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通常国会終了

9月7日に、国会が閉会しました。真冬の1月から始まって、春と夏を越し、秋風の吹く9月まで、8か月間の長丁場でした。
復興庁が提出した「福島特別法案」は3月に成立したのですが、その後も復興関連の質疑は続き、なかなか気は抜けませんでした。毎年、通常国会は延長されるのですが、お盆前に終わることが多いのです。9月まで延長されたことは、珍しいです。すると、関係職員は、夏休みをとれなくなります。
この間、質問通告を振り分け、答弁資料をまとめていた国会班の諸君。毎日、朝早くから夜遅く(朝早く)まで、ご苦労さんでした。次の国会が開かれるまで、少しゆっくりしてください。
私は、2004年1月から2006年7月まで、総務省大臣官房総務課長(国会担当)を務め、通常国会を3回経験しました。国会担当職員には何年も経験するベテランがおられますが、課長で通常国会3回は、たぶん私くらいでしょう。
その頃の記録は、このホームページの目次3日本の行政(1)国会の「法律ができるまで」に、残してあります。いま読むと、懐かしいですねえ。たとえば、2006年6月21日の記事。

25年度予算要求

今日、平成25年度予算の概算要求を提出しました。復興庁は、自ら実施する事業のほかに、各府省が行う復興予算を一括して要求します。それらを合わせて、約2.8兆円です(p1)。ただし、まだ数字が確定できず「事項要求」(予算査定の過程で、数字を確定するもの)もあります(p2)。
内容は、被災者支援、まちの復旧・復興、産業の振興・雇用の確保、原子力災害からの復興・再生、の4つに整理してあります。
復興庁の職員が、何度も被災地に足を運び、自治体の要望を聞いて調整しました。
復興特別会計には、復興庁以外の府省が要求するものもあり、それらを合わせると約4.4兆円です(p11)。

閉ざされた組織が、知の創造を断つ・その3

引き続き、野中郁次郎先生のインタビューです。
・・1972年にアメリカから帰り、日本企業の技術革新を研究しました。アメリカで学んだのは、物事を分析的に計量し、情報処理した結果が経営判断につながるという考え方でしたが、現場に入ってみると、そうでもない。
ホンダの小型車やキャノンのプリンター、富士ゼロックスのコピー機など、画期的な製品の開発者に聞くと、「私はこれがやりたいんだ」とまず語るのです。最初に個人の直観や主観があって、その信念や価値を組織にぶつけ、説得しながら形にしていく・・

そうですね。目標を与えられて、それを達成する効率的な方法を考える場合なら、分析的手法が役に立つでしょう。そして、その思想で設計された工場では、マニュアル通りに作業をすることが効率的です。
しかし、新しい製品やこれまでにないサービスは、分析的手法からは生まれません。これまでの傾向線を延長しても、新しいものは出てきません。
それはまた、先進国に追いつく際の手法=お手本を効率的にまねることと、先進国に追いついた後の前進=自分で考える際に必要な思考との違いでもあります。

「アメリカ流がダメなら、アメリカ企業もダメになるのではありませんか」という問に対しては。
・・アメリカ流がダメと言うより、日本の完璧主義、過剰適応が問題なのです。アメリカは基本的に実用主義(プラグマティズム)です。とにかくやってみようということです。ルールは状況に応じて柔軟であるべきだと考え、実はおおざっぱ。そうでないと、リスクもとれないしベンチャー精神も発揮できない・・

うーん、これが正しいとすると、アメリカ流の経営学を日本に広めているアメリカ帰りの学者さんと、アメリカに留学してそれを持ち帰っている企業の幹部候補生の罪は大きいですね。失礼。