1月6日に東北自治研修所で行った講演の概要が、機関誌「東北自治」に載りました。
インターネットでも、読むことができます。ご関心ある方は、お目通しください。「令和時代の自治体と職員」3ページから12ページまでです。
年別アーカイブ:2023年
河北新報に載りました2
河北新報の記事の続きです。
3月22日「巨額国費、帰還は進まず<(中)際限なき除染>」
「放射線量が高い帰還困難区域の一部を除染して解除する復興拠点制度の道を切り開いたのが、19年11月まで町長を務めた渡辺さんだ。福島復興再生特別措置法が17年5月に改正される1年数カ月前、「大川原はあくまで復興の前線基地。『本丸』は大野駅周辺だ」と国に新制度の検討を求めた。
当時の復興庁事務次官岡本全勝さん(68)は「放射線量の減衰が想定より早い『うれしい誤算』があり、国も提案に乗れた」。新制度ができれば面積の約96%が帰還困難区域の双葉町も希望が持てる。問題は除染費用の捻出だった。
東電は帰還困難区域の住民に、避難先への移住を前提に故郷喪失の慰謝料700万円や土地建物の財物被害、新居購入費の差額分など1世帯当たり数千万円から数億円を支払っていた。
他の避難指示区域と性格が異なり、「汚染者負担の原則」に基づき東電へ費用を求償するのは難しい。原子力政策を担う国の責務として税金投入を決めた。
復興拠点制度は自治体が居住目標人口などを盛り込んだ整備計画を認定する仕組みにした。国は私有財産に公的資金を投じないのが原則だ。「未解除区域の活用は街づくりに資する」(岡本さん)との立て付けにし、まとまった地域を国費で除染する方針を決めた。」
22日の記事では、次のような指摘もあります。
「17年12月以降、大熊を含む6町村で除染が始まった。関係者が安堵したのもつかの間、今度は復興拠点から外れた「白地」と呼ばれる地区の住民から「不公平だ」との声が漏れた。
原因の一つが国の被災者生活再建支援金。除染の際、家屋解体すると「自然災害由来の住家被害」(内閣府防災)とみなされ、最大300万円が支払われる。霞が関の元官僚は「本来原子力災害は適用外のはずだ。賠償金との二重取りではないか」と問題提起する。
高まる不満を受け、政府は白地地区を一定条件下で「特定帰還居住区域」とし23年度から国費除染することにした。内閣府の須藤治福島原子力事故処理調整総括官は「希望者を帰還させるのが居住人口を増やす一番の近道。国は努力を惜しむべきではない」と話す。
避難区域の全域除染について、20年10月まで飯舘村長を務めた菅野典雄さん(76)は「復興拠点に膨大な予算を投じた意味がなくなるし、拠点制度を考えた官僚らの努力も報われない」と否定的見解を示す。
「福島は賠償金で住まいを再建できた人が多い。津波で自宅も家族も失った岩手や宮城の人たちの心情を思えば、もっと頑張れる余地がある」と問いかける。」
会社による社会保障国家の限界
3月14日の朝日新聞夕刊、浜田陽太郎記者の「休職体験への指摘 「正社員」の私、分断を自問」から。
・・・やはり来たか――。予想はしていたが、グサッと刺さった。
「55歳の『逃げ恥』体験」という記事を、朝刊リライフ面で連載している。
「自分は会社で役立っていないのでは」と悩んだ私は「自己充実休職」という制度を使って1年間、九州・大分で過ごした。その体験を軸にした記事だ。デジタル版では昨年末、同じストーリーをより詳しく書き込んで配信している・・・
・・・「正直、共感するポイントを探すことが難しい」。私の記事にこんなコメントを寄せたのは、人類学者の磯野真穂さんだった。
任期無しの正社員に一度もなったことがない磯野さんにとって、落下しても「ふかふかの羽毛布団と高級マットレス」が待ち構えている人(つまり私)と、「冷たいコンクリート」がある人(任期付きで働く多くの非正規労働者)が存在することをあらわにされた気持ちはぬぐえないという厳しい「感想」だった。
ただし、磯野さんは、こうした思いを言葉に出すことの危うさへと論を進める。「あなたよりもっと大変な人がいる」という語り口を進めれば「不幸の総量」が発言力を決める事態に陥るからだ。個々人の感じる苦しさを重量のように比べる議論は分断しか生まない……。・・・
・・・ 最近、ある有識者から、子育てや住宅の分野で日本の社会保障が立ち遅れたのは「それはカイシャ(会社)が面倒をみるべきもの」という規範意識が岩盤のようにあるからだ、と指摘された。
カイシャが面倒をみるのは正社員のみ。その枠から漏れる非正規労働者には「冷たいコンクリート」しかない状況を変えるため、政府にお金を預け(税金を払い)、社会保障を充実すべきだとの主張はこの岩盤を崩せていない、という。
正社員にも切実な不安や苦しみはある。だが、その吐露を批判されるのは嫌。黙って岩盤を守っている方が得策。そんな気分が自分にないか、自問自答するところから始めている・・・
河北新報に載りました
3月21日河北新報1面連載「償いの実相 福島に投じた復興予算」に、私の発言が載りました。
「ハコモノ乱立、投資か浪費か<(上)潤沢な財源>」
「東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から12年が過ぎた。ハード事業がほぼ終了した岩手、宮城両県の復興予算は縮小する一方、福島県はいまだ肥大化している。避難指示が解除された地区にはハコモノが乱立し、帰還困難区域の国費除染は終わりが見えない。前例のない予算措置を、国の関係者は福島への「償い」と呼ぶ。住民帰還が頭打ちとなる中、巨額の税金をつぎ込むことに国民の理解は得られるのか。模索が続く現場の実情を報告する。(東京支社・桐生薫子)」
内容は記事を読んでいただくとして、私の発言は次のようなものです。
「元復興庁事務次官の岡本全勝さん(68)は福島の復興は経済合理性では計れないとし、「天災に見舞われた宮城、岩手は復興支援だが、福島は国としての『償い』だ」と説く。一方で「納税者の理解を得られる執行に努めなければならない」とも付け加える。」
19面では、原発被災地復興に投じられた経費が詳しく分析されています。「帰還整備費、膨らみ続ける」。よく調べてあります。
そこでは、帰還困難区域の4人世帯の賠償金額(平均)の内訳も載っています。精神的慰謝料と故郷喪失損害に7317万円、土地と建物の損害(全額賠償)に4933万円、避難先での住宅確保(損害賠償との差額)3115万円、家財の損害(全額賠償)783万円、田畑・山林の損害(全額賠償)1580万円です。
働きやすい職場の指標
3月6日の日経新聞オピニオン欄、西條都夫・上級論説委員「人的資本、ユニーク開示続々「今の職場お薦めですか」」が、よい職場つくりに参考になります。
・・・働く人をコストではなく、価値を生み出す源泉ととらえる「人的資本」の開示が、2023年3月期の有価証券報告書から上場企業に義務化される。手慣れた財務情報の開示とは勝手が違い、何をどう社会に伝えるべきか、戸惑う企業も多いだろう。
「女性管理職比率」など法令で決まった開示だけでも許されるが、これを機に企業の根幹を支える「人」についての経営方針や目標を広く発信し、経営改革の一助としてはどうか。そのために役立つ指標やデータを紹介したい。
▼職場の推奨率
マーケティングの分野にはネットプロモータースコア(正味推奨率)という指標がある。自社製品のユーザーに「友達にこの製品をどの程度熱心に薦めますか」と10段階で尋ね、前向きな回答から否定的な回答の比率を差し引いて、ブランドへの忠誠や愛着を計測する手法だ。
石川県を地盤とする地銀グループの北国フィナンシャルホールディングス(FHD)はこれを職場に応用した。「あなたの職場で働くことを、親しい友人や知人にどの程度お薦めしますか」と従業員に質問し、「とてもお薦め」という前向きの答えから、「絶対に薦めたくない」といったネガティブな答えを引き算した値がマイナス52%だった。
一見低めの数字だが、同社は22年の統合報告書でこれをあえて公表。杖村修司社長は「当社は半沢直樹型の旧態依然の銀行の風土から脱却し、コンサルティングなどでも稼ぐ令和型モデルへの転換を進めている」といい、人事においても各社員に自律的なキャリア形成を促す新制度を導入したばかりだ。
サーベイの値は変革を前にした社員の不安の反映でもある。「その証拠に従来の人事制度に慣れ親しんだ中高年層ほど推奨率が低かった」と人材開発部の横越亜紀部長はいう。その後、実際に新制度が稼働すると、未知の仕組みへの恐怖も薄らぎ、直近の調査では推奨率も上向いた。同社は今後もデータ開示を続ける考えだ。外からは見えにくい社員の心の状態を数字で示す貴重な情報である。
▼世代別エンゲージメント
仕事への熱意を示すエンゲージメント調査は多くの企業が実施しているが、結果を公表する企業は一握りで、世代別の結果を報告する例はさらにまれ。1000社近い企業の統合報告書などに目を通した「人的資本開示ウオッチャー」の田中弦・ユニポス社長が調べた範囲では、ダスキンと京セラ、出光興産の3社しかなかったという。
そのダスキンの結果をみると、「仕事にやりがいを感じる」「ダスキンで働けてよかったと思う」の2つの質問に対して、25〜29歳の層は肯定的な回答が他の世代に比べて目立って低かった。大学を出て入社して一通り仕事を覚え、現場のリーダーとして一定の管理責任も負う。だが、それに見合った権限や待遇が付与されない。
そんな若い世代の「声なき声」を感知した会社は「年功序列にとらわれず、若手を大胆に抜てきできる制度を導入した」(大久保慶子・人事企画教育室長)という。世代による認識ギャップを放置すれば、組織は変調をきたす。正直なデータの開示は、素早く手を打つきっかけにもなる・・・
わかりやすい指標ですね。主観的ですが、社員たちの本音が出てくるので、客観的な指標よりよく表しているでしょう。このほかに、出生率、新卒離職率が上げられています。原文をお読みください。あまたの管理者論や社員育成術を読むより、意義があるように思います。
あなたの職場は、どうですか。現状を嘆いていても、改善されませんよ。行動を起こす必要があります。