高円寺阿波踊り

8月26日27日と、高円寺阿波踊りが開かれています。25日金曜日夜から、前夜祭が始まりました。
徳島の阿波踊りを元祖とし、正統的なものと、近代的・都会的に編曲された音楽もあります。何と言っても、ドラムの連打が激しいです。今日も見に行きましたが、すごい人出です。そして、踊っている人たちのうれしそうな顔。「踊りは~やめられない~」という台詞の通りです。
高円寺近辺の連だけでなく、広く都内からも出場しています。家族や関係者と思われる人たちが、連のあとをついて歩き、ひと躍り終わるとそのはじけようの大きなこと。踊りは、人を楽しくしますね。

我が家は、演舞場(商店街)と通りを一つ隔てていますが、大きな音が響いてきます。演舞場への通路となっているので、通行人も多いです。夜8時に終わって静かになると、ほっとします。

ひどい上司と憎めない部下と2

ひどい上司と憎めない部下と」の続きです。今日は、小道具編です。

課長補佐の私は、ある時期は国会議員への説明で議員会館を飛び回り、講演会などもこなしていたので、席を空けることも多かったのです。そこで、部下たちが相談したい資料を私の机に提出しておいてもらって、あとで目を通すこともありました。
小学校の時に先生に捺してもらった「よくできました」というゴム印を覚えていますか。「よくできました」ゴム印。遊び心もあり、それを捺して書類を返却していました。文房具店で買ってきたゴム印は5種類が入っていて、「たいへんよくできました」「よくできました」のほかに「もうすこしです」や「がんばりましょう」などもありました。

最初の頃は、「たいへんよくできました」か「もうすこしです」を捺していたのですが。ある職員(県から派遣されていた職員)が私に説明しながら、「補佐、これを捺しましょう」と言って、勝手に「たいへんよくできました」を自分で捺しました。憎めない職員です。今は副知事をしています。
その後いつの間にか、「たいへんよくできました」以外のはんこは、行方不明になりました。そして、残った「たいへんよくできました」を、職員が自分で捺すようになりました。

もう一つ小道具の話です。
私はプロ野球、近鉄バッファローズのファンで、机の上に小さなマスコット人形などを飾っていました。ある日出勤すると、机の下に落ちていて、しかも壊れています。
「なんやこれは」と言うと、あの係長が「補佐の厳しさに耐えかねて、自ら身投げをしたのではありませんか。かわいそうな人形です」と、真面目に説明してくれました。

「こやつが遊んでいて、あるいは鬱憤晴らしで壊したな」と推測しましたが、そこまで堂々と言われると、反論のしようがありません。職員が壊れる前に、人形が身代わりになってくれたのです。
多分、他の職員は笑っていたでしょうね。
彼らのおかげで、仕事は大変でも、風通しの良い職場だったと思っています。

生涯子供なし推計女性4割、男性5割

8月9日の日経新聞に「生涯子供なし現18歳女性で最大42% 欧米の2倍水準 男性は5割も」が載っていました。

・・・生涯にわたって子供を持たない人が2005年生まれの女性(23年に18歳)の場合で、最大42%に達すると推計されることがわかった。男性はさらに多く5割程度になる可能性がある。先進国でも突出した水準だ。子供を持たない人の増加は少子化による人口減少を招くだけでなく、家族による支え合いを前提とした社会保障制度にも変更を迫る・・・
・・・最新の推計値は国立社会保障・人口問題研究所(社人研)がまとめる23年将来人口推計報告書に盛り込まれる見通し。

05年生まれの女性(23年に18歳)の場合、子供を持つ人が最も少ないという仮定(低位仮定)では50歳時点無子率が42%になる。最も多いと仮定(高位仮定)しても24.6%。両者の間の中程度の仮定(中位仮定)は33.4%で、3人に1人は子供を持たない人生を送ることになる。
男性の場合、女性より未婚率が高いことから、およそ1割程度、生涯無子率も高いと見られる。男性では最大5割程度、2人に1人が子供を持たない可能性がある。

欧米の先進国でも子供を持たない人は増えてきた。子供を持つことを最優先せず、自己実現を重視するといった価値観の変化などが背景にあるとされる。
1970年生まれの女性(2023年に53歳)で見ると、日本以外の主な先進国での生涯無子率はそれぞれ1〜2割程度だが、日本は27%とすでに突出して高い。欧米が現状のまま推移すれば、今後、日本の無子率はその2倍以上になる可能性がある。
英米やドイツでは近年、生涯無子率上昇の勢いが収まりつつある。仕事と子育てが両立しやすい環境が整い、「少なくとも1人」は子供を持てるようになってきているとの見方もある・・・

連載「公共を創る」第160回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第160回「政策の失敗、政策転換の遅れ」が、発行されました。

前回は、官僚の政策執行と事務処理における大きな失敗事例を取り上げて、説明しました。問題を起こした組織は、何らかの見直しが行われます。組織の廃止、改組などです。業界の振興と規制が分離されることもあります。
大きな失敗をした組織は取りつぶされることもあるのですが、それが責任の所在とその後の償いを曖昧にする危険もあります。私はこれを「お取りつぶしのパラドックス」と呼んでいます。「事故を起こした責任と償い」「責任を取る方法2

このほかに、長期的な評価で見えてくる「政策の失敗」もあります。農業振興に力を入れてきましたが、食糧自給率は低下し、農業従事者は激減しています。教育に力を入れてきましたが、子どもたちは学校が楽しくないと言い、大学はレジャーランドと揶揄されています。道路整備に巨額の予算を投入していますが、鉄道やバス路線が廃止され、車を持っていない人にとっては不便になっています。

これらに共通するのは、当初は高く評価されていたのに、その後に批判の対象となってしまったことです。政策の転換がうまくいっていないのです。目標設定が間違っていると、公務員がいくら一生懸命仕事をしても、国民からの評価は上がらず、職員の意欲も低下します。

外国人労働者の虐待

日経新聞夕刊連載「人間再見」、8月7日からは、外国人支援NPO代表の鳥井一平さんの「彼ら彼女らも日本で働く同僚です」でした。

・・・日本の在留外国人は2022年末に307万人と30年前の2.4倍に増えた。NPO法人「移住者と連帯する全国ネットワーク」の鳥井一平・共同代表理事(69)は30年以上にわたり、労災や賃金不払いなどのトラブルに遭った外国人労働者を支援してきた・・・

記事には、日本企業が外国人労働者を虐待する事例が載っています。次のような記述も。
・・・91年に千葉県野田市で業務中に大けがをしたバングラデシュ人の青年から、会社が労災申請してくれないという相談がありました。主治医に状況を聞こうと訪れた病院で驚きました。包帯をした外国人が待合室にたくさんいるんです。大変なことが起きていると実感しました。
当時、中小零細企業で働く人は「弁当とケガは自分持ち」と自嘲するくらい、労働災害に遭っても泣き寝入りする状態でした・・・

・・・90年代に観光ビザで来日し成田空港に降り立った人々は、付近の町工場のドアをコンコンたたいて「仕事はありませんか」と尋ねて回ったのです。本来は就労できない資格なのに企業が雇うのは、彼ら彼女らなしではこなしきれないほど仕事があったからです。
路上で警察官の職務質問を受けてオーバーステイだと判明しても、工場の社長が交番まで走っていって「連れていかれると工場が止まってしまう」と訴えれば放免される。おおらかな時代でした。

93年には約30万人のオーバーステイ労働者がいました。入管当局が「本気」で取り締まれば、これほどの規模になることはありえません。日本経済を支えるため政府が「不法就労」を実質的に容認していたのが実態なのです。
23年6月に出入国管理法が改定され、非正規滞在者の強制送還が強化されました。私たちはずっと反対してきました。「不法滞在者」を送還して何が悪いんだと考える人もいるかもしれませんが、かつて政府はオーバーステイを黙認し、彼ら彼女らが日本経済を支えてきた面があるんです。そうした経緯を踏まえた議論が必要です・・・