5月11日の朝日新聞「岸田官邸の実像」牧原出・東大教授の発言から。
――安倍政権では側近の「官邸官僚」が政策を強力に推し進めてきました。岸田政権の官邸と官僚の関係はどう変わりましたか。
安倍政権や菅政権と比べると、官邸主導で省庁にあれこれ指示して進める政策は少ないと思う。かといって、官僚が政策をどんどん打ち出していくかというと、そうはなっていない。
――なぜでしょうか。
旧民主党政権から安倍政権、菅政権に至るまで、官邸主導で官僚の頭を押さえつけるような時代が続いたことで、官僚側が自ら考え、政策の弾を込めていくというやり方を忘れてしまっているように思える。
また、官邸が省庁幹部の人事権を掌握しているから、官僚が官邸を飛び越えた政策を打ち出して、にらまれるのは怖い。なので、様子見をしているのかもしれない。
――政治主導の政策決定がうまく機能していないのは、どこに問題があるのでしょうか。
各省庁の閣僚が創意工夫して政策を打ち出す中で、内閣としての方向性を示すのが本来の政治主導だが、官僚をしっかりと引っ張って議論を主導できる閣僚は多くない。官僚が書いたペーパーをそのまま読み上げるような閣僚が多いのが問題だ。