岡本全勝 のすべての投稿

会計帳簿が変える世界の歴史、2

『帳簿の世界史』第13章は、「大恐慌とリーマン・ショックはなぜ防げなかったのか」です。
大恐慌をきっかけに、アメリカでは、グラス=スティーガル法を作り、銀行業と証券業の兼業を禁止します。また、証券取引委員会(SEC)が設置されます。
1975年にSECは、「全国的に認知されている統計的格付け機関」を制度化し、ムーディーズ、スタンダード・アンド・プアーズ、フィッチの3社を指定します。この3社が、企業や国家の債権格付にお墨付きを与えたのです。ところが、その監査法人が、顧客である会社の監査とともにコンサルティングを行います。そこに癒着が生まれます。1999年には、グラス=スティーガル法の「銀行業と証券業の分離」規定も廃止されます。
エンロンの破綻により、粉飾決算に加担していたアーサー・アンダーセンが解散に追い込まれます。
・・・エンロンの一件で皮肉なのは、アーサー・アンダーセンが行った監査の一部は十分にまともだったことである。優秀な中堅クラスの監査担当者は、2001年に、エンロンの疑わしい取引と不正経理を明白な証拠とともに上司に告発した。ところが年間1億ドルのコンサルティング・フィーを失うことを恐れた幹部は、この告発を無視したのである・・・(p325)。

こんなことも起きます、仮設住宅の不適正利用

6月23日の岩手日報が、「居住実態のない仮設40戸。大船渡市、退去求める方針」を伝えています。
・・・大船渡市は22日の市議会本会議で、倉庫代わりに利用するなど居住実態のない仮設住宅が約40戸あると明らかにした。仮設住宅の集約と土地の明け渡しに支障が生じかねず、市は個別に訪問して退去を求める。最終的には法的措置も含めて検討する方針だ。
市は昨年6月、居住実態のない仮設住宅は約70戸とみられると公表。その後、仮設住宅の自治会、支援員からの情報や職員の訪問などで実態把握や退去の呼び掛けを進め、退去戸数を精査した・・・
残念なことですが、このような人もいます。すると、市役所の職員の仕事が増えます。

今日の言葉、サイバー攻撃

今日24日の日経新聞1面コラム「春秋」に、次のような言葉が載っていました。
・・・世間には2種類の組織がある。サイバー攻撃をすでに受けた組織と、攻撃されたことにまだ気付いていない組織だ―イスラエルのサイバーセキュリティ専門家、K・エリザリ氏が日経サイエンス8月号でこんな冗談を紹介している・・・
この言い回しは、ほかでも応用できそうです。

復興の後期5か年事業枠組み決定

今日夕刻、官邸で復興推進会議(全閣僚会合)を開いて、「復興の後期5か年事業枠組み」を決定しました(資料NHKニュース)。このページで実況中継していたように、与党の了承、3大臣会合、そして3県知事への説明を経て、今日の決定になりました。5か年間の事業量を見通し、その財源を確保する。これまでにない仕組みです。これで、被災地も安心して事業を進めることができます。総理も、その点を強調しておられます。関係者の皆さんに、感謝します。
会議にあわせて、「復興の現状」、「取り組みと関連諸制度」も更新しました。最も簡単な2枚「道のりと見通し」も最新版にしました。ご利用ください。
一息つくまもなく、復興庁職員は平成28年度の予算要求のために、関係自治体と調整作業に入ります。