岡本全勝 のすべての投稿

危ないと子をしかるより手を引こう

交通安全標語に、「危ないと子をしかるより手を引こう」というのがあります。昭和51年の最優秀作品だそうです。これは子ども(親)向けの標語としてだけでなく、職場の上司にとって有効な標語だと気づきました。
部下が失敗を犯した場合、あるいは期待しただけのことを達成しなかった場合に、しかることは良くないです。詳しくは、『明るい係長講座』をお読みください。
まだ経験不足の部下や、少し荷が重いかなという仕事を命じた場合、目標を達成できなかったなら、それはほぼ上司の責任です。失敗してからしかるより、事前に適切な助言をすべきでしょう。「やっぱり、ダメだったか」は、部下が悪いのではなく、上司が悪い。できないことを期待した、あなたが悪いのです。
初めて、我が子をお使いに行かせる場合。あなたは、どうしますか。じっくりと教えて、場合によっては後ろから隠れてついて行きますよね。

国際的な社会のリスク

1月9日の日経新聞夕刊が、世界経済フォーラム(ダボス会議)が「2013年版グローバル・リスク」をまとめたことを、伝えていました。
この報告書では、経済、環境、地政学、社会、科学の5分野で、それぞれリスク要因を挙げて、その影響の大きさと可能性を数字で表しています。リスク要因としては、慢性的財政赤字、所得格差、地球温暖化、気候変動への対応、テロ、国際ガバナンスの失敗、水や食糧不足、高齢化、宗教対立、重要システムの故障、サイバー攻撃などが挙げられています(報告書p4)。
個人のリスクは各人が予防し、さらに共助や公助で救います。国家内のリスクは、各国政府が責任を持ちます。国境を越えたリスクを、どう予防し管理するか。
そこには、気候変動や伝染病といったそもそも国境のないリスク、テロやサイバー攻撃のように国境を越えるリスク、戦争のように国家が起こすリスク、財政危機や金融危機のように他国に影響を与えるリスク、食糧不足や高齢化といった各国に共通するリスクがあります。そして、科学技術の進歩と経済のグローバル化が、各国を相互依存させ、リスクを拡散しやすくしています。
連載「社会のリスクの変化と行政の役割」では、国際的リスク管理は、ひとまず対象外にしたのですが。

日本で、ソマリアの海賊を裁く

1月12日の朝日新聞夕刊に、「本邦初、海賊法廷」という記事が載っていました。2011年、ソマリア沖で日本のタンカーが襲われた事件で、「ソマリア人海賊」の裁判が、東京地方裁判所で始まるのです。
この事件が日本で裁かれることについては、2011年9月11日の記事で紹介しました。 また、ドイツでの海賊判決も、紹介しました(2012年10月21日の記事)。
今回の事件は、場所は公海上、船はバハマ船籍、乗組員に日本人はいません。海賊をどこで裁くかの国際的ルールがなく、どこも引き受けないので、船の所有者の国で裁判をします。

飛行機を飛ばせる仕組み、モノの後ろにある仕組み

「飛行機はなぜ飛ぶか」という問に対する答えは、航空工学の範囲です。しかし、「飛行機を飛ばせる」となると、どれだけの分野が関係してくるか。先日、本屋で航空工学の棚を見ていて、東京大学航空イノベーション研究会著『現代航空論―技術から産業・政策まで』(2012年、東大出版会)を手に取りました。
目次を見てもらうと、飛行機が飛ぶためにどれだけの仕組みが関係しているかが、わかります。
第1章、航空機の技術と製造。第2章、航空輸送とその安全。第3章、空港政策の変遷と今後。第4章、航空交通システム。第5章、航空機ファイナンス。
飛行機の機体を作るだけでなく、運行するためには、空港、客室乗務員、地上の職員(整備、給油、機内食)、予約と発券と料金徴収の仕組み、航空管制、会社の経営など、様々な仕組みが必要です。そして、それら民間会社だけでなく、安全のための規制、さらには乗り入れの国際交渉など、政府も関わってきます。
飛行機の機体の周りに、目に見えるサービス関係者と、目に見えない仕組みがたくさん張り巡らされています。
私は、『新地方自治入門』で地域の財産を分類して、公共施設の他に、制度資本を取り上げました(そのほかに、関係資本と文化資本も)。例として、水道の蛇口を示しました。蛇口だけを持って帰っても、水は出てきません。その後ろに、膨大な仕組みがあるのです。取水、濾過殺菌、配水、料金徴収と。航空機関連産業も水道関係組織も、もの作りと運営のために、組織があります。そしてその組織を効率よく動かすために、職員の採用、育成、給料支払い、福利厚生と、職員管理組織が必要になります。また各組織を管理運営するための、管理組織が必要になります。
目に見えるモノの後ろには、目に見えない膨大な仕組みがしかも複雑につながって、支えています。

内容の濃い1週間

今日は金曜日。怒濤のような1週間が終わりました。今週は内容が濃かった上に、日曜から働いたので長かったです(苦笑)。
補正予算案の作成や説明と、復興推進会議と復興加速のための総理指示。それら公表、公開されている資料や会議の後ろには、すごく大きな作業が隠れています。正月を返上して働いてくれた職員のおかげで、乗り切ることができました。
もっとも、補正予算決定は来週火曜日。続いて新年度予算案の作成があり、総理指示の具体化という大きな作業が待っています。それぞれ進めてはいるのですが、詰めを行わなければなりません。
12日の総理の宮城県視察は別の統括官に任せ、お休みをいただきます。13日14日の復興大臣の福島県と宮城県視察に同行します。