5月9日の日経新聞夕刊、私のリーダー論、米パーソンズ美大・大森美希さんの「辞める日視野に就職を」に、次のような指摘があります。
――目標を実現するために必要なことは。
「自分のやりたいことが見つかったら、その時点からすぐにビジョンを実現するための戦略を持つことをお勧めします。私は学生時代、ファストフードやスーパーのレジ打ちのバイトをしている時でも、得られるスキルを将来、ファッションデザイナーになったときにどう役立てるか考えていました。戦略を持っておけば、いろいろな回り道をした経験も後で有効にいかせるようになります」
――日本の多くのファッションブランドは海外の流行の後追いをしているとの指摘もあります。世界の最先端の業界の現場では、新たな流行はどのように形作られるのでしょうか。
「トレンドを創るデザイナーたちは、社会の雰囲気、空気感や同じような時代だった過去のファッションを参考にします。将来への人々の願いも反映されます。例えばコロナ禍の後だから開放的な明るい色や花柄が良いとか、インフレで生活が苦しいからもっと地味なものを好むとか、様々な要素が影響します」
「優れたデザイナーは1929年の大恐慌の後のファッションとか、過去のトレンドのほとんどを把握しています。そのうえで次の潮流を考えていくわけですが、そこで大事なのは教養です。たくさんの一流のアーティストと付き合いましたが、ファッションで一流でありたいと思うのなら専門外の本や芸術に親しむなど幅広い教養を持つことが重要だといつも感じます」