協議の場(原子力災害からの福島復興再生協議会)を開催しました。福島県知事からの要望で、実務者同士で、原発事故からの復興を議論する場をつくりました。その第1回目です。国からは、復興担当大臣、原発事故担当大臣、総務大臣ほかがメンバーで、県からは、知事、議長、市町村代表、経済界代表の方がメンバーです。今日は特に、総理と環境大臣も出席されました。
議題は、広く福島県の復興ですが、当面の課題を整理しました。見ていただくとわかるように、大きく分けて、原発事故対策関連と、地域の復興の2つがあります。今後、県と国とで順次議論を重ね、課題を解決していきます。

私はこれを、国と地方との関係の、一つの新しい形だと考えています。国(中央政府)と地方(地方政府、地方自治体)が協議をする場は、これまでもいくつもありました。地域振興計画をつくる場合、あるいは特定事業に関する協議。さらには分権の一つとして「国と地方の協議の場」もあります。しかし、ややもすれば「格式張った儀式」「有識者の意見発表の場」になりがちです(ある新聞記者曰く)。
今回のような、テーマと地域を絞って、継続的に協議をする。国からは関係大臣と担当職員が出席し、実務的に議論するというのは、これまでに例がないと思います。地方にとっては、国に意見が言いやすい。国にとっては、責任ある回答が求められます。言いっぱなし、聞きっぱなしに、ならないのです。現地で開催することも、意味があると思います。

場をつくるということは、重要です。1回ずつメンバーや議題を決めていては、それに労力が費やされます。1回ごとでは、陳情の場、聞き置く場になりがちです。定期的に開くこと、継続が重要なのです。そして、地方自治体からは、ワンストップで、意見を聞いてもらえます。実は、関係府省が集まる府省横断型の対策も、このような場がないと、進めにくいのです。このような場を作れば、各省の縦割りの弊害は防げます。

「これまでにない事態だから、これまでにない対応が必要だ」と、皆さんおっしゃいます。しかし、それをお題目に終わらせず、どう具体化するか。それが、難しいのです。その際に、施策の内容も重要ですが、それを決める過程も重要です。今回の協議の場は、その一つの方法だと、私は考えています。
これまでにない災害と復興は、新しい行政手法を試すことができる場であり、これまで温めたアイデアの実験の場です。官僚の想像力が、問われます。
これは、通常の審議会ではありません。行政法学では、どのように分類されるのでしょうか。今回は、法令をつくることなく、大臣と知事との合意で設定しました。「実務家同士で協議し、課題を解決したい」という、知事の意向です。
もちろん、今後、具体のテーマを協議し、結果を出すことで、この協議会が評価されます。

昨日早朝の本部会合と、今日土曜日の協議の場。2つも大きな会議を、滞りなく設営してくれた職員に感謝します。それも、直前まで議事次第が変更になり、資料が差し替えになるという条件の下でです。

5か月間の成果取りまとめ、今後の作業計画

今朝、官邸で、復興本部会合を開きました(概要)。緊急災害本部や原発事故対策本部と合同です。
これまで5か月あまりの間の、復旧の状況、現在取り組んでいる課題、これからの作業計画を、わかりやすい資料(資料1-1)として報告しました。 基礎数字などは、別冊にしてあります(資料1-1別冊①)。我ながら、よくまとまった資料だと思います。ご利用ください。
私たちの仕事は、国民の皆さんに理解してもらうことが重要です。難しい資料を大量に示しても、読んでもらえませんよね。この資料は、項目を絞り、かつ1ページごとに最初に2~3行でポイントを書いてあります。そこさえ読めば、概要が分かるようになっています。工夫してくれた森参事官、ありがとう。

また今回は、各府省が作成しつつある「事業計画」と「工程表」も、発表しました。港湾や堤防など、インフラの復旧計画です(資料1-1別冊②)。これも、各省が大車輪で作ってくれました。それぞれ、かなり具体的な目標が、示されています。まだ熟度の低い事業は、順次具体化します。
当初、「8月中に取りまとめ、9月に発表する」と言っていましたが、今回の会議に間に合わせました。協力いただいた各省と、取りまとめてもらった上田次長、ありがとうございました。目標より遅れると批判されるのですが、目標より早く達成しても、褒めてくれる人はいませんねえ。

資料1-1のp9には、復興本部の今後の作業計画=何をいつまでにするかを、図にして示しました。これが、私たちがこれから取り組む主な作業一覧です。こうして見えるようにすると、目標による管理になります。今後この図で進行管理するとともに、達成度を評価することになります。復興本部内だけでなく、政府各府省、県や市町村にも共有してもらうことも重要です。もちろん、マスコミや国民の皆さんにも理解していただき、評価してもらえます。