「岡義達著作集2」の続きです。
岡先生の政治学は、象徴論と分類されるものです。人と人との関係を、意味の共有として考えます。そして、時代を超えた共通項を剔出します。非常に理論的な政治学です。
他方で、時代を超えた理論を追求するので、古今東西の事例を引きますが、例えば現在日本の特定の政治案件分析とは遠くなります。どこにでも適用できますが、逆にそれが限界になります。議論の抽象度が高く、文体とも相まって、とっつきにくいのです。ですがそれ故に、その学風と文章に惚れる人も多かったようです。
読んでみて難しいと感じたら、澤井勇海執筆「岡義達 行動論・象徴論から演技論へ」(前田亮介編『戦後日本の学知と想像力――〈政治学を読み破った〉先に』(2022年、吉田書店)所収)を参照してください。よい読書案内になっています。「岡義達先生の政治学を分析する」
岡義達先生は、大学のゼミの恩師です。当時のしんどかったことは「思い出の本、原書講読」に書きました。「思い出の本、その2。岡先生「政治」」
先日思い立って、岩波新書『政治』(1972年の第3刷り)を取り出して、読み直してみました。大学時代(半世紀前)に読んだ本には、たくさん書き込みが残っています。当時は本当に難解でした。今では何が書かれているか理解できますが、それでも、難しいところがあります。
そこで、私が書くなら、この内容をどのように書くかを考えながら読みました。たぶん、小見出しをたくさん入れて、この段落では何を書いているかを示すでしょうね。そして岡先生に「岩波新書ですから、もう少し読者に親切に書きましょうよ」とお願いしたでしょう(苦笑)。