年別アーカイブ:2024年

日本語苦手な子7万人、10年で倍増

2024年8月20日   岡本全勝

8月9日の日経新聞に「日本語苦手な子、6.9万人で最多 学習環境追いつかず」が載っていました。

・・・外国生まれなどで日本語指導が必要な小中高生が2023年度時点で約6万9000人に上り、約10年前から倍増したことが8日、文部科学省の調査で分かった。このうち1割が日本語について特別な指導を受けておらず、支援体制の構築が追いついていない現状も明らかになった。
政府は国内の人手不足を補うため、海外人材の受け入れを拡大し、家族呼び寄せの道も広げている。子どもの学習機会を確保し、人材の定着を促すことが急務だ。

調査は各教育委員会を対象とし、日本語で日常会話が十分にできない公立小中高校の児童生徒らについて聞いた。前回調査の21年度時点(約5万8000人)から18.6%増え、12年度時点(約3万3000人)からは約2倍になっていた。
国内では23年末時点の在留外国人数が約341万人で過去最多となり、学校に通う子どもも増えている・・・

・・・外国籍児童生徒の母語別の在籍割合を見ると、ブラジルなどで使われるポルトガル語(20.8%)が最も多く、中国語(20.6%)やフィリピノ語(15.4%)が続いた。
要支援者が増える一方、学校側の対応は追いついてない。日本語の基礎を学ぶプログラムや各教科の補習など、特別な指導を受けている児童生徒は外国籍で90.4%、日本国籍で86.6%。21年度比でそれぞれ0.6ポイント、1.5ポイント減少した。
特別な指導を行っていない自治体からは、理由として「日本語指導の教員がいない」「個別に対応する人材が不足している」といった声が寄せられ、国への要望として人材配置や財政面での支援などが挙がった。
進学状況にも依然として課題がみられた。中学生の高校などへの進学率は全中学生を8.7ポイント下回る90.3%で、高校生の大学などへの進学率は全高校生を28.4ポイント下回る46.6%。高校段階での中退率も全高校生の7.7倍にあたる8.5%だった。日本語能力が学習や学校生活における困難につながっている可能性がある・・・

連載「公共を創る」執筆状況

2024年8月19日   岡本全勝

毎日、多くの人にこのホームページをご覧いただき、ありがとうございます。もうじき、430万人に達します。久しぶりの「連載「公共を創る」執筆状況」です(前回4月6日)。
8月29日掲載予定の第196回は校閲もすみ、掲載待ちです。9月5日掲載予定の第197回はゲラができて、校閲待ちです。9月12日掲載の第198回は、原稿を編集長に渡しました。

これでひとまず、第170回(去年の12月)から続けてきた「官僚の人事政策」が終わります。さらに、去年5月から書いてきた「第4章 政府の役割再考 3 政府の役割の再定義(1)社会の変化と行政の役割」が終わります。
いつものことですが、こんなに長くなるとは思いませんでした。書いていくうちに、「そうだこんなこともある」「これにも触れておこう」と次々と広がります。また、原稿に目を通してもらっている右筆さんが、欠けている点を指摘してくれます。

私は先週から、次の「政治の役割」を書いています。なので、第196回、第197回、第198回、第199回が、同時に走っています。
新しい項に入るので、まずはその中の構成を思案中です。連載執筆で、一番悩むのは、この構成を考えることです。それができれば、別途書きためてある「部品」を集めて、文章にすればよいのです。もちろん、その作業も簡単ではありませんが。
夏休みで気分は緩み、執筆意欲は落ちるのですが、締め切りを考えるとそんな悠長なことは言っておられず。早起きして、原稿に向き合っています。その甲斐あって、なんとか、粗々の構成を作り、最初の部分を書き始めました。

当初、「全体の構成」では、「政治の役割」は一つの項を立てることなく、「(1)社会の変化と行政の役割」の中で、「政と官」を書けばよいと考えていました。この連載の副題は「新たな行政の役割」です。
しかし、機能不全と思える官僚機構を機能させるためには、官僚の努力だけでは限界があります。政治主導の時代に、官僚だけが勝手なことはできないのです。官僚機構を使いこなすのは、政治の役割であり、国民の意向です。そこで、「政治の役割」を項として立てることにしました。これも、書こうと思えば、書くことはたくさんあります。

現実と離れた移民政策

2024年8月19日   岡本全勝

8月8日の日経新聞経済教室、鈴木江理子・国士舘大学教授の「移民政策のいま、現実直視し社会統合進めよ」から。

・・・2024年6月、技能実習制度を発展的に解消し、育成就労制度を創設する改定入管法などが成立した。深刻な人口減少・労働力不足を踏まえれば、労働力確保として活用されている技能実習制度の実態から目を背け「国際貢献」という目的を掲げ続けることの限界に、ようやく向き合った制度改定といえる。
だが一方で、法案審議の参院本会議で、岸田文雄首相は「政府としては、国民の人口に比して一定程度の規模の外国人およびその家族を、期限を設けることなく受け入れることによって国家を維持していこうとする、いわゆる移民政策をとる考えはない」と答弁している。成長戦略の一つとして「外国人材の活用」を打ち出した安倍晋三元首相の発言を継承する見解だが、一般的な移民政策の定義からすると奇異である。
移民政策には、国境通過にかかる移動局面の政策と国境通過後の居住局面の政策の2つがある。前者は好ましい移民(外国人)と好ましくない移民の線引きによる出入国政策であり、後者は領土内に居住する移民に対する社会保障や政治参加、住居や言語、労働や教育などの政策である・・・

・・・では、なぜ政府は移民を否定するのか。
移民の明確な定義はないが、通常の居住地以外の国に移動し、少なくとも12カ月間居住する人を「(長期)移民」とする国連定義に照らせば、技能実習生も留学生も移民となる。
日本は「期限を設けることなく」外国人を新規に受け入れてはいないが、家族帯同が可能で、永住や国籍取得への道が開かれている定住型の外国人を移民ととらえれば、日本で暮らす約340万人の外国人(23年末時点)の8割強が移民だ。日本生まれの2世や3世も増えている。
にもかかわらず、移民ではなく「外国人材」という言葉にこだわるのは、有用性を強調することで、欧米諸国が直面している移民問題とは無縁だと、人びとの警戒心や不安を払拭する意図があるとも推測される。
だがかえって誤ったメッセージを与え、人びとの理解を妨げているのではないか。受け入れ後発国である日本は移民社会の現実と向き合い、欧米の教訓を学ぶ必要がある。「われわれは労働力を呼んだが、やってきたのは人間だった」というスイスの作家マックス・フリッシュの言葉が示唆する通り、居住局面の政策が極めて肝要だ。移民政策の国際比較(20年)によれば、日本は56カ国中35位で「統合なき受け入れ」グループに分類される・・・

・・・日本語学習機会の提供など、取り組みの多くが自治体任せであることも変わっていない。19年6月に日本語教育推進法が施行されたが、ドイツやフランス、韓国などで実施されている公用語学習の公的支援制度はいまだ導入されていない。
日本語学習環境の整備や情報の多言語化など、言葉の壁を越える取り組みが地域で実践されている一方で、権利の拡大にかかる施策はなく、制度の壁の解消は進んでいない。
外国籍の子どもの就学実態全国調査が実施されるようになったが、外国人は義務教育の対象ではないとする政府見解は変わらず、今なお学びの権利が奪われている子どもがいる。第2世代以降の社会統合が重要な鍵であることは欧米の経験に照らせば明らかだろう・・・

夏休み

2024年8月18日   岡本全勝

皆さん、夏休みを取られたでしょうか。今年は猛暑の上に、大きな地震や台風が来て、落ち着かない夏です。体調を崩したり、被害はなかったでしょうか。
私は、8月13日から15日まで夏休みを取りました。10日の土曜から12日の振替休日を入れて、6日連続の休みです。ところが16日には台風の接近が予想されたので、職員の助言に従い、出勤することをやめました。で、連続9日です。

毎回、連休の前には「あれもしたい。これもしなければ」「これも読みたい、あれも読まなければ」と、いろいろと思い浮かべるのですが、その通りには進みません。そもそも、休みの日は休むためにあるのに、たくさんのことをやろうと考えることが無理です。
とはいえ、連載の締め切りは毎週来るし、このホームページも書きためないとなりません(やめてもよいのですけどね)。
で、今回は休みに入る前に、「これだけは片付ける」という必達項目を書き出しました。休みの前半は余裕で怠けていたのですが、締め切りに間に合わないことに気がついて、後半は気を入れ替えました。早起きし、何度も水のシャワーを浴び、書斎で冷房をかけて。その成果は、半分以上は達成ということでしょうか。

そのほかに、孫のお供もしました。小さな方は、乳母車で。小学生の方は、近くの公園にセミ取りに。たくさん取ることができました。証拠写真を撮って、逃がしてやりました。キョーコさんのお供で美術館へもいきましたが、外は暑かったです。まずは良しとしましょう。

巨大インターネット企業独占への戦い

2024年8月18日   岡本全勝

8月7日の日経新聞に「グーグル検索、違法な独占 米司法省の訴え認める」が載っていました。
・・・米裁判所は5日、米グーグルの検索サービスが独占に当たると認める判決を出した。バイデン米政権は巨大テクノロジー企業の行き過ぎた市場支配力の是正に動いてきた。裁判所が規制当局の主張を認めたことで、米アップルなどに対価を支払ってスマホに検索機能を標準搭載する商習慣の見直しを迫られる。
「グーグルは独占企業であり、独占を維持するために行動してきた」。米首都ワシントンの連邦地方裁判所は5日、原告の米司法省などの主張を認めた・・・
・・・特に問題となったのはグーグルがアップルなどのスマートフォンメーカーに対価を支払う代わりに、グーグルの検索を標準にしてもらうという契約だ。裁判資料によると費用は21年で260億ドル(約3兆8000億円)にのぼる。
巨額の資金を駆使した手法が他社の参入を阻み、独占を生んでいるという司法省などの主張を連邦地裁が認めた・・・

・・・米国では独禁当局の訴訟が業界構造の変化を促してきた歴史がある。1970年代には司法省が通信大手AT&Tを訴え、その後の会社分割と料金競争につながった・・・バイデン政権ではテック企業の肥大化による問題の是正に動き、司法省がグーグルとアップルを、米連邦取引委員会法(FTC)がアマゾン・ドット・コムとメタをそれぞれ提訴。いわば分担するかたちで5社すべての巨大テックに対峙してきた。
欧州連合(EU)も巨大テック企業の活動を制限するデジタル市場法(DMA)の本格運用を開始し、アップルの違反を指摘した、消費者保護を強化するデジタルサービス法(DSA)と一般データ保護規則(GDPR)という3法で巨大ITの傍聴に対応している。
日本の公正取引委員会も同様だ。23年10月には米グーグルの検索サービスについて独占禁止法違反の疑いで審査を始めた・・・