国土交通省国土政策局で研修講師

今日3月6日は、国土交通省国土政策局で、働き方改革の研修講師を務めてきました。
国土政策局の木村局長、佐藤総務課長は、復興庁で苦労させました。当時の木村班は苦労したこともあり、その後も同窓会が続いています。私も、呼んでもらっています。彼らからすると、苦労をさせた原因者ということでしょうか(苦笑)。今回の講演も、その恩返し、罪滅ぼしの一つです。

各職場で、働き方改革が進んでいます。ところが、労働時間短縮が目的になっているところもあるようです。
職員にとってよい職場とは、働きやすい=風通しのよい職場と、働きがいのある職場でしょう。上司にとっては、部下が気持ちよく働いて、よい成果を出してくれることが目標です。
無駄な残業を減らして、いかにして生産性を上げるか。そして、職員がやりがいを持てるか。これが、「よい職場」の目標です。

進化しすぎた技術に疲れる

2月22日の日経新聞夕刊コラム「あすへの話題」、松浦寿輝の「技術に疲れる」に、次のような話が載っています。

アメリカでは、スマートフォンに倦いた若者たちの間で、折りたたみ式携帯電話、フリップフォン、いわゆるガラケーがもてはやされているのだそうです。あまりに高度な機能がてんこ盛りのスマートフォンにうんざりして、たんに通話ができればそれで十分という「ミニマリズム」の生活感覚が、むしろおしゃれなのだそうです。

松浦先生は、次のように締めくくっておられます。
「機能が多ければ多いだけ、それをなんとか使いこなさなければと追い立てられる気持ちになるのは人情である。進化しすぎたテクノロジーに遮二無二追いつこうと走りつづけることに、われわれはどうやら疲れはじめているようである」

ふくしま復興とSDGsを考える県民シンポジウム

今日3月5日は、「ふくしま復興とSDGsを考える県民シンポジウム」に出席するため、福島県いわき市まで行ってきました。会場は、参加者で満員でした。「福島中央テレビニュース

今年は、復興とSDGsの両方が主題になっています。「ふくしまSDGsアワード」に応募した29団体から、3団体を表彰しました。私も審査に参画したのですが、それぞれに、熱意と工夫の入った取り組みです。
福島中央テレビの取り組みは、地元ニュース番組内の「ブンケン歩いてごみ拾いの旅」で、県出身の俳優が住民と一緒にごみを拾う姿を放送しています。約3年間、毎週放送されています。地域の問題を取り上げ、住民もその活動がテレビに映る、そして社会に貢献するという、素晴らしい企画です。

SDGsの取り組みは、役所が提供するサービスではなく、住民が取り組まなければなりません。住民は客体から、主体になるのです。「行政は何かしてくれるもの」という意識に慣れた戦後日本社会では、大きな転換です。そこに、難しさがあります。
ふくしまSDGs推進プラットフォーム ポータルサイト

西尾勝先生、お別れ会

今日4日は、西尾勝先生のお別れ会に行ってきました。西尾先生は行政学の泰斗。大学時代の恩師で、ゼミにも入れてもらいました。卒業後も、仕事や放課後にお世話になりました。

このページにも書きましたが、当時20歳だった私は、先生を見て「遠くの山」「とても登ることのできない、絶壁の高山」と思いました。当時、西尾先生は37歳でした。37歳になったときに、我が身の至らなさを反省しました。
西尾勝先生、分権改革の整理」「西尾勝先生の時代の証言者

近代化で受けた心の傷

2月18日の朝日新聞読書欄、モリス・バーマン著『神経症的な美しさ アウトサイダーがみた日本』(2022年、慶應義塾大学出版会)についての、磯野真穂さんの書評「急速な近代化がもたらす後遺症」から。

・・・本書前半の一節が甦った。
「(あらゆる先進国が)中世から近代への移行によって受けた傷は精神的・心理的なもので、現実の始原的な層(レイヤー)を押しつぶし、そこに代償満足を補塡した――実に惨めな失敗に終わったプロセスである(略)そこには、実存ないしは身体に根ざす意味の欠如がつきまとっている」
・・・
著者は日本を先進国への移行過程で最も傷を負った国であるとする。英国が200年かけた近代化を、日本は20年ほどで成し遂げねばならなかったからだ。古来より受け継がれた暮らしのあり方を捨て、西洋を模倣し続けた日本人。その精神は西洋への憧憬と、心の核を求める煩悶の間で分裂し、虚無に泳いだ。これはあらゆる先進国が抱える問題であるが、日本はその速度ゆえ、後遺症が神経症レベルで現れ続けていると著者は分析する・・・