「連載「公共を創る」第148回」(新しい課題と手法について、行政が対応に遅れ、非営利団体が先に取り組んでいます。彼らの感度の良さと熱意に、公務員は負けていないでしょうか)を読んだ官僚の一人から、次のような反応がありました。一部改変して紹介します。
確かに、この指摘の面もありますね。行政改革や歳出削減で、公務員に時間と予算の余裕がないことは連載第141回で指摘しました。
・・・NPOに負けていないか、という点は、残念ながらそのとおりだと感じました。
感度の良さ(悪さ)と熱意の高さ(低さ)の背景には、ご指摘のとおり、個々の公務員の余裕度(新たな仕事をこなす余地)に加え、公務員が自らの裁量で処分できるリソース(人員・資金)がほとんどない、という点があるのではないかと思います。
世の中に「やった方がいいこと」は満ちあふれていますが、「行政がやらねばならぬこと」に引き上げるには、高いハードルがあります。行政の公平性もその一つだと思っており、同じニーズを持つ人々のうち一部だけでもなんとかしてあげる、という発想は、NPOにはできても行政にはなかなか難しいように思います。
施策の継続性・一貫性も同様で、財源が足りなくなったからやめます、ということが難しい行政では、そもそも問題に手を付けること自体、慎重になりがちです。
個々の公務員の「やる気」「熱意」の問題のように捉えられがちですが、どの程度のリソースをどういう課題の解決に振り向けるのか、最終的にはそのリソースを税で負担してもらう(あるいは既存のサービスの廃止という形で負担してもらう)ことについての判断を誰がどのように行い、そのための住民・国民の理解をどのように得ていくのか、というところが課題なのかなあと感じました・・・