岸田政権、政と官の関係

5月11日の朝日新聞「岸田官邸の実像」牧原出・東大教授の発言から。

――安倍政権では側近の「官邸官僚」が政策を強力に推し進めてきました。岸田政権の官邸と官僚の関係はどう変わりましたか。
安倍政権や菅政権と比べると、官邸主導で省庁にあれこれ指示して進める政策は少ないと思う。かといって、官僚が政策をどんどん打ち出していくかというと、そうはなっていない。

――なぜでしょうか。
旧民主党政権から安倍政権、菅政権に至るまで、官邸主導で官僚の頭を押さえつけるような時代が続いたことで、官僚側が自ら考え、政策の弾を込めていくというやり方を忘れてしまっているように思える。
また、官邸が省庁幹部の人事権を掌握しているから、官僚が官邸を飛び越えた政策を打ち出して、にらまれるのは怖い。なので、様子見をしているのかもしれない。

――政治主導の政策決定がうまく機能していないのは、どこに問題があるのでしょうか。
各省庁の閣僚が創意工夫して政策を打ち出す中で、内閣としての方向性を示すのが本来の政治主導だが、官僚をしっかりと引っ張って議論を主導できる閣僚は多くない。官僚が書いたペーパーをそのまま読み上げるような閣僚が多いのが問題だ。

本家の再活用

明日香村にある岡本の本家が、村の商工会の力で再活用されることになりました。この建物については、「建て替えられる建物、3」で、紹介したことがあります。

広くて立派だったのですが、住む人がいなくなり、荒れてきました。いくつかの建物は取り壊しました。私の弟が、管理をしています。
明日香村商工会が、手を入れて活用してくださることになりました。現状が、ユーチューブ「(明日香村商工会)岡本邸プロジェクトVol.1」で紹介されています。

ドローンによる空撮が、インターネットで見ることができます。便利になったものです。上空から見ると、草木が茂ったこともあって、狭く感じますね。
広い庭と水車を回すための水路は、子どものころの遊び場でした。そこも草木が生い茂り、水を流していないので荒れています。

看板と学歴にこだわる

川北英隆・京都大学名誉教授のブログは、しばしば鋭いことが書かれていて、勉強しています。先生の趣味の山歩きも楽しみです。5月19日は「上場企業のメリットとは」でした。

・・・上場にこだわる企業があるそうだ。不思議だ。上場にこだわる企業はむしろダメ企業である。その典型例が東芝だった。それはともあれ、学生に人気のある職業は何か。上場しているかどうかではなく、自分自身の能力や夢に近いかどうかではないのか・・・
・・・そんな中、東京証券取引所の上場市場の再編時(プライムとスタンダードの区分時)に、「東証第一部に上場していると優秀な学生が集ってくる」と発言した企業経営者がいたらしい。本末転倒である。学生を馬鹿にしている。
非上場のサントリー、竹中工務店、YKKなどに失礼ではないか。もっというと、農業や漁業に従事する者にも失礼である・・・

でも、一番紹介したいのは、次のくだりです。
・・・アメリカの大学で学んだ友人が言うには、何々大学卒業とか、学士か修士か博士かという学位は、アメリカでは数年は保つけれど、その後は何の意味もないと。むしろ「昔は勉強したのやろけど、その割に今は怠け、アホになったやん」と、落差に感心されるだけだとか・・・

石原信雄さん追想録

日経新聞5月19日の夕刊追想録、「故・石原信雄さん(元内閣官房副長官) 官僚の矜持体現」に、私の発言が引用されています。

・・・国家運営を担う官僚の矜持を体現した存在だった。官僚トップの官房副長官として政治家に耳障りでも官僚としての正論を説く。政治が方向を判断すれば霞が関の声を踏まえバランスよくさばく。歴代首相は首相官邸の要として手放さず、支えた首相は7人を数えた。

「政治主導への過渡期という時代が石原さんを必要とした」。旧自治省で薫陶を受けた岡本全勝元復興次官はこうみる。
時は冷戦終結後、日本は市場開放や自衛隊の海外派遣など通商政策や外交安全保障政策の転換を迫られた。
今なら政治主導で決めることだが、当時の政治にその備えは十分でなく、石原氏は政治判断でも頼られた。湾岸戦争で米国に90億ドル拠出を求められた際は、海部俊樹首相に「やむを得ません」と決断を促し、小沢一郎自民党幹事長から了承を取り付けた・・・
追悼、石原信雄さん

「おもてなし」はもうおしまい

5月7日の朝日新聞グローブ278号「川口市 日本一外国人が多い街」、鈴木暁子記者の「「おもてなし」はもうおしまい」から。

・・・「おもてなしの国だからか、日本は外国人をお客さん扱いしようとしてしまう。外国人が活躍できる環境を整えることができずにきたことが川口の一番の課題です」と市協働推進課の竹内和寿が話していた。「短期滞在で来た人に心地よく住んでもらって帰すのではない。共生しないといけないのに共存レベルで終わっていた」

外国人は地域社会に貢献している。税金だって納めているし、日本人が就きたがらない仕事を担ってくれている。川口市の外国籍住民の年齢構成を見ると、働き盛りの20〜40代が約68%を占める。一方、日本国籍の住民では同年代は約38%しかいない。日本の将来は外国人抜きには成り立たない。

私が生まれた西川口の病院では今日も様々なルーツの子どもが生まれている。同郷の子どもたちが差別やつらい目にあうことなく、夢を持って育ってほしい。「異次元の少子化対策」に必要なのは、誰もが家族と安心して、生きがいを感じながら暮らすことのできる環境をこの国に作ることだ。「なにじん」かは関係ない・・・