学力は公立学校でつけるべき

7月29日の朝日新聞オピニオン欄「「公」立て直すには」、小宮位之・NPO法人八王子つばめ塾理事長の発言から。

・・・経済的に厳しい家庭の小学生から高校生に、無料で教える塾を東京都内で開いています。公民館や企業が無償で貸してくれる会議室を借り、講師もボランティアです。
多くの子が塾に行く現状では、塾に行ける経済状態かどうかで格差が生まれます。そのため、行政が企業やNPOに委託して無料塾を手がける取り組みも進んでいます。そうした活動を否定するものではありませんが、僕たちは、行政からの委託や補助は受けず、必要経費は寄付で賄っています。

行政が取り組むべき、もっと優先順位の高い課題があると考えるからです。本来は、公立学校で学力がつくようにするべきで、塾は行きたければ行くというオプションのはずです。行政が無料塾を手がける余裕があるなら、先生やカウンセラーを増やすなど、公立学校の底上げをして欲しい。公立学校を強化すれば、結果的に、塾や私立校に行けない子どもが一番恩恵を受けるでしょう・・・

中3、英語話す正答12%

8月1日の各紙が、今年4月に実施した全国学力・学習状況調査結果を報道していました。特に目立ったのが、中学3年の英語で「話す」の平均正答率が12%ということでした。読売新聞「学力テスト 英語「話す」正答率12.4% 中3 全問不正解6割超」から引用します。

・・・文部科学省は31日、今年4月に実施した2023年度の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果を公表した。中学3年が対象の英語では、「話す」技能の平均正答率が12・4%にとどまった。英語を使ったコミュニケーションを重視する中学校の学習指導要領が21年度に実施されてから初めてのテストだったが、英語で表現する力が十分に身に付いていない実態が明らかになった・・・

・・・英語の平均正答率を技能別でみると、「聞く」が58・9%、「読む」は51・7%で5割を超えた。一方、「書く」は24・1%にとどまり、全国値を推定した「話す」に次いで低かった。
「話す」は、英語で考えや気持ちを伝え合う活動を重視する学習指導要領を踏まえて出題された。全5問のうち、留学生による環境問題の発表を聞き、1分間で自分の意見とその理由を考え、30秒間のうちに英語で答える問題では、正答率がわずか4・2%だった。
「話す」では、1問も解けない生徒が6割を超えた。作問した国立教育政策研究所の責任者は「聞いたことを基に考えと理由を述べる力を測る狙いだったが、場面設定が複雑になりすぎ、生徒には難しかったようだ」としている・・・

8月1日の日経新聞夕刊「受験のリアル・大学編」で、後藤健夫さんが「大学共通テスト、英語4技能試験の活用はなぜ難しい」を書いておられました。そこでは、日本の高校生は英語ができない理由として、社会が英語の能力を求めていないからだと喝破しておられます。

電車内の押しくらまんじゅう

みんながするから、みんながしないから2」の続きになります。実は、この話を書こうと思って前回の記事を書いたのですが、本論を忘れていました。

朝の地下鉄丸ノ内線、7時過ぎなので、座ることはできませんが満員ではありません。私は、すいている中程まで進みます。車内放送も、そのように指示しています。
ところが、次々乗ってくる人たちが、扉の近くに固まります。そして、スマートフォンの操作に熱中します。その状態は、押しくらまんじゅうです。冷房が効いているとはいえ、この暑い夏に体を寄せ合っています。中に入れば空いているのに。
しかも、多くの人がマスクをしています。「あんた、コロナ怖いのかい。なのに、押しくらまんじゅうしているのは、矛盾してるわ」と言いたくなります。
不思議な人たちです。この人たちは職場でも、周囲が見えず、気配りができない人なのでしょうか。職場だったら、評価は下がりますよね。

私が四ツ谷駅で降りようと「降ります。通してください」と声をかけると、面倒くさそうな目で見て、体をよじるだけの人がいます。お兄さん、それでは通れないのですよ。通路を開けてください。
この話、何度も同じことを書いています。「継続は力なり」という言葉もあります。

社会基盤としての企業のサービス

単文を投稿する「ツイッター」(現在はXと言うそうです)で、自治体の投稿ができなくなる事態が起きているとのことです。大雨の際に投稿できなくなりました。NHKウエッブ。ツイッター社が設定している制限に引っかかったらしいのです。「同じような内容の投稿が問題ととらえられたかもしれない」という分析もあります。

このようなソーシャルメディアは、民間企業が提供しているサービスです。しかし、災害時には、有用です。使っている自治体は、困るでしょう。
思いつくのが、災害対策基本法が定めている指定公共機関です。防災行政上重要な役割もつ公共的機関や会社を、内閣総理大臣が指定しています。鉄道、電気、ガス、通信会社、コンビニなどが指定されています。災害時には、協力してもらうのです。
通信会社が指定されているのなら、ソーシャルメディアも指定できないのでしょうか。国内企業でないと、指定できないのですかね。

子どもの時に受けた心の傷

7月28日の朝日新聞夕刊「幼少期のトラウマ、アスリート学生に影 天理大学生相談室・金子栄美さんに聞く」から。これは、運動選手に限ったことではないですよね。

自傷行為に走る、大事な試合で実力が出せない――。そんな状況に陥るスポーツ選手は、子どもの頃に身体的、精神的、性的な暴力を受けたトラウマ体験を抱えていることがあると、研究で指摘されている。アスリート学生の相談を受けてきた天理大学生相談室・金子栄美さんは、その実態を見てきた。アスリートは、暴力や暴言にも耐えるものだという思い込みがあることも感じたという。

カウンセラーで臨床心理士の金子さんのもとには、オーバートレーニング症候群など心身の不調を訴える人から、リラックスしたいという人まで、さまざまな人が訪れる。
相談室を訪れた1人のアスリート学生は、「ベストタイムが切れないんです」。順調に練習を積んでいるにもかかわらず結果が出ない。
カウンセリングをじっくり進めているうちに、小さい頃、親に告げずに外出して、顔を殴られたというトラウマがあることがわかった。本人もこれまで閉じ込めていた記憶だった。このトラウマのケアをしていくと、肩の動きを悪くしていた筋緊張がなくなり、競技でもベストを出すことができたという。

別の学生は、なぜか自分に自信が持てない。周りの人に「それだけ俊敏に動けて、技術もあるのになぜ勝てないのか」といぶかしがられるくらい、あと一歩というところで思い切ったプレーができず勝てなかった。中学生の時、「どうせお前には無理」と指導者に言われ続けたことがトラウマになっていた。
もう1人の学生は、ある時から突然、調子が悪くなり、イライラが募るようになった。家族や周りの人ともちょっとしたことでケンカをするようになった。カウンセリング中に、過去にいじめられたことや指導者の不適切な対応がトラウマ体験となっていたことに気づいた。ケア後、格段に動きが良くなった。急な変化に周りも驚いた。