年別アーカイブ:2023年

指定管理者制度20年

2023年11月3日   岡本全勝

日経新聞文化面が10月23日から3回連載で「指定管理者制度20年の功罪」を載せていました。

・・・公共施設の管理・運営に民間の参入を認める指定管理者制度が導入されて今年で20年。美術館やホール、図書館といった文化施設では開館時間の延長など利便性が増す一方で、経営効率化による専門人材の大量離職などひずみも生じ、地域の文化芸術を振興する施設の使命が揺らいでいる。制度の弱点をどう乗り越えるのか。最前線を追った・・・

入場者数は増えたが、働く人の待遇の悪さ、学芸員が定着しないこと、定期的に事業者を選定し直すことで長期的視点が欠如することなどが挙げられています。
かつての経験から、直営だから良いとは言えません。他方で「経費削減」という視点でなく、どのように機能を活かすかという視点が必要なようです。「丸投げ」はよくないです。
報道機関だけでなく、行政でも、この仕組みの功罪を検証すべきですね。

松本英昭元次官のお葬式

2023年11月2日   岡本全勝

今日11月2日は、松本英昭元自治事務次官のお葬式に行ってきました。私たちは、「えいしょうさん」と呼んでいました。
自治省の14年先輩で、鹿児島県財政課長の先輩でもあります。仕事で直接お仕えしたことはないのですが、おそばで仕事をして薫陶を受けました。仕事ぶりは鋭いのですが、いつもにこにこと話を聞いてくださいました。
興が乗ると、南国情話を歌われました。♪ 岬の風に ないて散る 浜木綿かなし 恋の花~

地方行政、地方自治法の第一人者で、自治法の「松本逐条」を後輩たちに任せることなく、ご自身で執筆、加筆しておられました。

奥さまにお目にかかるのは初めてで、ご挨拶したら、「あなたがゼンショウさんですか。主人が、あなたのことをよく話していましたよ」と、笑顔でおっしゃってくださいました。心配してくださっていたのですね。「ええ、なにかと世間を騒がせたので・・」と、お詫びしておきました。
ありがとうございました。ご冥福をお祈りします。

連載「公共を創る」第167回

2023年11月2日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第167回「政府の役割の再定義ー組織における評価のあり方」が、発行されました。行政が国民の期待に応えるよう方向転換するために、行政組織にも目標設定と評価の仕組みを導入すべきであることについて議論しています。

各省が出す白書は、政策の動向と成果を整理したもので有用ですが、組織や政策の中長期評価には、1年単位ではなく、5年や10年での評価が必要でしょう。その際に、自己評価も価値がありますが、第三者による評価も重要です。

政策や組織の評価を行うのは、それらが与えられた目標を達成国民の期待に国民の期待に応えているかを判断するためです。そのような評価は、各政策と組織を単体として、かつ時系列で見て課題解決の状況を知ろうとするものです。
他方で評価には別の機能もあります。複数の政策を並べて評価し、資源(人と予算)をどのように配分するかを考えるというものです。もっとも、これは異なった政策目標間の比較であり、数値化による比較は不可能です。

組織の業績評価について、もう一つの評価があります。それは、何を達成したかでなく、何をしなかったかに注目するものです。「新しい社会の課題に答えていない」という官僚批判は、何を達成したかではなく、何に取り組んでいないかによるものだと考えられます。各省が「これをしました」「あれもやりました」と実績を誇っても、国民が期待している新しい課題への取り組みを行っていなければ評価は上がりません。これを防ぎ、是正するためには、どのようにすればよいのか。
まずは、各局長が所管範囲を見渡し、新しくどのような問題が生じているかを発見し、取り組むべき課題として俎上に載せることとでしょう。

「迷惑掛けさせていただきます」

2023年11月1日   岡本全勝

私の嫌いな言葉「させていただきます」についてです。許可を求める場合は納得します。身の回りのことについて奉仕してくれる場合、例えば食事が終わった後、店員さんが「お盆を下げさせていただきます」と言うのは、おかしくないですよね。
でも、相手に迷惑を掛ける、不便を強いる場合に、「させていただきます」と表現されると、「ほんまに相手のことをおもんぱかっているのか」と疑問に思います。

スイカとパスモ(電子貨幣つき乗車券)の発売停止のお知らせに、次のような文章があります。
「世界的な半導体不足の影響を受け、6 月8 日(木)より、無記名の「Suica」及び「PASMO」カードの発売を一時中止させていただいております。」
何か、おかしいと思いませんか。相手に不利益を与える場合に、「させていただきます」はおかしいでしょ。英語の案内では、そんな表現ではありません。

「あんたを殴らせてもらいます」は、新喜劇や漫才の世界です。そのように言われれば「いやです」と答えますよね。「取りやめさせていただきます

日本語教師が足りない

2023年11月1日   岡本全勝

10月20日の日経新聞夕刊に「日本語教師が足りない 外国人留学生「6割増目標」に影」が載っていました。世界から日本に来てもらうためには、日本語教室は必須です。これまで、もっぱら欧米に行って文化を「輸入」をしてきて、外国から来てもらう文化の「輸出」には取り組んでこなかったからでしょう。

・・・新型コロナウイルス禍が収束し各所で人手が足りない状況が目立ってきた。外国人が日本語を学ぶ場に関しては教師不足が深刻さを増す。岸田文雄政権が掲げる「共生社会」の実現に向けて足かせとなる可能性がある・・・

・・・留学生らが日本語を学べる場は「日本語教育機関」と呼ばれる。文化庁によると、各地の大学やインターカルトのような日本語学校、地方自治体が独自に設けている教室などを含めて合計すれば全国に2700カ所超ある。
日本語を学ぶ人の数は直近2022年度の時点で21万9千人だった。あくまでコロナ禍からの回復途上の数字だ。19年度実績でみると27万人超いた。
教える人は慢性的に足りないといわれてきた。日本語教師の数はこの10年で3割増の4.4万人ほどに増えてきてはいる。
それでも生徒の数に比べれば伸び率は小さい。日本語学校や大学が東京や大阪など大都市部に集中しているため、地域間の偏りがあることが分かってきた・・・

・・・政府は教師の数や待遇を直接テコ入れするよりも「教育の質」を担保する施策に比重を置いてきた。
日本語教育機関認定法が5月に成立した。日本語教師を民間の資格から国家資格に格上げする方針を柱に据え「登録日本語教員」という資格の新設に動いた。
新たな制度は24年4月に始まる。基礎・応用の筆記試験の合格と実践研修(教育実習)の修了が付与の要件になる。国がお墨付きを与えた人と機関のみが原則教えることができる仕組みに変えた。
日本語教育の水準のばらつきを改善し、統一の基準を設けて質を底上げする。法整備の狙いに異論は少ない。
それでも現場からは人手不足を和らげる効果は見込みにくいとの声があがる。資格取得の負担の重さなどから現役教師の離職を招く懸念は残ったままだ。職種のハードルが上がったとの受け止めが広がり、なり手不足に拍車がかかる恐れもある。量と質の両面の模索はまだ続く・・・