年別アーカイブ:2025年

福島被災地視察

2025年7月9日   岡本全勝

7月8日9日と、福島県の被災地を視察してきました。原発事故被害地では、避難指示が解除された地域で復興が進んでいます。特に解除が遅くなった町を見てきました。

大熊町では、かなりの面積で稲作が再開されました。田んぼに雑草が生えているのと、稲が育っているのとでは、風景が大きく違います。
最初の復興拠点として開発した大川原地区は、住宅や施設が完成しています。次の拠点となる大野駅前の開発も進み、たくさんの人が作業をしていました。
ゆめの森では、予想以上の数の子どもたちが学んでいます。規格にはめる教育でなく、個性を尊重した教育で、視察も多いとのこと。リンクを張った学校のサイトをお読みください。
双葉町も、駅前の開発が進んでいます。さらに地域を拡大します。工業団地も順次企業が進出しています。浪江町も、駅前開発と工業団地建設が進んでいます。もちろん、まだ着手できない地域もあります。

私は、発災直後は、放射線量の高い地域は、人が戻ることはないだろうと考えました。政府もそれを前提に、全損賠償をしたのです。しかし、放射線量の減衰が予想より早く進み、可能な地域から除染をして、復興拠点を作ることにしました。その際も、ここまで早く街が戻るとは思いませんでした。当時を知る役場幹部と、そのような話をしてきました。
今後も、着実に復興が進むことを期待しています。間違いなく、そのように進むでしょう。先日皇居で、天皇陛下にも「日本国民の力をもってすれば、必ずや復興します。これからもお気にかけてください」と申し上げました。

戦争の証言と戦争の実像

2025年7月9日   岡本全勝

6月27日の読売新聞夕刊、井上寿一・学習院大学教授の「昭和史の「なぜ」考えて学んで」から。詳しくは記事をお読みください。

「記憶が風化 戦争抑止力が弱くならないか × 悲惨な記憶継承だけで戦争回避 楽観にすぎる」
戦前・戦中の日本政治外交史を研究する政治学者、井上寿一さん(68)は「昭和を知ると〈いま〉がわかる」と語る。その昭和の戦争体験を語る生存者が少なくなっている。戦争への道に進んだ歴史からどう学んだらよいのだろうか。

――記憶が風化し、戦争への抑止力が弱くならないか、心配です。
井上 悲惨な戦争の記憶を継承しさえすれば戦争を回避できるかといえば、それは楽観にすぎます。
歴史上初めての総力戦となった第1次大戦を終え、ヨーロッパの人びとは「二度と戦争は嫌だ」と思った。それなのに、戦争の記憶が生々しかった20年後、もう一回大戦争をやったじゃないですか。

――確かにそうですね。
井上 第2次大戦の直接のきっかけは、ナチス・ドイツのポーランド侵攻(1939年)です。あの時、「戦争はいけない」「ヒトラーに降伏しよう」と侵略されたポーランドの人々に言えたでしょうか。それでは侵略に加担することになります。
戦争の全体像は多面的で複雑です。照明の当て方によって、戦争像は異なります。戦争は被害の過酷さだけでは語りきれません。

――確かに日本人の戦死者は44年以降の戦争後期に集中し、45年3月の東京大空襲からは民間人の犠牲者が急増する。敗色が濃くなっても「一撃講和」にこだわったことが一因とされています。
井上 どこかで一度、戦果を上げ、有利な条件で終戦交渉に臨もうとする考えが「一撃講和」論です。ところが「一撃」の機会は訪れず、その結果、全国各地に空襲が広がり、沖縄戦では民間人も多く犠牲になり、8月には広島・長崎に原爆が投下されました。

――一撃のために戦場に散った特攻隊員も数多い。そして、終戦の遅れはソ連軍の侵攻も招き、大きな被害が出ました。
井上 いたずらに戦争を続けた原因の一つは、戦争目的が不明確だったことです。そもそも37年7月7日に起きた偶発的な軍事衝突は、4日後に現地で停戦協定が結ばれたのに、気が付いたら全面戦争に拡大していました。陸軍の仮想敵国はソ連、海軍の仮想敵国はアメリカなのに、なぜ中国と戦争するのか? その理由もあいまいで、戦争目的は変遷しました。
最初は「暴支膺懲(ぼうしようちょう)」。荒れ狂う支那(中国)を懲らしめるためでした。それが途中からは「東亜新秩序の建設」となり、米英との戦争が始まると「大東亜共栄圏の建設」「アジアの解放」と言い出す。

市町村アカデミー機関誌2025年夏号

2025年7月8日   岡本全勝

市町村アカデミーの機関誌「アカデミア」令和7年夏号が発行されました。いくつかの記事、講義の概要を載せたので、関心ある方はお読みください。
例えば、自治体職員が講師を務める「事例紹介」、今回は「ロジックモデルによる政策企画の実践」です。概要だけですが、参考になると思います。

今号から、学長連載を始めました。第1回は、「これからの自治体職員像─あなたに求められていること」です。これからの自治体職員を考えるために、地域社会と職場がどのように変わるかから考えてみました。
一つめは、現在変わりつつあることです。二つめは、これから変わるであろうことです。三つめは、これからもたぶん変わらないであろうことです。それぞれに、職員や職場に必要とされる要素を示しました。合計12です。あなたとあなたの職場は、対応できますか。

多い日本の使い捨てプラスチック

2025年7月8日   岡本全勝

6月26日の朝日新聞夕刊、アレックス・ゴドイ、チリ・デサロージョ大学サステイナビリティー研究センター所長の「お弁当にもトレカにも、日本の使い捨てプラ」から。

・・・南米チリの環境専門家で、プラスチック汚染や気候変動などの会議に出席してきたアレックス・ゴドイさんが今年2月、家族で日本を初めて訪れ、休暇を満喫しました。ただ、驚いたのは、日常生活であまりにも多くの使い捨てプラスチックが使われていること・・・

・・・チリや欧米と比べて、日々の生活の至る所で使い捨てプラスチックが使われていることに大きなショックを受けました。
旅行中、電車内で食べるためにマグロ丼のお弁当を駅のそばで買いました。本物の木箱のように見えるすばらしい容器に入っていましたが、幾層にもわたる使い捨てプラスチックを組み合わせた容器でした。保冷剤に、おしぼり、割り箸の袋、小分けのしょうゆなど、他にも使い捨てプラスチックが多く使われていました。

それだけではありません。
スーパーマーケットでは、バナナやリンゴなどの果物が、個別にプラスチックトレーに載せられた上でさらにラップでくるんで包装され、コンビニではクッキー1枚、おにぎり1個の単位で個別にプラスチック包装されて販売されています。特に、しょうゆやマヨネーズ、サラダドレッシングなどがとっても小さなプラスチックの袋に入れられていて、毎食ごとに多用されています。
アニメグッズのお店に行くと、キーホルダーやトレカのような小さなモノまでプラスチックで幾重にも包装され、それらは、小袋にいれられ、店名やブランドが書いてあるショッピングバッグに入れられて手渡されます。
見せ方と衛生管理という意味でとても感心しつつも、使い捨てプラスチックの使用量があまりにも多すぎると思いました。日本のすばらしい企画力を、よりサステイナブルな代替策に振り向けてはどうでしょうか・・・

・・・日本は特異な立場にあります。
1人あたり年間30キロ以上を使い、国内で年間900万トン以上を生産する、世界有数のプラスチック消費国です。
この数値は、単に工業力を反映した結果ではありません。すでに述べたように、日本の「包装文化」に深く根付いた消費行動を反映しています。日本において、包装は単なる付属物ではなく、製品体験の不可欠な一部であり、洗練された美的感覚から厳格な衛生基準に至るまで、効率・尊重・視覚的調和という文化的価値を体現しています。この文化は、コンビニエンスストアの普及、丁寧に包まれた贈答品、個包装製品の構造的な好みによってさらに強化されている。私はそう、滞在中に確信しました・・・

「管理職の必須知識」講義

2025年7月7日   岡本全勝

今日7月7日は、市町村アカデミーで、「管理職の必須知識講座」の講義をしました。私の役割は、研修の冒頭で、この研修の意図を説明するものです。この研修は、4年前に、私の発案で作ってもらいました。

その意図を、「コメントライナー」(2022年3月1日号)に、概ね次のように書きました。
・・・企業も役所も、管理職の育成に悩んでいます。職員を使って業務を達成するという任務は変わらないのですが、社会の変化や従業員の意識の変化に対応する能力が必要となりました。
これとは別に、管理職に必要な知識が増えました。情報通信技術とサイバーセキュリティ、コンプライアンス、不祥事が起きた際の広報対応、災害時の業務継続、仕事と生活の調和、セクハラやパワハラの防止、心の不調を抱える職員への対応などなど。
担当している業務の専門知識の前に、このような共通知識が必要になりました。これは意外と気がつかれていません。
これらの項目それぞれに、専門書や研修はあります。ところが、これらの一覧、「管理職ならこれだけは覚えておこう」という教科書がないのです・・・

管理職になったばかりの人、これから管理職になる人が、参加しています。皆さん、熱心です。質問も、ふだん悩んでいる問が出ました。