月別アーカイブ:2026年9月

地方2026ヒット番付

2026年9月19日   岡本全勝

時々このホームページで紹介する『自治体のツボ』、連日、広範な情報を拾い、鋭い指摘を続けています。9月17日は「地方2026ヒット番付」でした。載せられた上位番付は、なるほどと思います。
あなたなら、地域のヒット作にどのようなものを挙げますか。

・・・日経MJが上半期のヒット番付を掲載していた。地方ものがなくてつまらん。西の前頭4枚目にようやく帝国ホテル京都が登場しただけ。もっとあるでしょ。と思い、現時点の番付を作った。ヒット商品を集めたので、解説はしない。探し疲れて書く気がしないのでもない。
【東横綱】群馬県パスポート
【西横綱】ママ市長産休
【東大関】南鳥島
【西大関】飛鳥・藤原
【東関脇】帝国ホテル京都
【西関脇】奈良監獄ホテル

綸言汗の如し2

2026年9月18日   岡本全勝

「綸言汗の如し」の続きです。肝冷斎が私の記事を取り上げていました。

・・・「綸言」は、王のことばは繭から引き出した糸(綸)のように元(の繭)には戻らないことを喩えた礼記の語ですが、汗の如しは、かつて幼い皇帝(漢の元帝)が弟に葉っぱの詔書で楚王に命ず、と言う。ままごとのようなことなのですが、それを知った賢者・劉向が深刻な顔をして「号令汗の如し」(王様の言葉は汗のように一度出てしまえば引っ込まない、臣民に疑わせてはならないのですぞ)と教え諭して、実際に楚王に任命させた、という(漢書・楚元王伝)。王者の責任の重さとか公定力を言ってるんだと思うのですが、子供のやってることなんだからめくじら立てなくても・・・

この続きの記述は、差し障りがあるかもしれないので引用しません。関心ある方は、続きをお読みください。
肝冷斎のホームページは、少し復旧したようです。スマートフォンであの記事を入力するのは、しんどいでしょうね。

放蕩のアメリカ、高齢の日本、貧乏のヨーロッパ

2026年9月18日   岡本全勝

9月4日の日経新聞、ロビン・ハーディング、ファイナンシャルタイムズ・アジア・エディターの「放蕩か高齢か貧乏か 日米欧、ましな借り手は」から。
わかりやすい表現です。「多くの国では政府が大盤振る舞いを約束する一方で、経済はそれを支える力を失いつつある。しかも、こうした厳しい現実を有権者に突きつける政治的意志はほとんどみられない」という記述が肝ですね。

・・・あなたがある銀行の融資審査委員会の委員長で、3件の案件が審査に上がってきたとしよう。次のうち、どの相手に融資するのがよいだろうか――。
1件目の借り手は起業家として成功したものの、どこかで道を踏み外したようで、パーティーや薬物に途方もなく浪費する放蕩(ほうとう)者で、このライフスタイルを維持するのにもっと現金が必要だという。
2件目の人物は実業家で、高齢ではあるが評判はよい。莫大な借金を抱えながら、まだ散財する計画を立てているが、多くの資産を保有し、勤勉さでも定評がある。問題は今後、どこから収入を得られるのかという点だ。
3件目は威厳のある大邸宅に住む貴族だ。ただ、かなりの借金を抱えており、子どもの教育費や馬の維持費、屋根の修理代など出費も非常に多い。邸宅は外から見た目はよいが、部屋の中は寂しく、持ち主が今後どれほど稼げるか疑わしい。
これら3つの借り手は、先進国の財政状況が軒並み悪化するなかで、世界の投資家がどこに資金を振り向けるべきかという選択を象徴している。

候補1は米国だ。国内総生産(GDP)の6%近くに相当する財政赤字を抱えているが、その大きな理由は「増税などアメリカらしくない」という発想をしている以外に見当たらない。しかも、その状況を改める計画もなければ、どうやら改めるつもりも全くなさそうだ。
候補2は日本だ。巨額の公的債務を抱える一方で、人口の高齢化が進んでいる。しかも長年にわたるデフレ問題を克服したにもかかわらず、財政赤字を続けるという奇妙な決断を下した。もっとも日本の場合、政府も国民も多くの資産を保有している。
候補3は欧州だ。債務国が多く、中でもフランスやイタリア、英国などは債務レベルが高い。欧州では少なくとも建前上は公的債務や財政赤字は抑制すべきだ、との注意喚起がなされている。しかし、多くの国では政府が大盤振る舞いを約束する一方で、経済はそれを支える力を失いつつある。
しかも、こうした厳しい現実を有権者に突きつける政治的意志はほとんどみられない。
各国債の利回りは上昇傾向にある。30年物国債の利回りは日本が4%を超えており、米国と英国は5%台と、債務を抱えるすべての国には例外なく財政上の圧力が強まっている。
各国は自国の財政問題と、それを招いた政治家たちの放漫ぶりを嘆いている。いずれの国も2008年の世界金融危機以降、公的債務が大幅に増加しており、特にコロナ禍以降に増加した・・・

・・・日本は長年にわたり巨額の公的債務を抱えており、そのため日本は世界でも例外的な存在だとみなされてきた。とはいえIMFによれば政府が保有する金融資産残高を差し引いた純債務は26年末にGDP比で134%になることが見込まれ、ほかの先進国とそれほど大きな差はないように見える。
日本が直面する財政問題で最もやっかいなのが、容赦なく進む人口の高齢化だ。これにより医療や年金にかかるコストが毎年膨らみ続ける一方、それを負担する生産年齢人口は減る一方だからだ。
現在、日本には財政問題に取り組む好機が訪れている。デフレからインフレに転じたおかげで、ゼロ金利時代に借りた債務の価値が目減りしている。だが、高市早苗首相は不必要な歳出拡大を進め、この絶好の機会をみすみす棒に振る決意を固めているようだ。もっとも、それらの歳出は少なくとも手厚い福祉で固定化される経費ではなく裁量的なものだ・・・

連載「公共を創る」第270回

2026年9月17日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第270回「これまでの議論ー制度ではなく課題の所管を」が発行されました。

「人間らしい生き方への被害」というべき新しいリスクとそれに苦しむ弱者は従来の社会保障制度では救済できず、さらに憲法の考え方にも変更を迫るものです。再チャレンジ政策はこの課題に取り組んだのですが、不十分なままに終わってしまいました。
ところがその後、「人間らしい生き方への被害」「社会生活で苦しむ弱者」への対応は、政策としての統一的方針がないままに、事実上は進展しました。例えば、男女共同参画、働き方改革、子育て支援などは、政府の取り組みとともに、国民の意識の変化と社会の仕組みの転換によって大きく進んでいます。
このほかにも、社会保障制度から漏れ落ちている「弱者」への支援の動きが広がりました。民間では「子ども食堂」です。政府の中でも、2024年から内閣府に政策統括官(共生・共助担当)が設置され、厚生労働省社会・援護局が、地域共生社会の実現に取り組んでいます。

私は、「生活省」(または生活者省)の設置を主張しています。それは、ここで議論している社会生活問題に本格的に取り組むためであり、行政の任務が大きく変わったことを明らかにするためにも必要だと考えるからです。生活者、消費者、社会的弱者を行政の対象とし、その人々を守り、支援する施策です。そのような施策を任務としている課や局を、統合して一つの省をつくるのです。私が対象と想定している事務と部局は、次のようなものです。
【共生社会の実現など】内閣府政策統括官(共生・共助担当)、男女共同参画局
【消費者の保護など】消費者庁、食品安全委員会
【子育てや家庭を対象とする事務】こども家庭庁
【働き方改革】厚労省雇用環境・均等局
【社会的弱者を対象とする事務)厚労省社会・援護局
【定住外国人を対象とする事務】出入国在留管理庁在留管理支援部

公務員の仕事の仕方や発想の仕方に、二つのものがあります。一つは制度を所管するという発想であり、もう一つは課題を所管するという発想です。生活省は、各省に分かれている部局の組織と制度を一つに統合するとともに、「課題を所管する役所」にすべきでしょう。

ところで政府の在り方について、我が国は約40年、「小さな政府」を目指して、業務を切り出して民間に委託したり、民間への規制を緩和したりしてきました。「新自由主義的改革」と呼ばれるように、自由と平等を求める近代の一つの方向であったと言えます。しかし、その努力により目標はほぼ達成したように見えます。
他方で新しい社会の課題が発見され、行政需要は減るどころか、増えているようです。2001年の省庁再編時に各府省設置法に列記されていた929の所掌事務は、2026年度には1157に約2割増えています。人口は減りつつあるのですが、政府と行政への期待は膨らんでいるように見えます。経済産業分野についても、政府による関与を縮小してきたのですが、近年はそれについても政府の役割が再認識されています。

社会的能力のピークは55〜60歳

2026年9月17日   岡本全勝

9月5日の日経新聞に「社会的能力のピークは55〜60歳 経験豊富、起業や転職増加」が載っていました。
・・・見識の深さや理性的な判断力など、人の社会的な能力は何歳で最も高まるのか。最新の海外研究は55〜60歳ごろに最も高くなる可能性を示した。働き手は強みを生かしているのか・・・
記事では、新しく事業を始める人の割合が50代が27%、60代が21%になったことを書いています。その人たちの発言として、これまでの勤務経験が役に立っていること、30代でやっていたらうまくできなかったかもしれないことが紹介されています。もっとも、50代になると職場での将来が見えてきて、起業しようと考える人もいるのでしょう。

西オーストラリア大学などの研究結果が、表になって載っています。それによると、各年代で最大化する能力は、次の通り。
若年期(20~30代) 記憶力、処理速度、視覚情報処理、外向性
中年期(40~50代) 誠実性、協調性、感情理解
高齢期(60代以降) 語彙力、一般的知識、情緒安定性、金融リテラシー

ノーベル賞級の発見は、多くの科学者は若いときに成し遂げますよね。これは社会的能力とは別でしょう。
私が総理秘書官や復興庁で仕事ができたのも、それまでの経験と人脈があったからです。この二つは、経験を積まなければ身につきません。人工知能が代行できるでしょうか。仕事で身につく能力、つけなければならない能力が議論されていますが、「社会的能力」という見方はよい視角です。
ただし私が議論したいのは単なる(世間を生きていく)社会的能力でなく、組織における「部下としての能力」と「管理職としての能力」「幹部としての能力」です。「国家公務員に必要な57の技能」「官民転職増加、技能の見える化へ」

記事にあるように、若いときに記憶力や処理速度が早いことは納得します。高齢期に語彙力が大きくなるのは、蓄積があるからでしょうが、忘れることも多いですよね。なかなか単語が出てこないのです。なにより歳を取ると、体力が落ち、気力も減ります。新しいことへの挑戦や、付き合いなども面倒になります。個人差はあるでしょうが。