世間で広がる英会話

先日の地下鉄駅でのことです。外国人旅行者と思われる家族連れに、駅員さんが英語で話していました。説明を受けて家族は、出口に向かって進んで行きました。
駅員が手すきになった頃合いを見て、質問しました。「英語は必須ですか」と。駅員さん曰く「はい、しゃべれないと仕事になりません」とのことでした。
車内放送でも、録音でなく、車掌さんが英語で説明しています。

東京の地下鉄や鉄道は、外国人観光客がたくさん乗っています。ロンドンやパリでも、観光客と思われる人がたくさんいますから、東京も同じようになったということですね。
外国企業を相手にするような専門の職場だけでなく、訪日外国人が増えて多くの職場で英語が必要になりました。ホテルはもちろん和風旅館でも、従業員が英語を話すようになりました。中国語を話す従業員も増えています。

かつては、「私は英語は話せません」と変な自慢をする人がいました。中学3年間、高校3年間、場合によっては大学4年間(予備校1年間)も英語を習っていながら、話せないのはおかしいですよね。難しい学術用語を使うのではなく、日常会話です。
学校での英語教育は、将来使わない場合は教養でしかありませんでした。しかし職業に必要となると、習得に力が入るでしょう。

財政を平時に戻せ

8月9日の日経新聞経済教室は、井堀利宏教授の「財政健全化、将来世代へのツケは最低限に」でした。原文をお読みください。

・・・経済社会がコロナ危機の非常時から脱して、平時の経済状態に戻っているにもかかわらず、また欧米ではインフレ抑制のために財政・金融の両面から引き締め政策が実施されているにもかかわらず、日本では相変わらず非常時という名目で積極財政派の圧力が強い。
岸田文雄政権は、1年限りの減税(1人4万円の定額減税)を6月から実施した。さらに岸田首相は通常国会会期末の記者会見で突如、8~10月に電気・ガス料金の補助金を復活させるとともに、年金世帯や低所得世帯への給付金支給を検討すると表明した。コロナ危機を契機として財政規律が緩んだままの政治環境の中で、苦し紛れのばらまき政策を模索している・・・

博物館の外国人訪問者

先日、キョーコさんのお供で、東京国立博物館「神護寺展」に行きました。暑い日が続いていますが、今行っておかないと行けないだろうと決心しました。
展示物については、それぞれに素晴らしいものですが、それについては実物を見ていただくとして。千年もの間引き継がれてきたことに驚きます。それらは、紙、絹、木でできています。火災や虫、盗難の危機を乗り越えて、守られてきたのです。

ここで述べたいのは、その混雑ぶりです。夏休みの時期もあるのでしょうが、大変なにぎわいで、切符売り場には長蛇の列ができていました。事前に切符を入手していたので、並ばずに入りましたが。
会場も、混雑していました。展示物は、仏像と掛け軸、書類ですから、美術展とは異なりそれほど華やかではなく、わかりやすいものでもありません。子どもを連れて行ったら、「つまらない」と言いそうです。

私の観察では、この会場と本館では、半数以上が外国人観光客と思われる人たちでした。でも、ルーブル美術館に行っても、大英博物館に行っても、プラド美術館に行っても、大半が外国人観光客とおぼしき人ですよね。
私はかつて外国からのお客さんに、東京国立博物館(特に埴輪)、皇居東御苑、大名庭園跡を勧めていました。訪日外国人が増えると、日本らしさを見るために、博物館に行く人も増えるのでしょう。
しかしその観点からすると、東京国立博物館は狭いですね。上野の森にいくつも文化施設が集まっているのは、よい発想でした。ほかにも、そんな地区があればよいのですが。

日本語苦手な子7万人、10年で倍増

8月9日の日経新聞に「日本語苦手な子、6.9万人で最多 学習環境追いつかず」が載っていました。

・・・外国生まれなどで日本語指導が必要な小中高生が2023年度時点で約6万9000人に上り、約10年前から倍増したことが8日、文部科学省の調査で分かった。このうち1割が日本語について特別な指導を受けておらず、支援体制の構築が追いついていない現状も明らかになった。
政府は国内の人手不足を補うため、海外人材の受け入れを拡大し、家族呼び寄せの道も広げている。子どもの学習機会を確保し、人材の定着を促すことが急務だ。

調査は各教育委員会を対象とし、日本語で日常会話が十分にできない公立小中高校の児童生徒らについて聞いた。前回調査の21年度時点(約5万8000人)から18.6%増え、12年度時点(約3万3000人)からは約2倍になっていた。
国内では23年末時点の在留外国人数が約341万人で過去最多となり、学校に通う子どもも増えている・・・

・・・外国籍児童生徒の母語別の在籍割合を見ると、ブラジルなどで使われるポルトガル語(20.8%)が最も多く、中国語(20.6%)やフィリピノ語(15.4%)が続いた。
要支援者が増える一方、学校側の対応は追いついてない。日本語の基礎を学ぶプログラムや各教科の補習など、特別な指導を受けている児童生徒は外国籍で90.4%、日本国籍で86.6%。21年度比でそれぞれ0.6ポイント、1.5ポイント減少した。
特別な指導を行っていない自治体からは、理由として「日本語指導の教員がいない」「個別に対応する人材が不足している」といった声が寄せられ、国への要望として人材配置や財政面での支援などが挙がった。
進学状況にも依然として課題がみられた。中学生の高校などへの進学率は全中学生を8.7ポイント下回る90.3%で、高校生の大学などへの進学率は全高校生を28.4ポイント下回る46.6%。高校段階での中退率も全高校生の7.7倍にあたる8.5%だった。日本語能力が学習や学校生活における困難につながっている可能性がある・・・

連載「公共を創る」執筆状況

毎日、多くの人にこのホームページをご覧いただき、ありがとうございます。もうじき、430万人に達します。久しぶりの「連載「公共を創る」執筆状況」です(前回4月6日)。
8月29日掲載予定の第196回は校閲もすみ、掲載待ちです。9月5日掲載予定の第197回はゲラができて、校閲待ちです。9月12日掲載の第198回は、原稿を編集長に渡しました。

これでひとまず、第170回(去年の12月)から続けてきた「官僚の人事政策」が終わります。さらに、去年5月から書いてきた「第4章 政府の役割再考 3 政府の役割の再定義(1)社会の変化と行政の役割」が終わります。
いつものことですが、こんなに長くなるとは思いませんでした。書いていくうちに、「そうだこんなこともある」「これにも触れておこう」と次々と広がります。また、原稿に目を通してもらっている右筆さんが、欠けている点を指摘してくれます。

私は先週から、次の「政治の役割」を書いています。なので、第196回、第197回、第198回、第199回が、同時に走っています。
新しい項に入るので、まずはその中の構成を思案中です。連載執筆で、一番悩むのは、この構成を考えることです。それができれば、別途書きためてある「部品」を集めて、文章にすればよいのです。もちろん、その作業も簡単ではありませんが。
夏休みで気分は緩み、執筆意欲は落ちるのですが、締め切りを考えるとそんな悠長なことは言っておられず。早起きして、原稿に向き合っています。その甲斐あって、なんとか、粗々の構成を作り、最初の部分を書き始めました。

当初、「全体の構成」では、「政治の役割」は一つの項を立てることなく、「(1)社会の変化と行政の役割」の中で、「政と官」を書けばよいと考えていました。この連載の副題は「新たな行政の役割」です。
しかし、機能不全と思える官僚機構を機能させるためには、官僚の努力だけでは限界があります。政治主導の時代に、官僚だけが勝手なことはできないのです。官僚機構を使いこなすのは、政治の役割であり、国民の意向です。そこで、「政治の役割」を項として立てることにしました。これも、書こうと思えば、書くことはたくさんあります。