投稿者アーカイブ:岡本全勝

インフラ工事以外の復興支援を、どう認知してもらうか

2014年5月27日   岡本全勝

今日は、石巻市に行ってきました。
まず、NPOのセーブ・ザ・チルドレンの活動を、見せてもらいました。この団体は、世界の子どもたちを支援することを任務としていますが、東日本大震災も対象にしています。石巻市もその一つです。子どもたちと遊んでいる現場を見るのかと思ったら、市内の子育て関係者の会議でした。子ども・子育て支援制度が新しくなり、これまでの保育園や幼稚園だけでなく、NPO等がやっていた子育て支援活動も国費支援の対象となります。それを地元のNPO関係者にも説明する会議です。内閣府からは西田君(去年まで復興庁で私の部下でした)が来て、熱弁をふるっていました。
幼稚園や保育所では漏れ落ちる子育て支援、子どもの相手を、NPOや個人が補ってくれています。これは全国共通ですが、被災地では特にその必要があるのです。しかし、国の制度に乗っていないので、誰がどこで何をしてくれているか、全体像は把握できません。
これまで、市役所の対象(業界)に入っていなかったこれらの団体に、どのように国の支援制度を周知するか。これが難題です。セーブ・ザ・チルドレンが、その役割を担ってくれているのです。資金の支援の前に、情報の支援が重要なのです。また、いずれ市外からの支援団体は、「撤退」します。地元の団体が自立することが、復興ですから。その過程の一つです。
次に、石巻市役所で、応援に入っている職員と意見交換をしました。他の自治体からの派遣職員は、100人を超えているのですが、この方々は今回は勘弁してもらって、そのほかの仕組みで行っている職員たちです。
一つは、企業からの派遣。もう一つは、ワークフォー東北で行っている職員。もう一つは、復興庁が採用して市町村に駐在している職員です。合わせて10人ほどいるのですが、なかなか情報交換する機会がありません。しばしば会う市長や副市長との挨拶はサッサと切り上げて、この職員たちと意見交換をしたのです。激励をかねて、仕事の内容や困っていることなどを聞いてきました。
ほとんどの方が、民間企業経験で来ています。役所の流儀は、とまどいます。「はんこが多い」「挨拶がない」とか。他の自治体経験がある人も、石巻市役所の流儀とは違います。志は高いのですが、それだけでは、市役所の組織内では仕事は進みません。
そのあと、積水ハウスの新採職員研修の現場を、見てきました。積水ハウスは、新採職員研修の場として、被災地でのボランティア活動を組み込んでいます。被災の現場を見て、オリエンテーションを受け、そして仮設住宅の清掃や側溝の泥出しなどの活動をします。
こう書けば簡単なようですが、被災者に迷惑になってはいけない、新採職員でもできる仕事でないといけない。現地での要望とのすりあわせ、宿泊や輸送の準備など、結構な準備も必要です。それを、NPOが仲介しているのです。「なるほどね」と納得し、感心しました。
会社の方から聞きましたが、職員研修に、大きな効果が上がっているとのことです。擦り傷くらいはありますが、事故はないとのこと。いろいろと苦労はあるようですが。
側溝掃除(この場所は、発災以来3年間掃除をしたことがなかったそうです)で、泥だらけになった職員たちを見て、「この後のビールが、おいしいやろうね」と言ったら、「研修ですから、禁酒です」とのこと。失礼しました。
報道では、復興というと、高台移転やかさ上げ工事などが取り上げられます。それに比べ、このような支援活動は、一つひとつが小さい、数字に表せない、写真に撮りにくいので、あまり報道されません。重要な取り組みなのですが。
このような、復旧工事とは違う取り組み、行政ではない支援活動を、どのように世間に知ってもらうか。そして今後の日本社会に根付かせるか。一つひとつは小さな活動ですが、社会を変える大きな流れになるでしょう。そして流れにしたいのです。私としては、長年課題としている「日本の行政の変化」の一つです。
参考、復興庁のNPOとの連携のページ活動事例企業による支援活動

広い視野から大震災を考える

2014年5月26日   岡本全勝

今日は夕方から、「災後の文明」フォーラムを聞きに行ってきました。これは、御厨貴ほか『災後の文明』(2014年、阪急コミュニケーション)の発刊を記念したフォーラムです。執筆に当たられた先生方が発表と討論をされ、招待を受けた観客が参加しました。
日々、復興の仕事に携わっていると、それはそれで復興に詳しくなるのですが、広い視野や長期の観点からの考察がおろそかになります。蟻の目になって、鷹の目を忘れるのです。皆さんの発言を聞きながら、いろいろと考えました。サントリー文化財団は、広い文明論・文化論の視点から、いろいろと良い企画をしてくださいます。
私の考えは、「大震災、変わらない日本社会、変える日本社会」(2014年3月17日、18日)に、書いたことがあります。
会場で、何人かの研究者と話を交わしました。ある研究者から、次のような議論を提起されました。
・巨額の資金と人員を投入しているが、その効果の検証はどうなっているのか。まだ工事途中であるが、いずれ検証が必要である。インプットやアウトプットでなく、アウトカムである。
・すると、人口減少が続き、また今後も続くであろう津波被災地での、本当の復興とは何であろうか。阪神淡路大震災までは、人口が増える時代の復興であった。今回は日本全体、特に被災地では人口減少が続くなかでの復興である。人口がどれだけ戻ったか、産業の出荷額がどれだけ戻ったかのような指標では、復興は成就しないだろう。
・復興とは、町でも人でも、自立することであろう。支援を続けている限りは、復興とはいえない。
・町の復興計画も、当初作ったものより、見直しをして縮小する必要がある。いくつかの自治体では、行われているようであるが。
・復興を機会に、コンパクトなまちづくり目指して、集落の集約も行うべきである。
後の2つは、まさに先週、参議院予算委員会で議論したことでした。前の2つは、これから取り組まなければなりません。

会社が求めるのは大学の成績だけではない

2014年5月25日   岡本全勝

朝日新聞5月23日オピニオン欄、ニューヨークタイムズからの「グーグルが求める人材5条件」から。
・・世界で最も成功している企業の一つ、米グーグルで採用責任者を務めるラズロ・ボック人事部門担当上級副社長は昨年6月、ニューヨーク・タイムズ紙のアダム・ブライアント記者のインタビューでこう述べた。
「大学の成績評価(GPA)は採用基準として価値はなく、試験の点数は何の役にも立たない。こうした数字からは何も予測できないことがわかった」・・
・・「全社的な採用条件は五つある」という。「技術関連の仕事なら、プログラミング能力を評価する。仕事の半分は技術職だ。ただし、どの仕事においても我々が一番求めているのは、全体的な認識能力であり、知能指数(IQ)ではない。認識能力とは学習する能力であり、状況に応じて処理する能力であり、種類の異なる情報の断片を組み立てる能力だ・・
・・次に求めるのは「従来型のリーダーシップではなく、創発的なリーダーシップ。従来型は、チェスクラブの会長だった、販売部門の部長だった、どれくらいの早さでその地位に就いた、とかだ。そんなことはどうでもいい。重視するのは、問題に直面したときに適切なタイミングで進み出てチームをリードできるかだ。同じく重要なのは、自分は後ろに下がり、指揮をとるのをやめ、ほかの誰かに任せられるかだ。実行力のあるリーダーに重要なのは、いつでも権力を手放す覚悟だからである」・・

初夏の日曜日

2014年5月25日   岡本全勝

今日の東京は良い天気で、暑いくらいでした。昨日は出かけたので、今日は静かな職場で、いくつかの懸案を処理。明日朝、職員が直ちに処理できるように、担当参事官の椅子の上に指示書を置いたり、メールで指示を出しておきました。ごめん、H1参事官、H2参事官、S参事官。
今日も、何人かの職員が出勤していました。また、昨日のうちに、メールで私に報告をあげてくれた職員もいます。申し訳ない。
早々と仕事を切り上げて、紀伊國屋に。読まないであろう本を買い込み、そそくさと帰宅。今朝家を出るときに、玄関横の椿の葉っぱに、チャドクガの幼虫がびっしりとついているのを発見したのです。直ちに葉っぱごと捨てましたが、風通しを良くするために、剪定することにしました。枝と葉が元気よく茂って、そろそろ剪定しなければならないと思いつつ、先延ばししていたのです。
素人がやると、切り込みすぎましたかねえ。スカスカにしてしまいました。キョーコさん曰く「枯れないかしら」。

地方財政学会、福島大学

2014年5月24日   岡本全勝

今日5月24日は、地方財政学会(福島大学)で、シンポジウム「原子力災害と地方自治体」に出席しました。私は会員なので、当然の義務です。遠藤雄幸川内村長の現場からの報告とあわせ、福島の復興の現状と課題をお話ししました。
もっとも、持ち時間が20分なので、詳しくはお話しできません。しかし、短時間に何をしゃべるかを考えることは、頭を整理する良い機会です。講演会では、しばしば、しゃべりたいことが多くて、さらに時間が足らなくなることがあります。皆さんも、経験があるでしょう。
もし、「持ち時間5分」といわれたら、何をしゃべるか。最低限、何を伝えるか。それを考えることは、良い訓練になります。講演会だけでなく、大臣など上司への説明の時間が短くなった場合(これはしばしば起こります)や、お客さんに説明する場合などにも、共通します。
さらに講演会では、私が話したい内容とともに、観客が何を聞きたいかも、重要です。すると、観客の皆さんに、「今日は何を持って帰ってもらうか」を、考えなければなりません。そして多くの場合、観客は、話の内容について素人です。だからこそ、講演を求められるのです。同業者との討論と違い、知識の十分でない方への語りは、それなりに工夫が必要です。
私の場合は、必ず事前に、主催者に、観客がどのような人たちか、そして私に何を期待しているかを確認します。それから、まずレジュメを作ります。それに合わせて、資料をそろえます。その段階では、とても時間内に収まりそうもないくらいの資料になります。それからもう一度、レジュメを再考し、資料を思い切って削ります。
それでも、しゃべっているうちに、時間が足らなくなります。話の途中で、わかりやすいように、あるいは観客の注意をひくために、実例を入れたりして、脱線するからです(反省)。でも、レジュメに、今日持って帰ってもらうことは書いてあるので、大丈夫です。私は、パワーポイントは嫌いです(2011年11月6日の記事)。
会場では、旧知の学者の方々と、久しぶりに挨拶を交わすことができました。「早く、『新地方自治入門』を改訂してください。授業で使っているのです」という要望もありました。すみません、本業が忙しくて。また、近年は地方行政の現場から離れているので、難しいです。後輩たちに、期待しています。
帰りは某有名新聞記者につかまって、東京駅まで新幹線中で、地方行政、過疎地のあり方、地方振興について、議論を続けました。