原稿執筆。気分が乗るとき、ひらめくとき

若いときは、いつでもどこでも原稿を書くことができました。馬力があったということでしょう。新幹線の中や帰宅の電車でも座れたときに、鞄の上に原稿用紙を広げたりパソコンを出して加筆しました。締め切りが迫っていたという事情もあったのでしょうね。だんだんと、場所と時間を選ぶようになりました。というか、気分が乗らないと、書けなくなりました。

ところが、ひょんな時に、書こうという気になることがあります。
先日も、異業種交流会の帰り道に、頭がさえてひらめきました。地下鉄に座ることができたので、原稿を取り出し、赤のボールペンで思いついたことをメモ書きしました。しかも、降りる駅を乗り越すぐらい、熱中していたのです。
翌朝に見ると、そのメモ書きが理解できました。早速、文章にして加筆しました。

不思議ですねえ。深酒をすると、いろいろ思いつくことがありますが、酔いが覚めると、ほぼ使い物になりません。その日は、適度に酔っていたのでしょう。

スポーツ選手、身体能力と考える力

2月10日の朝日新聞オピニオン欄、大渕隆・日本ハムファイターズGM補佐兼スカウト部長へのインタビュー「若者の才能、見逃さない」から。

「大谷選手は高校時代、監督の指導ですでに自分を成長させる手法を会得していました。本を読むとか、短・中・長期で目標を立てるとか。こうした、その後にずっと生きてくる『自ら考える力』を選手が持っているかどうかは、スカウトする上で重視しています」
「日本IBMで7年勤めた経験があり、選手をコンピューターになぞらえることがあります。『ハード』が身体能力や技術だとすれば、『OS(基本ソフト)』は考える力や性格。ハードが多少劣っても、OSがウィンドウズ3か10かでは全く違う。野球は相手のいるゲーム。トレーニングはもちろん、色んな情報を解析してアウトプットするスポーツなので、よりOSが重要です。プロ野球の1軍、あるいは大リーグというソフトを回せるかもOS次第です」

――選手の「OS」は、どう見極めているのですか。
「先輩から『スカウティングは、最後は目に見えないものが大事だ』と教わりました。球速や身体能力など、見えるデータは評価の確認には使えますが、そこを重視しすぎるとうまくいかないことが多いです。大事なのは数字にはならない、考える力や強い思いといった『見えないもの』で、そこに焦点をあてなければ我々の仕事の意味はないと思います」
「人間と人間なので、伝わってくる第一印象を大事にします。企業の人は『20分の採用面接では何も分からない』と言いますが、むしろ1回の方がいいこともあります。あとは、ピンチになった時にその人の本質が出やすいですね。ユニホームの着こなしやグラブの手入れ、野球ノートの書き方なども材料にはなります」

 ――「OS」は、アップデートしていく必要もありそうです。
「新人選手の入団時、『君の最高のコーチは、自分自身だ。自分の中に、最高のコーチを育てられるかがとても重要だ』と伝えています。選手は大人の指示や命令で活躍しても、長続きはしません。ゴールを設定し、自分で計画し練習する必要があります。そのとき『最高のコーチ』の知識やレベルが低くては、選手は成長しないと考えています」
「だから選手は、プレー以外の面でも自己研鑽を積んでほしいです。最近の子は素直で真面目な分、言われるがままに練習しがちな傾向もありますが、情報を収集する能力は高く、デジタル世代ならではのアイデアを持っています」

防衛費と子ども予算、増額は賛成、負担増は分かれる

NHKの世論調査(2月13日)に、興味深い結果が出ていました。

新年度・2023年度から5年間の防衛費の総額を今の1.6倍にあたる、およそ43兆円とする政府の方針について賛否を聞いたところ、「賛成」が40%、「反対」が40%でした。増額する防衛費の財源の一部を確保するため、増税を実施する政府の方針については、「賛成」が23%、「反対」が64%でした。

少子化対策をめぐり、岸田総理大臣は子ども予算を将来的に倍増する方針です。この賛否を尋ねたところ、「賛成」が69%、「反対」が17%でした。子ども予算を増額するため、国民の負担が増えることについては、「負担が増えるのはやむをえない」が55%、「負担を増やすべきではない」が35%でした。

ご不快構文

2月6日の日経新聞夕刊「令和なコトバ」は「ご不快構文 それ、謝る気ないですよね?」でした。
ちまたにあふれる○○構文の中でも、断然感じが悪いのが「ご不快構文」だそうです。企業や政治家などが不祥事を起こしたときやりがちな、「ご不快な思いをさせて申し訳ありません」という決まり文句を使った謝罪文のことです。

・・・公認心理師で臨床心理士の信田さよ子さんも昨年、複数の相手から、まったく同じこのフレーズを使った謝罪メールを受け取った。「相手が不快に思ったから謝るのではなく、やった行為について謝罪するのが本来の謝罪。自分のやったことを記さない謝罪文はありえないとツイートすると、たくさんの共感の声が届きました」

信田さんはDVの加害者が二度とDVをしないためのプログラムなども手がける。同じ過ちを繰り返さないためのポイントがあるという。①謝り償う②何をやったかを認める③再発防止を誓う――という3つだ。
「『ご不快な思いをさせて……』メールには、②のアカウンタビリティー(説明責任)が抜けている。謝罪は、相手がどう思ったかではなく、自分が何をしたかに軸足を置くべきなんです」・・・

・・・ちなみに英語でご不快構文に近い言葉は、Non-Apology Apology(謝罪でない謝罪、謝罪風の謝罪)。ご不快構文同様、「もし私の言葉があなたを傷つけたなら謝ります」というように、相手に責を負わせるタイプの謝罪を意味する「イフポロジー(If+Apology)」という造語もあり、謝罪でない謝罪の好例として紹介される・・・

がんは治る、ピンピンコロリ型の病気

2月1日の日経新聞夕刊、中川恵一・東京大学特任教授の連載「がん社会を診る」は、「病院嫌いにも、検診のすすめ」でした。
かつては、がんは怖い病気でしたが、大きく変わりました。

・・・がんによる死の最大の特徴は「死が予見される」こと。治らないとわかっても、年単位の猶予があり、比較的長い間、身体の機能は保たれ、最後の数週くらいで急速に悪化する経過をとります。つまり、痛みなどの症状をとって、うまくつきあえば、がんも「ピンピンコロリ型」の病気になるわけです・・・

・・・がんの場合、わずかでも症状が出たら、ほとんどの場合、進行がんか末期がんです。だからこそ、がん検診を受けて、無症状のうちに早期発見することが大切なのです。早期発見できれば、がんの95%近くは治ります・・・