「市民社会」とは歴史学や政治学、社会学でよく使われる言葉です。ウィキペディアでは、概ね次のように定義されています。「市民社会とは、ブルジョワジー(市民)が封建的な身分制度や土地制度を打倒して実現した、民主的・資本主義的社会」。しかし、政府の文書で使われることは、見たことがありませんでした。
消費者教育の推進に関する法律に、「消費者市民社会」という言葉があることを教えてもらいました。この法律は、平成24年(2012年)に作られました。議員立法のようです。第2条に定義があります。
消費者教育の推進に関する法律
(定義)
第二条第2項 この法律において「消費者市民社会」とは、消費者が、個々の消費者の特性及び消費生活の多様性を相互に尊重しつつ、自らの消費生活に関する行動が現在及び将来の世代にわたって内外の社会経済情勢及び地球環境に影響を及ぼし得るものであることを自覚して、公正かつ持続可能な社会の形成に積極的に参画する社会をいう。
ただし、これは「市民社会」という言葉ではありません。消費者が積極的に参画する社会を指しているようです。歴史的な意義を持つ「市民社会」とは違うように思えます。
そこで、知人に教えてもらって、e-Gov 法令検索で「市民社会」を検索しましたが、法律には「消費者市民社会」以外は出てきません。次に「市民」で検索してみました。すると、次のような単語と法律が出てきました(これらの法律を引用しているような法律は除きます)。
「市民」特定非営利活動促進法、成年後見制度利用促進法
「市民生活」暴力団不当行為防止法、警察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法律など
「市民権」出入国管理法など
「市民農園」「市民緑地」市民農園整備促進法、都市緑地法
このうち「市民権」は外国人についての規定であり、日本人についてではありません。「市民農園」「市民緑地」もここで取り上げている「市民」とは異なるようです。(この項続く)。