川北英隆・京都大学名誉教授のブログ、5月18日の「日本的思考パターンへの苦言」から。詳しくは、原文をお読みください。
最近、1990年頃からの30年強の間、日本経済が何を考えてきたのかを、当時の指揮者であり識者だった人達にヒアリングしている。そこで分かってきたことが3つある。
1つは、90年以降の日本のバブル崩壊について、当時は何も知見がなかったことである。
2つに、日本の金融システムが揺らぐとは誰も考えなかったことである。政府の統制下にある金融というか銀行が不健全になるとは、想定外だった。
3つに、将来ビジョンを描く必要性である。
現実化したリスクに対処するには、リスクをある程度処理できたとして、その後にどのような世界を作ろうとするのか、そのイメージが明確でないと、リスクへの対処が行き当たりばったり、つまりパッチワークになる。この点は今の日本に一番欠けているというか、ほとんど誰も想定していないことではないのか。日本という経済社会の最大の抜けであり、課題である。