月別アーカイブ:2026年4月

国民が望むのは世界一の治安

2026年4月12日   岡本全勝

3月25日の読売新聞1面に「読売・国問研 共同世論調査 「世界一の治安望む」62% 「国際秩序を主導」45%」が載っていました。

・・・読売新聞社と公益財団法人「日本国際問題研究所」(JIIA、東京)は全国世論調査(郵送方式)を共同実施し、将来における日本の国のあり方などに関して国民の意識を探った。日本が今後どのような国を目指すべきだと思うかを聞いたところ、「世界トップレベルの治安を保つ国」の62%が最多となった。世界各地で争いが絶えない中、平和で安心できる日常を望む日本人の意識は、世代を超えて共通している。

質問は18項目の選択肢から複数選んでもらった。「トップレベルの治安」との回答は、18~39歳の若年層は69%で、60歳以上の高齢層でも57%に上った。回答者全体で2番目に多かったのは「世界トップレベルの技術力を持つ国」の53%で、これに「社会福祉制度が充実している国」52%、「平和を世界に訴える国」50%が続いた。

今後、日本が国際社会で主導的な役割を果たしていくべきだと思うもの(13項目から複数回答)は、「法の支配に基づいた国際秩序の維持や強化」の45%が最も多かった。世界が不安定化する中で、国際ルールを重視する日本の取り組みが期待されている。以下、「気候変動問題、環境問題への対策」44%、「国際ルールに基づいた公正な貿易や投資の確保」42%などの順で多かった。

今後の日本の社会保障のあり方として、サービスを充実させることと、負担を軽減させることでは、どちらを優先するべきだと思うかについては、「どちらかといえば」を含めて「負担の軽減」64%が「サービスの充実」32%を大きく上回った。
国の予算を今後増やす方がよいと思う分野と減らす方がよいと思う分野を、それぞれ14項目の中から三つまで選んでもらったところ、増やす分野は「医療」43%、「年金」40%、「介護」36%、減らす分野は、「途上国への経済協力」52%、「生活保護」40%、「国債の償還」27%が上位に挙がった・・・

サービスの充実より負担の軽減を選ぶ人が多く、他方で医療や年金の予算を増やせとは、矛盾しているのではありませんか。国債の償還を減らすのは、どのような方法で行うのでしょうか。

思い出横丁

2026年4月11日   岡本全勝

新宿駅西口の思い出横丁って、ご存じですか。先日夜9時過ぎに(ふだんは寝ている時間ですが、その日は意見交換会が遅かったので)、新宿駅を通りました。
地下通路で、迷っているような外国人に声をかけると、バス停がわからないとのこと。これは簡単に教えました。
次に目についた若い男女二人。声をかけると「思い出横丁に行きたい」とのこと。私は知らないので、スマートフォンで見せてくれました。ああ、あの西口にある、古くて、小さなな飲み屋がたくさん並んでいる場所だ。
「小さな、古い、日本の飲み屋だよ」と英語で言うと、イエスとのこと。新宿駅は工事中で出口が複雑なので、近くの出口(私が乗る丸ノ内線も近いので)まで案内しました。「どこから来たの」と聞くと、ギリシャからでした。
外国人観光客には、こんな場所も面白いのでしょうね。うまく座れたら良かったのですが。

高円寺駅前の商店街、古着屋さんが並んでいるのですが、ここも外国人観光客がたくさんいます。

100街道を歩く

2026年4月11日   岡本全勝

4月10日の日経新聞文化面に、長澤純一さんの「100街道踏破まであと一歩 9000キロ歩き続け、歴史を追体験」が載っていました。肩書きに「元総務省職員」とありますが、自治省の先輩です。

・・・お江戸日本橋と京の三条大橋を結ぶ東海道、松尾芭蕉がたどった奥州道中――。日本全国の街道を25年以上かけて歩き続け、あと1つで100街道踏破を達成するところまで来た。
きっかけは26年ほど前に遡る。赴任先の福岡県で副知事を務め、激務の日々が続いた。その上、単身赴任は寿命を縮めるという。健康のためにも積極的に外を出歩いていた。そんな時に地元紙で「唐津街道を歩く」という催しを見つけた・・・

かつての街道を歩いておられます。明治時代の地図を頼りに、長い行路は何度かに分けてです。目的地に急ぐのではなく、道ばたの史跡や景観を楽しみながらです。すでに9000キロを歩かれたとのこと。「百街道一歩の道中記
100街道は、長澤さんが選んだようです。文化庁が選んだ「歴史の道百選」はありますが。百名山のように有名になるかもしれません。

吉田徹著『ミッテラン』

2026年4月10日   岡本全勝

吉田徹著『ミッテラン 現代フランスを率いた理想と野望』(2026年、中公新書)を紹介します。帯には「戦後フランス初の左派大統領」「高貴にして卑俗なる人生」とあります。
著者は「まえがき」で、この本の二つの趣旨を述べています。政治には、政治家(ステーツマン)と政治屋(ポリティシャン)がいます。しかし政治家も、汚い手を使ってでも選挙に勝たなければ、また政敵を蹴落とさないと、政治家として政策を実現できません。高貴さと卑俗さとを併せ持っています。ミッテランは、その二つを体現していました。
もう一つは、ミッテランの人生を追うことで、フランスの政治史、世界の政治史を学ぶことができるからです。

ミッテランの政治活動は、3つの時期に分けることができます(228ページ)。
第一は、1946年に始まる第四共和制で、戦時中のレジスタンス活動組織化の手腕が買われ、最も若い閣僚として将来を嘱望された時代。しかし、1058年の第四共和制崩壊とともに、不遇の時代に入ります。
第二は、長い時間をかけた、復活の時代です。瀕死の社会党を復権させ、1981年の左派政権へと実を結びます。
第三は、1981年から95年までの二期14年にわたる大統領時代です。しかし、意図していた社会主義は、国際政治と国際経済の中で実現することができず、国家の舵取りに苦労します。

こんな波乱な人生を過ごしたこと、政権を取るまでの苦労を知りませんでした。政治とは、かくも過酷な人生の仕事です。勉強になります。お勧めします。

また「あとがき」で、次のように述べています。
「本書が目指すところは3つあった。ひとつは当然ながら、フランスの一時代を築いたフランソワ・ミッテランという人物がいかなる存在であったかを、過不足なく伝えること。2つ目は、彼の存在と、時代によって異なる力学のもとに置かれるフランスの政治と社会の相互作用を描くこと、最後には、この2つを通じて、フランスという国の20世紀後半の足跡を辿るとともに、政治という、不可思議な営みの本質を探ることである」
この目的を十分に達成していると思います。伝記はしばしば分厚い本になりますが、えてしてその人の人生を追うことに終始しがちです。新書という分量で、著者が掲げたこれらの目的を達成することは難しいことです。

220ページの8行目。「昭仁天皇」とありますが、現在の上皇陛下をさすのなら「明仁天皇」ではないでしょうか。

自治体情報システム標準化の遅れ

2026年4月10日   岡本全勝

時事通信社の地方団体向け専門情報サイト「iJAMP」4月1日に、庄司昌彦・武蔵大学教授「システム標準化「多くの犠牲の上でたどり着いた60点」」が載っていました。
この問題(期限に間に合わないこと)は、当初から指摘されていました。現場での移行が遅れたのではなく、そもそも期日の設定に無理があるというのです。突然、現場の意見も聞かずに、移行期限を決められたとも言われています。記事でも、意思決定過程の不透明さが指摘されています。

・・・地方自治体の情報システム標準化は2025年度末に移行期限を迎えた。「半数超の自治体で遅れ」と報じられているが、1システムでも遅れる自治体がいくつあるかというより、約3万4000のシステムのうち、どれだけ遅れているかという視点の方が重要だ。大いに心配していたので、期限までに移行完了したシステムが半分を超える見込みという現状は「なんとか大失敗にはならなかった」と捉えたい。多くの障害を乗り越え、いわば文字通りの不眠不休の努力の上に何とかたどり着いた「60点」と評価できる。ぎりぎり合格点といったところだが、途中でもっと判断を誤れば、50点、40点、もしくは30点となったリスクもあっただろう・・・
・・・スケジュールを巡って、自治体関係者の反応が厳しいことは承知している。ここまできたら遅れの有無そのものを問題にすべきではない。遅れを問題視すれば、「危険でも早く終わらせろ」という動機が働きかねない・・・

・・・心身を病んで離職した職員や「もう行政のシステム市場には関わりたくない」と言っている業者も存在する。意思決定をする立場の人は、こうした事実を認識すべきだ。特定の悪者がいて、どこかと癒着していたというような単純な構図ではなく、情報共有や意思決定に関する構造的な課題が主な原因であると考えられる。今後もシステム改修は続くので、今回の反省を次に生かしていかなければならない。
標準化20業務のうち9業務について座長として仕様書策定に関わった立場でも見えない部分が多いくらい、標準化やガバメントクラウドに関する全体像や意思決定過程は不透明だった。会議としてはデジタル庁に「マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループ」が存在するが、3年ほど開催されていない。司令塔的な会議体がない上、公開の場で外部の視点による検証の仕組みもなく、方針が突然示されるような状況が続き、適切な意思決定プロセスとは言いがたかった・・・