残念な雨の週末

昨日の土曜日、今日の日曜日と、東京は冷たい雨が降り続きました。桜の名所も、がっかりだったでしょうね。
先日、上野で懇談会があり、早く終わった(早く始めてもらった)ので、夜の上野公園の桜並木を見てきました。結構な人出でした。シートを開いての宴会は禁止されているので、歩いている人だけでしたが。
新型コロナ感染防止の行動制限も緩和され、桜も見頃で、春休みなのに。天候が相手なので、仕方ありませんが。国民の気持ちにも、経済にもよくないです。

肝冷斎は、金曜日は沖縄に、そして週末は野球にと、めげずに外出しているようです。新しいホームページも、見やすくなりました。

河北新報に載りました2

河北新報の記事の続きです。

3月22日「巨額国費、帰還は進まず<(中)際限なき除染>
「放射線量が高い帰還困難区域の一部を除染して解除する復興拠点制度の道を切り開いたのが、19年11月まで町長を務めた渡辺さんだ。福島復興再生特別措置法が17年5月に改正される1年数カ月前、「大川原はあくまで復興の前線基地。『本丸』は大野駅周辺だ」と国に新制度の検討を求めた。

当時の復興庁事務次官岡本全勝さん(68)は「放射線量の減衰が想定より早い『うれしい誤算』があり、国も提案に乗れた」。新制度ができれば面積の約96%が帰還困難区域の双葉町も希望が持てる。問題は除染費用の捻出だった。
東電は帰還困難区域の住民に、避難先への移住を前提に故郷喪失の慰謝料700万円や土地建物の財物被害、新居購入費の差額分など1世帯当たり数千万円から数億円を支払っていた。
他の避難指示区域と性格が異なり、「汚染者負担の原則」に基づき東電へ費用を求償するのは難しい。原子力政策を担う国の責務として税金投入を決めた。
復興拠点制度は自治体が居住目標人口などを盛り込んだ整備計画を認定する仕組みにした。国は私有財産に公的資金を投じないのが原則だ。「未解除区域の活用は街づくりに資する」(岡本さん)との立て付けにし、まとまった地域を国費で除染する方針を決めた。」

22日の記事では、次のような指摘もあります。
「17年12月以降、大熊を含む6町村で除染が始まった。関係者が安堵したのもつかの間、今度は復興拠点から外れた「白地」と呼ばれる地区の住民から「不公平だ」との声が漏れた。
原因の一つが国の被災者生活再建支援金。除染の際、家屋解体すると「自然災害由来の住家被害」(内閣府防災)とみなされ、最大300万円が支払われる。霞が関の元官僚は「本来原子力災害は適用外のはずだ。賠償金との二重取りではないか」と問題提起する。
高まる不満を受け、政府は白地地区を一定条件下で「特定帰還居住区域」とし23年度から国費除染することにした。内閣府の須藤治福島原子力事故処理調整総括官は「希望者を帰還させるのが居住人口を増やす一番の近道。国は努力を惜しむべきではない」と話す。
避難区域の全域除染について、20年10月まで飯舘村長を務めた菅野典雄さん(76)は「復興拠点に膨大な予算を投じた意味がなくなるし、拠点制度を考えた官僚らの努力も報われない」と否定的見解を示す。
「福島は賠償金で住まいを再建できた人が多い。津波で自宅も家族も失った岩手や宮城の人たちの心情を思えば、もっと頑張れる余地がある」と問いかける。」

会社による社会保障国家の限界

3月14日の朝日新聞夕刊、浜田陽太郎記者の「休職体験への指摘 「正社員」の私、分断を自問」から。

・・・やはり来たか――。予想はしていたが、グサッと刺さった。
「55歳の『逃げ恥』体験」という記事を、朝刊リライフ面で連載している。
「自分は会社で役立っていないのでは」と悩んだ私は「自己充実休職」という制度を使って1年間、九州・大分で過ごした。その体験を軸にした記事だ。デジタル版では昨年末、同じストーリーをより詳しく書き込んで配信している・・・
・・・「正直、共感するポイントを探すことが難しい」。私の記事にこんなコメントを寄せたのは、人類学者の磯野真穂さんだった。
任期無しの正社員に一度もなったことがない磯野さんにとって、落下しても「ふかふかの羽毛布団と高級マットレス」が待ち構えている人(つまり私)と、「冷たいコンクリート」がある人(任期付きで働く多くの非正規労働者)が存在することをあらわにされた気持ちはぬぐえないという厳しい「感想」だった。
ただし、磯野さんは、こうした思いを言葉に出すことの危うさへと論を進める。「あなたよりもっと大変な人がいる」という語り口を進めれば「不幸の総量」が発言力を決める事態に陥るからだ。個々人の感じる苦しさを重量のように比べる議論は分断しか生まない……。・・・

・・・ 最近、ある有識者から、子育てや住宅の分野で日本の社会保障が立ち遅れたのは「それはカイシャ(会社)が面倒をみるべきもの」という規範意識が岩盤のようにあるからだ、と指摘された。
カイシャが面倒をみるのは正社員のみ。その枠から漏れる非正規労働者には「冷たいコンクリート」しかない状況を変えるため、政府にお金を預け(税金を払い)、社会保障を充実すべきだとの主張はこの岩盤を崩せていない、という。
正社員にも切実な不安や苦しみはある。だが、その吐露を批判されるのは嫌。黙って岩盤を守っている方が得策。そんな気分が自分にないか、自問自答するところから始めている・・・

河北新報に載りました

3月21日河北新報1面連載「償いの実相 福島に投じた復興予算」に、私の発言が載りました。
ハコモノ乱立、投資か浪費か<(上)潤沢な財源>
「東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から12年が過ぎた。ハード事業がほぼ終了した岩手、宮城両県の復興予算は縮小する一方、福島県はいまだ肥大化している。避難指示が解除された地区にはハコモノが乱立し、帰還困難区域の国費除染は終わりが見えない。前例のない予算措置を、国の関係者は福島への「償い」と呼ぶ。住民帰還が頭打ちとなる中、巨額の税金をつぎ込むことに国民の理解は得られるのか。模索が続く現場の実情を報告する。(東京支社・桐生薫子)」

内容は記事を読んでいただくとして、私の発言は次のようなものです。
「元復興庁事務次官の岡本全勝さん(68)は福島の復興は経済合理性では計れないとし、「天災に見舞われた宮城、岩手は復興支援だが、福島は国としての『償い』だ」と説く。一方で「納税者の理解を得られる執行に努めなければならない」とも付け加える。」

19面では、原発被災地復興に投じられた経費が詳しく分析されています。「帰還整備費、膨らみ続ける」。よく調べてあります。
そこでは、帰還困難区域の4人世帯の賠償金額(平均)の内訳も載っています。精神的慰謝料と故郷喪失損害に7317万円、土地と建物の損害(全額賠償)に4933万円、避難先での住宅確保(損害賠償との差額)3115万円、家財の損害(全額賠償)783万円、田畑・山林の損害(全額賠償)1580万円です。