ひどい上司と憎めない部下と2

ひどい上司と憎めない部下と」の続きです。今日は、小道具編です。

課長補佐の私は、ある時期は国会議員への説明で議員会館を飛び回り、講演会などもこなしていたので、席を空けることも多かったのです。そこで、部下たちが相談したい資料を私の机に提出しておいてもらって、あとで目を通すこともありました。
小学校の時に先生に捺してもらった「よくできました」というゴム印を覚えていますか。「よくできました」ゴム印。遊び心もあり、それを捺して書類を返却していました。文房具店で買ってきたゴム印は5種類が入っていて、「たいへんよくできました」「よくできました」のほかに「もうすこしです」や「がんばりましょう」などもありました。

最初の頃は、「たいへんよくできました」か「もうすこしです」を捺していたのですが。ある職員(県から派遣されていた職員)が私に説明しながら、「補佐、これを捺しましょう」と言って、勝手に「たいへんよくできました」を自分で捺しました。憎めない職員です。今は副知事をしています。
その後いつの間にか、「たいへんよくできました」以外のはんこは、行方不明になりました。そして、残った「たいへんよくできました」を、職員が自分で捺すようになりました。

もう一つ小道具の話です。
私はプロ野球、近鉄バッファローズのファンで、机の上に小さなマスコット人形などを飾っていました。ある日出勤すると、机の下に落ちていて、しかも壊れています。
「なんやこれは」と言うと、あの係長が「補佐の厳しさに耐えかねて、自ら身投げをしたのではありませんか。かわいそうな人形です」と、真面目に説明してくれました。

「こやつが遊んでいて、あるいは鬱憤晴らしで壊したな」と推測しましたが、そこまで堂々と言われると、反論のしようがありません。職員が壊れる前に、人形が身代わりになってくれたのです。
多分、他の職員は笑っていたでしょうね。
彼らのおかげで、仕事は大変でも、風通しの良い職場だったと思っています。