年別アーカイブ:2024年

経済停滞30年の原因私見2

2024年9月11日   岡本全勝

経済停滞30年の原因私見1」の続きです。
金利を下げて、企業の投資を促しましたが、雇用、設備、債務の3つの過剰を処理した後も、企業はそれに反応しませんでした。それは、企業経営者が挑戦を避けたからです。
「選択と集中」「リストラ」という言葉が流行り、企業はもっぱら縮み思考に入りました。国内で販売と営業をしている限りでは、それでも規模は維持できました。
大企業もリスクを避け、守りの経営になったのではないでしょうか。戦後の成長期とは異なり、名門大学出身のスマートな社員が、社内で出世します。「優秀な若者は有名大学に行き、大企業に就職することがよい職業人生だ」という通念が社会に広がりました。
挑戦しようとする社員がいても、安全を重視する幹部が「もう少し慎重に検討しよう」と言って、先送りします。これは役所では定番の風習ですが、大企業にもあるようです。先送りは、結局はしないことです。

ところが、挑戦を先送りしているうちに、アジア各国は追い上げてきて、さらには追い抜いてしまいました。新しい産業への転換が遅れ、世界での競争にも負けた、ということでしょう。
この状態で金利を下げても、消費も投資も拡大しません。日銀に経済成長、産業転換を求めても、無理でしょう。政府と産業界がするべきことは、ほかにあったのではないでしょうか。

「安全志向」「先送りの思考」「縮みの思考」「諦めの思考」が、長きにわたり、企業、役所を含め日本社会を覆いました。これを脱却することが、長期不況からの脱出の鍵だと思います。経済学の分析手法である需要と供給ではなく、企業経営者、政治家と官僚、そして国民の意識が日本の発展を阻害しているのです。
30年間経済成長がなかった日本に対し、ドイツは2倍に、アメリカは3倍になりました。「1991年から30年間の経済成長外国比較」。ちなみに1.02の30乗は1.8、1.03の30乗は2.4です。
経済停滞30年の原因私見3」に続く。「日本企業と韓国企業の勢いの違い」「「仕方ない」が生む日本の低迷

大熊町立学び舎ゆめの森校長・園長 南郷市兵さん

2024年9月11日   岡本全勝

日経新聞夕刊「人間発見」、9月9日の週は、福島県大熊町立学び舎ゆめの森校長・園長 南郷市兵さんの「福島から日本の教育変える」です。
南郷さんは、文部科学省の役人から、原発被災地での教育現場に入ってくださった人です。

・・・東京電力福島第1原子力発電所が立地する福島県大熊町の町立学び舎(や)ゆめの森で校長・園長を務める南郷市兵さん(45)。2011年3月の原発事故により同町で完全に失われた学校教育の再興に挑む・・・

・・・ゆめの森は23年4月に大熊町に帰還し開校しました。国内で唯一、認定こども園と義務教育学校が一体化して経営する学校です。0歳児の赤ちゃんから15歳の中学生までが一緒に学んでいます。
開校時の子どもは26人でしたが、現在は61人まで増えました。子どもたちの6割は大熊町外からの移住者が占めます・・・

コメントライナー寄稿第19回

2024年9月10日   岡本全勝

時事通信社「コメントライナー」への寄稿、第19回「行政改革と縮み思考から卒業を」が9月10日に配信され、iJAMPにも転載されました。

歴代内閣は、行政改革に取り組んできました。中曽根行革では国鉄の分割民営化、橋本行革では中央省庁改革、小泉行革では郵政民営化や規制改革など。現内閣も「政改革推進本部」を設置しています。しかし、現在の行政改革は、何を目的として行われるのでしょうか。国民も「小さな政府」や「身を切る改革」といった言葉を支持します。その中身はなんでしょうか。

1990年代には、経済停滞からの脱却のために、企業は事業の縮小や従業員数と給与の削減を進めました。ところが、その目的を達したのに、引き続き縮小を続けたのです。それでは消費も拡大せず、経済も社会も発展しません。一方、政府も予算と職員の削減を続け、社会に生まれてきていた新しい課題に取り組むことができませんでした。

やがて「縮小の思考」は社会の通念となり、企業や役所が新事業へ挑戦することや、新しい政策を企画することをためらわせました。30年間も続くと、現在の企業や役所の幹部は、入社・入庁以来、挑戦や成長を経験したことがないのです。それが、経済停滞と社会の不安を長引かせたのです。
この間に、一人あたり国民所得は経済開発協力機構加盟38カ国中21位に落ち、アメリカの3分の1、ドイツの2分の1になってしまいました。

ようやく物価、給与、株価が上昇し始めました。成長のためには、政府も行政改革を卒業し、国民に向かって縮み思考から脱却することを宣言すべきです。

アメリカ、ニュースはソーシャルメディアから

2024年9月10日   岡本全勝

8月24日の日経新聞オピニオン欄、西村博之・コメンテーターの「米大統領選ミームは毒か薬か」。
・・・秋の米大統領選に向け民主党候補のハリス副大統領が想定外の好スタートを切った。バイデン大統領が劣勢だった激戦州で支持を盛り返し、政治献金も急増する。
背景の一つが、ネット上で話題をさらう画像などのコンテンツ、いわゆる「ミーム」だ。勝ち目のないバイデン氏への絶望の反動もあり、一気に拡散した。
やたら大笑いするハリス氏は、「奇っ怪」と映っていた。だが共和党候補のトランプ前大統領がこれをちゃかし、攻撃用の動画集まで作ると若者らに人気となった。関連コンテンツも多く作られ、親しみと連帯感を生んだ。調子が狂ったのはトランプ氏だ・・・

本論は記事を読んでいただくとして。アメリカ市民のニュースの取得先が、図になって載っています。
2013年と2023年を比べて、テレビは約70%から約50%へ、新聞雑誌など紙媒体は約50%から約20%へ低下し、ソーシャルメディアが約30%から約50%に伸びています。
世代別には、重要な出来事やニュースはソーシャルメディアで知るという人びとの割合で、60歳以上は約20%、44歳から59歳は約50%、28歳から43歳は70%近く、12歳から27歳は80%近くです。

ソーシャルメディアでは、記事は短く、また興味を引く見出しや写真で、深くは考えません。

学があることと頭がよいこととは別

2024年9月9日   岡本全勝

「頭が良い」と聞くと、偏差値の高い大学に行った人を思い浮かべるでしょうか。しかし、「学がある」と「頭が良い」とは異なります。
私が子どもの頃、近所のおばさんが「あの人は学はないけど、頭は良いなあ」とか、その逆のことを言っておられました。私は、よくわかりませんでした。私は、「学があること=頭が良いこと」と思っていました。社会人になってから、おばさんたちが言っていたことの意味がわかるようになりました。

一概には言えませんが、頭の良い人がうまくいかない場合が多いようです。自分の能力に自信を持っておられる。しかし、その言動に上司や部下、周囲の人が納得するかどうかです。
自然科学の世界じゃないので、評価基準というのは客観的には決まっていません。評価する人たちに理解してもらい、その人たちが関心のあることについて的確に答える必要があります。相手があることですから、相手が何を望んでいるかを理解しなければならなりません。
「それでも地球は回っている」は自然科学の世界では正しいですが、日常生活では通用しません。相手と観客がいて、その人たちが納得するかです。

うまくいかない場合もあります。その場合でも、皆が納得することが大事です。同じ失敗でも、「あの人なら、やはり失敗したか」と「あの人でもうまくいかない、難しい案件か」とでは、評価が異なります。
私たちの仕事では、「できたか、できないか」の評価ではなく、「着地点が良かったじゃないか」と言ってもらえるかどうかです。「その2」に続く。