連載「公共を創る」第172回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第172回「政府の役割の再定義ー官僚に求められる「交渉能力」とは」が、発行されました。

これまでの官僚に求められた能力について説明しています。前回から、官僚が国家全体の利益を考えず、自身の属する省庁や局の利益を優先することがあった点について論じています。
官僚はそれぞれの政策分野での専門家です。しかし、社会や国家全体を忘れて専門分野の利益拡大に力を注ぐことがあったのです。省庁の幹部候補生(上級職。現在の総合職)を育成する際、省内(業界や専門機関を含んでいました)ではさまざまな分野を経験させるのに、省外に出して幅広い視野を身に付けさせることはしませんでした。

官僚には、理解力と説明力という「頭の良さ」とともに、交渉力もあります。官僚は実務家ですから、必ず折衝の相手がいます。折衝には、自らの考えを相手に理解してもら
わなければならない場面だけでなく、相手からの提案や依頼を断ったり後回しにしたりする場面があります。その際には自説を述べるだけでなく、相手に納得してもらう必要があるのです。

このほかにも、官僚に求められた「変な能力」があります。例えば、理不尽なことに耐える能力です。時に、国会議員に無理難題を吹っ掛けられたり、与野党に対する説明の場で厳しい追及に遭ったりするのです。

年内はこれで終わり、新年は1月11日号からです。