出所者の受け皿、自立準備ホーム

自立準備ホームって、ご存じですか。朝日新聞夕刊連載「現場へ!」、12月25日からは「自立準備ホームを訪ねて」です。ぜひ、原文をお読みください。

・・・自立準備ホームは、更生保護施設以外にも出所者らの受け皿を確保するため、法務省が11年に導入した。登録した事業者が、保護観察所からの委託を受けて引き受ける。入所者は6カ月まで生活でき、食事の提供のほか就労や自立の支援を受けられる。再犯防止のためには住まいの確保が重要とされている・・・「自立準備ホームを訪ねて:1 服役後の生き直し、支える

・・・「自立準備ホームを知らない人が多い。必要としている人に情報を届け、再犯、再非行を減らしていきたい」
昨年3月21日、刑務所や少年院から出た人を受け入れる自立準備ホームの全国組織「日本自立準備ホーム協議会」が発足。代表に就いた高坂朝人さん(40)が設立集会で語った。
それから1年半、506ある事業者のうち66団体が参加。研修会や情報交換を重ねる。準備ホームは2011年に法務省が始めた制度で、事業者は毎年法務省に登録する。出所者らが生活する場であるため、周辺住民との摩擦も考慮して、事業者や場所の情報は非公開だ。存在自体があまり知られず、横のつながりもほとんどなかった。
満期出所者の4割以上は帰る場所がなく、仮釈放者より再犯する割合が高い。行き場のない状況を連携して改善したいというのが高坂さんの思いだ・・・「2 元非行少年が運営に奔走

参考2022年5月24日「自立準備ホーム

令和5年の回顧1、仕事

年末になったので、今年も1年の回顧を始めましょう。第1回は、仕事についてです。

市町村アカデミー学長は、2年余りが経ちました。
昨年までは新型コロナの影響で、集合対面授業ができない時期がありました。今年は、感染拡大が下火になり、制限をつけつつ本来の授業を再開しています。とはいえ、年間約5千人の研修生を受け入れているので、コロナやインフルエンザを発症する人もいます。その場合の対策も行いつつ、研修を続けています。

教授陣をはじめ職員たちが、社会の動きに応じて、また研修生からの要望を踏まえて、研修の主題を変えたり、内容を変更しています。
大きな施設なので、その維持と管理も重要です。職員が工夫を凝らして、効率化や更新に取り組んでくれています。資金運用も重要です。かつては国債や地方債運用である程度の収入があったのですが、黒田日銀総裁の下で異様な低金利政策が続き、金利を生まないのです。専門家の意見を聞いて、新しい運用を始めました。
職員たちが積極的に現状を見直し、新しいことに取り組んでくれます。ありがたいことです。この気風を大切にしたいです。それが、市町村や研修生からの高い評価につながっていると考えています。

通勤には片道1時間半かかるのですが、総武線各駅停車に座って、新聞切り抜きなどを読む良い時間です。
隅田川、荒川、江戸川と、大きな川を渡ります。朝の光を反射する川面を見ると、気分が良くなります。ところが、読むことに熱中していると、川を見ることを忘れてしまいます。

在宅勤務でも会議は減らない

ワシントンポストに、興味深い記事が載っていました。”Tired of too many meetings? These companies helped cut the excess. From no-meeting Wednesdays to focus weeks, companies are finding new ways to lessen workers’ Zoom overload” 12 月 26 日
登録すると無料で読めます。

パソコンが翻訳した日本語では、「会議が多すぎてうんざりしていませんか? これらの企業は過剰分の削減に貢献した。会議のない水曜日から集中週間まで、企業は従業員のZoomの過負荷を軽減する新たな方法を見つけている」です。
本文も、パソコンに翻訳してもらって読みました。まあまあ意味はとれます。

・・・企業は、コロナウイルスのパンデミックが最高潮に達している間、従業員の多くが自宅に閉じ込められていた従業員とのつながりを保つため、会議を拡大した。
しかし数年後、多くの人が少なくともパートタイムでオフィスで働いているにもかかわらず、圧倒的な数のビデオ会議が残っています。一部の企業は、疲労を軽減し生産性を高めるために、会議の文化を見直し、時間を短縮しています。
2020 年 2 月以降、Microsoft Teams ユーザーは 1 週間あたり 3 倍の会議と通話を行っていると同社は報告しています。労働者らは、会議が多すぎて非効率であることが、生産性に対する障害の上位 3 つのうちの 2 つであると報告しました・・・

記事では、会社が会議を削減し、社員が集中できる時間を確保する努力をしている様子が報告されています。欧米の職場では、文書によるやりとりが主だと聞いていたのですが、そうでもないのですね。
会議が仕事の邪魔だとは、拙著『明るい公務員講座 仕事の達人編』で主張しました。そこでは、集まっての会議を想定していたのですが、オンライン会議が普及しても、問題は同じですね。

資料整理、廃棄

年末に、執務室の棚を少し整理しました。過去の講演会の資料です。
講演会ごとに半封筒を作り、関係資料を入れます。講演骨子や配付資料などとともに、依頼状など庶務的なものです。2年前に市町村アカデミーに来る際に捨ててきたのですが、その後の半封筒がたくさん貯まっていたのです。年間50回くらい引き受けていますから。

私の講演は、主に東日本大震災体験と職員研修です。基本は変わらないのですが、主催者の要望や聴衆に応じて内容を変えます。資料を見ると、少しずつ関心の重点や話す要点が変わってきています。
捨てる資料を見ると、「こんなこともしゃべっていたよなあ」「こんなこともしゃべっていたのだ」と発見があります。忘れているということですね。

積み上げて30センチ近くあったのを、半分くらい捨てました。

車椅子での看護専門学校入学

12月26日の朝日新聞夕刊に「夢の看護師へ、まず一歩 車いすの准看、専門学校合格」が載っていました。

・・・6年前に車いす生活となった准看護師が、夢だった看護師になるために来年の春から看護専門学校に通う。これまで2度受験した専門学校は不合格だったが、周囲の支えで受け入れてくれる専門学校を見つけた・・・

・・・大阪府富田林市の桂真梨菜さん(30)は2017年、24歳で准看護師になった。出産後に看護師を目指すつもりが、出産の際に下半身がまひし、車いす生活になった。リハビリの末、21年に車いすの准看護師として仕事に復帰し、決意した。
〈私は、患者さんに心から寄り添う看護師になる。車いすの私だからこそ、なれるはず〉
21、22年と面接試験のみの看護専門学校を受験したが、不合格に。拒まれている、と感じた。

日本看護協会などによると、日本には、看護師の資格を取ってから車いす生活になり働く人はいるが、車いすの人が看護師資格を取ったケースは把握していないという。厚生労働省によると、車いすの人が看護師になることに問題はない。
記者は昨年12月、この経緯を記事で紹介した。事態は展開する。
記事を読んだ国会議員が、受け入れの可能性がある学校を厚労省とかけあって、いくつか探してくれたのだった。
桂さんは今年1月、そのうちの1校に電話をかけた。夏のオープンキャンパスの時に問い合わせて、と言われた。
〈ダメかな〜〉。心を奮い立たせようと、モデルなどに挑戦。秋からは訪問看護の事業所に所属し、訪問准看として働き始めた。入試面接で「すでに車いすで訪問看護をしています」と言おうと思ったからだ。
個別に学校の人と話したいと考えた桂さんは10月、1月に電話した看護学校を訪ねた。大阪府泉佐野市にある泉佐野泉南医師会看護専門学校だ。
キャンパスを案内してくれた人に質問した。
「私は、車いすでは実習できない、と言われ続けてきました。懸念点はありますか?」
学校の人は言った。
「問題が起こるかもしれません。でも、起こったとき、みんなで解決に向けて考えればいい」
社会人入試は11月11日。1カ月間、国語や小論文を猛勉強。面接では、看護への思いを聞かれた。車いすに関わる質問は、なかった。
5日後の朝、自宅に合否発表の速達が届いた・・・