広島市職員研修

今日5月31日は、広島市職員研修の講師に行ってきました。といっても、広島まで行かず、東京銀座の時事通信社です。そこで録画して、職員は後日にそれを見るという仕組みです。
久しぶりに広島に、それもG7サミットが開かれた広島市に行って、話の冒頭にその話題から入ろうと思ったのですが・・・。原爆ドームも見ず、お好み焼きも食べずに、話しました。

私は、目の前の聴衆の反応を見ながら話さないと、元気が出ません。会場に、広島市の東京事務所職員や、声をかけた政令指定都市の東京事務所の職員など20人あまりの人が座ってくれました。正面のカメラと、その人たちを見ながら、話をしました。

外国人目線で外国に売る

5月18日の朝日新聞経済欄「選んだスタートアップ:3 海外へ和菓子、感性を目利き」から。

・・・ 淡いピンク色の小包には、桜の花びらが大きく描かれている。開けると、老舗メーカーのかりんとうやどら焼きがぎっしり。アメや抹茶のティーバッグも添えられている。
日本の伝統的な和菓子などを海外に届ける定期便「SAKURACO(サクラコ)」の春シーズン商品。仕掛けたのはスタートアップ(新興企業)「ICHIGO(イチゴ)」(東京都)だ。
社長の近本あゆみさんは、外国人観光客が銀座で日本の菓子を「爆買い」する姿にヒントを得て、2015年に起業した。前職のリクルートでECサイトを立ち上げた経験を生かせると考えた。
海外のトレンドや国内の新商品に敏感に反応する、買い手を飽きさせないよう状況に応じて工夫を凝らす……小回りが利くスタートアップならではの強みを発揮した。
菓子のセットを毎日数千個、180カ国・地域に向けて発送している。コロナ禍での巣ごもり需要も追い風に、創業から6年で年商40億円に達した。

成長を優れた人材が支えている。
菓子は、日本人のバイヤー7人が目利きして国内各地から集める。老舗の和菓子から大手の定番スナック菓子まで目を配り、開発秘話や店の歴史を紹介する冊子も添える。バイヤーを採用する際は、過去の経験にとらわれず、新たに海外向け商品を開拓できるかを見極める。外国人が多数のチームになじめることも大切にしている。
買い手となる外国人の目線も重要だ。商品やウェブサイトの意匠は東南アジア系の社員らが担う。当初、日本人に頼んでいたデザインは、かわいらしい「少女マンガ風」(近本さん)で、海外の客には響かなかった。そこで思い切って外国人にデザインを託した。
作品には「すごい」「おいしい」といったシンプルな言葉が、ひらがなで大胆にあしらわれていた。近本さんは「これでいいのか」と半信半疑だったが、採用すると売り上げは一気に伸びた。
いま従業員100人のうち8割は外国人で、国籍は欧米や東南アジアなど様々だ。宣伝コピーや冊子の文章は、米国や英国、カナダ出身者ら英語が母語の社員が表現を工夫する。言い回しが不自然なだけで、興ざめしてしまう客もいるためだ・・・

一身にして二生を経る

「一身にして二生を経る」とは、 福沢諭吉の『文明論の概略』に出てくる言葉です。
一つの身体で二つの生涯を生きたということです。 福沢諭吉は、江戸と明治という二つの大きく異なった社会を生きました。
戦前と戦後を生きた人も、同様でしょう。天皇制・軍隊・家父長制の時代と、民主主義・戦争放棄・基本的人権の尊重の時代の二つを生きました。明治維新と敗戦は、革命的な転換でした。

さらに、私たちも二生を生きています。前二回と異なり、憲法は変わっていません。でも、昭和後期と平成・令和では社会の実態は大きく変わりました。
夫婦と子ども二人が標準家庭と言われましたが、今や最も多いのは一人暮らしです。夫は仕事に出かけ、妻は家庭を守るという役割分担も、過去のものとなりました。片働きより、共働きが多くなっています。
「日本とは日本語を話す日本人が暮らす国だ」というかつての通念は、農業、水産業、工事現場、コンビニ、飲食店などで多くの外国生まれの人が働くようになり、通用しなくなりました。

差別や人権侵害も大きく変わりました。私が就職した際の人権教育は、部落差別でした。現在では、女性(性犯罪・性暴力・DV・ハラスメント)、子ども(いじめ・体罰・児童虐待・性被害)、高齢者、障害のある人、性的マイノリティなどでも人権侵害が起きています「人権教育」。
女性に向かって「まだ結婚しないの」とか「子どもはまだですか」といった質問を、かつては平気で言っていました。
私にとって、また多くの昭和人間にとっては、これは革命的な変化です。その意識改革について行けない人もいます。その人たちが、職場でセクハラやパワハラを行います。

岸田首相は2月1日の衆議院予算委員会で、夫婦別姓や同性婚について「制度を改正するということになると、家族観や価値観、そして社会が変わってしまう課題なので、社会全体の雰囲気のありようにしっかり思いをめぐらせたうえで判断することが大事だ」と述べました。しかし、既に社会は大きく変わっています。

防衛議論

5月17日の朝日新聞オピニオン欄「生煮えの防衛論議」、黒江哲郎・元防衛事務次官の「国守る覚悟で、具体的な対案を」から。

――防衛論議が生煮えだと思いませんか。
「議論が深められたかといえば、必ずしも深められていないと思います。残念です」

――残念とは。
「国家安全保障戦略の見直しは、1年前に岸田文雄首相が明らかにしていて、国会議員もメディアもわかっていた話です。政府のヒアリングもあって、論点や意見が公表されています。反対なら反対で、考え方をまとめ、論拠を示して議論すればいい。それなのに、国会では『政府が何も答えない』というところで議論が止まっている。これは非常に残念です。この国際情勢でどうやって国を守るのか。具体的な対案を示さなければ議論が成り立ちません」

――対案を出す前提として、情報提供が不十分なのでは。
「私は十分だと思います。当然、秘密は出せませんが、公表できる情報は出しているし、説明もしている。そもそも野党の一部は、本格的な議論をする気がないんじゃないですか。質問だけして、『政府が悪い』という印象づけをしている。政策論議になっていません」

――賛否はともあれ、具体的な議論をしてほしい、と。
「防衛力強化への反対論には『では、どうするんですか』と聞いてみたいんです。かねて、日本の防衛論議は『分断』の典型で、交わらない前提で批判されることが多い。いくら説明しても聞いてもらえず、むなしくなります。防衛費も増やさず、反撃能力も持たずに、どうやって国を守るんですか。本当に対案があるなら、教えてほしい。きちんと論証し、議論を深めてもらいたいと思います」

職場の害虫とカビ

原発再稼働、組織風土を問題視」の続きにもなります。
職場の困りごとを議論していたときに、「害虫とカビ」という表現を教えてもらいました。指導者論や管理職の教科書には、部下を優秀に育てることは書かれているのですが、困った職員をどう扱うかについては記述が少ないです。でも、多くの上司は、それに困っています。研修でもあまり教えてもらえません。

で、「害虫とカビ」についてです。「2:6:2」の法則(仕事のできる職員、普通の職員、困った職員)は、『明るい公務員講座 管理職のオキテ』にも書きました。その困る職員と、困った職場についてです。
その中でも職場に悪影響を与える職員は、いわば害虫です。少々どぎつい表現ですが。害を与えないように指導する必要があり、場合によっては、「取り除く」必要があります。懲戒処分の対象です。

それに対し、特定の職員が悪いのではなく、職場の習慣が好ましくない場合があります。規律が緩んでいたり、規律違反が伝統になっているような職場です。職務怠慢、パワハラ・セクハラ、性能偽装、風通しのよくない関係・・・のような社風です。それを「職場にカビが生えている」と表現するのです。
「風通しがよい職場」とは、良く言ったものです。風通しのよい職場には、カビは生えません。
もっとよい表現があれば、教えてください。