3月16日の読売新聞が「ふるさと納税 「黒字」自治体にも補填 地方交付税 寄付反映せず」を解説していました。
・・・ふるさと納税制度により住民税が流出した自治体に対し、国が地方交付税で補填する額が年々増え続けている。総務省の公表データを分析すると、2016年度以降の補填総額は約1・5兆円。地方交付税は、財源が乏しい自治体を支えるためのものだが、寄付の受け入れ額が流出額を上回る「黒字」となっている自治体にも補填されており、制度の是非について議論が始まっている・・・
・・・ ふるさと納税制度では、住民が他の自治体に寄付すると、翌年度、居住自治体に納められるはずだった住民税が寄付先に流出する。京都市では流出額が受け入れた寄付額を上回る「赤字」が続き、19年度は約37億円に上っていた。
危機感を抱いた同市は、おせち料理などの返礼品に力を入れ、寄付が急増。22年度は約95億円に上り、流出額(約73億8000万円)を上回り、約21億2000万円の「黒字」となった。
同市はさらに、地方交付税法に基づき、流出額の75%にあたる約55億4000万円が地方交付税で補填される。この結果、ふるさと納税の「実質収支」は、寄付による黒字分と合わせ、計約76億6000万円に上ることになる・・・
Aさんが、すんでいるB市に納めるべき税金を、C市に「ふるさと納税」したします。B市は(交付税の交付団体だと)、減った金額の75%が地方交付税で補填されます。他方で、C市に納められたお金は税金扱いされず、交付税計算の際では減額されません。全額がC市の収入増加になります。これが税金だと、納税額が増えた分の75%が、地方交付税から減額されます。
この点では、「ふるさと納税」という表現は間違いで、「ふるさと寄付」です。しかし、Aさんは自分の財布から納めているのではなく、本来B市に納めるべき税金をC市に納めているので、自前の金とは言えません(2000円だけ引かれますが)。寄付でもないのです。税金なら、返礼品があることはおかしなことです。どうして、こんな間違った表現になったのでしょう。
元の財源がB市の税金ですから、C市に納められた税金も税金扱いして、地方交付税の算定に加味するべきです。そうしないと、「ふるさと納税」が増えるほど、地方財政全体の財源不足額が増えてしまいます。
ふるさとへの納税を進めるなら、交付税計算の際に75%差し引かずに、例えば50%にすることも考えられます。早く、こんなおかしな制度は是正すべきです。