月別アーカイブ:2026年6月

立命館大学で講義2

2026年6月2日   岡本全勝

立命館大学で講義」の続きです。
大学から、出席した学生約100人からの感想文と、13人からの追加質問が届きました。講師が話しっぱなし、学生は聞くだけという授業より、効果があるでしょう。

感想文はそれぞれに長いもので、目を通すのが一苦労です。でも、私が伝えたかったことが理解されていたので、まずは満足です。
・大震災の際に政府がこんな対応をしていたことに驚いた。
・公務員は決められたことをするものだと思っていたのに、新しいことを考える役割もあることがわかりました。
・公務員の仕事は「集団競技」「接客業」という説明は斬新でした。
・「新聞を読め」と多くの人はおっしゃいますが、その読み方、必要性を教えてもらったのは初めてです。
・困ったときに一人で悩まずに、相談することの重要性を知りました。

写真も送ってもらったので、つけておきます。

走ることを目的としてしまう

2026年6月2日   岡本全勝

5月26日の朝日新聞オピニオン欄「公害の原点」、保阪正康さんの発言「目標に一直線、先を考えぬ国民性」から。

―専門の昭和史研究で、水俣病を始めとする公害の問題をどうとらえていますか。
「私たちの国は、昭和の時代に二つの実験をやったように思います。一つは、1931年の満州事変から戦争に突き進んで敗戦に至るまで。もう一つは戦後の60~74年、池田勇人首相が『所得倍増』を打ち出して高度経済成長を推し進め、オイルショックで急停止するまでの時代のことです」
「同じ14年間で、国を破局に導き、かたや世界第2位の経済大国に駆け上がった。ポジとネガとも言える『相似形』の時代についてずっと考えてきました」

―何が見えてきましたか。
「ひとたび目標を設定すると、そこへ向かって直線的に一心不乱に走り続ける国民性です」
「短期間で国を劇的に変えるエネルギーを発揮する一方、そのプロセスで発生した問題や障害は見て見ぬふりをする。将来にどう跳ね返ってくるかは考えない。二つの時代にはそのような共通点があります」

―水俣病は現在も解決をみていない問題ですが、これまでの経緯から何を教訓とすべきでしょうか。
「国全体が目標に向かって突き進む時、国民の多くにある種の陶酔、満足感が呼び起こされます。国が教えることに倣い、従っていれば軋轢が起きず、責任も取らなくていい。いかに自分でものを考え、自立する意識を持つかが大事だということです」
「イギリス人は歩きながら考え、スペイン人は走ってしまった後で考える、という国民性を表すジョークがあります。それでいうと、日本人は走ること自体を目的にしてしまって、走る前も走った後も考えない。それは昭和だけでなく、今も変わっていないのではないでしょうか」

福井ひとし氏の公文書徘徊13

2026年6月1日   岡本全勝

アジア時報』6月号に、福井ひとし氏の連載「一片の冰心、玉壺にありや?―公文書界隈を徘徊する」第13回「政党内閣に九片の「冰心」ありや?」が載りました。29ページもの力作です。
今回は、原敬内閣(1918年・大正7年組閣)の閣僚の紹介です。もう100年以上前のことになります。平民宰相、本格的な政党内閣です。朝敵の藩から立身出世するだけでなく、政党を取り仕切り、政権につく。並大抵のことではありません。

原首相と8人の閣僚とその功績を、公文書や新聞記事で紹介しています。よくまあ、こんなことを思いつき、たくさんの公文書を調べるものですね。感心します。盛岡市にある原敬記念館をも、調査しているようです。ここでも見たような・・・

この連載は、国立公文書館にある公文書を材料にして、歴史的事件などに立ち会った人たちの動きを紹介する「近代史読み物」です。役所は古代中国、律令国家以来、前例主義です。それがないときはどのように「切り抜けるか」。官僚の知恵が試されます。そして官僚は文書で仕事をするので、その過程が残っているのです。

鳥インフルエンザ処理、自衛隊から民間へ

2026年6月1日   岡本全勝

5月18日の日経新聞夕刊に「鳥インフルエンザ、今季は自衛隊派遣ゼロ 殺処分など民間委託進む」が載っていました。

・・・高病原性鳥インフルエンザの防疫作業の担い手に変化が生じている。都道府県の要請に応じて自衛隊員が派遣されてきたが、今シーズンはゼロ。国が要請基準を厳しくしたことが背景にある。都道府県は殺処分などの民間委託を進めており、人材の確保や育成が課題となる・・・

・・・鳥インフルエンザは例年秋から春にかけて発生する。防疫作業は短期で終える必要があり、人手がかかる。都道府県は自衛隊に災害派遣を要請して確保してきた。防衛省によると、派遣は04年から始まり、20年に最多の20件、前シーズンの25年は9件だった。
農林水産省によると今シーズンは25年10月に初めて感染が確認され、これまでに16道府県で発生した(4月30日時点)。殺処分数は過去4番目に多い約576万羽に上るが、自衛隊が派遣されたケースはない。
背景には農水省が25年5月、都道府県に自ら対応可能な防疫体制づくりを改めて求めたことがある。自衛隊の主任務も踏まえ、安易に頼らないように「行政機能の維持が困難となり、やむを得ないと判断した場合」に災害派遣の要請を検討するよう示した。
家畜伝染病予防法は、養鶏場の所有者の責任で防疫措置を実施しなければならないと規定する。近年は畜産業の大規模化によって所有者だけでは殺処分が追いつかず、都道府県が主体となって対応している。

自前の防疫体制を強化するため、民間との連携を進める自治体が目立つ。人員の手配や防護服の輸送などにあたる旅行会社や運送会社と協定を結んだり、発生に備えて民間団体に消毒作業などの研修を実施したりしている。
今シーズンに5事例の感染が発生している北海道は、殺処分や消毒など一部の作業を初めて民間企業に委託した。担当者は「当初は軽微なけがや体調不良の報告もあったが、回数を重ねて徐々に作業のスピードも上がってきた」と話す・・・