肝冷斎、新しいサイト

肝冷斎のブログが、閲覧できなくなっています。隠遁したのかと思ったら、新しいサイトを立ち上げたようです。サイトは「肝冷庵」ですが、題名は「肝冷斎雑記」になってます。

苦労しているようで、変なページが出てきます。本文の前に余計な目次が現れたり、意味不明な空白が大きかったり・・・。
なので、「このページはおかしい」と思っても、もっと下を見てください。本文が現れます。そのうちに、見やすくなるでしょう。

目次のページもでき、観タマ、現地調査、そして古典漢文解説が、並んでいます。漢文解説は、相変わらず難しい話が、毎日更新されています。
ホームページを作成できない間、はどうしていたのだろうと心配していましたが、ちゃんと関東平野を走り回っていたようです。プロ野球オープン戦が始まるので、観タマも期待しましょう。

ホームページのソフトは、私と同じWord Pressを使っています。私は、松島社長にすべてを用意してもらい、文章を書くだけで掲載されるようにしてもらいました。なので、肝冷斎の苦労がわかりません。

デジタル技術を活用した労災防止

2月16日の読売新聞夕刊に「建設業労災 DXで防げ AI危険予測やVR研修」が載っていました。

・・・労働災害による死者が業種別最多の建設現場で、デジタル技術を活用した安全対策を導入する動きが広がっている。人工知能(AI)が危険を予測するシステムや仮想現実(VR)技術を応用した安全研修などを取り入れ、作業員の安全向上につなげる企業も出始めた。厚生労働省も活用を積極的に後押しする。

清水建設(東京)は、人と重機の接触を防ぐシステムの開発を進めている。重機に取り付けたカメラ画像をAIが解析し、人が重機に近づくと警報音が鳴るシステムだ。
AIが人を認識するのに学習させたのは、人体の全身骨格。体の一部が積まれた資材に隠れていたり、かがんでいたりしても検知できる。現在、トンネル掘削現場などで実証実験を重ねており、危険を検知すると重機が自動で止まるシステムの搭載を目指す。・・・

・・・厚労省労働基準局の美濃芳郎・安全衛生部長は「デジタル技術の活用で現場の安全対策だけでなく無人化など作業の効率化も進めば、労働災害のリスクや労働時間を減らすことができ、従業員の職場定着にもつながる。新技術の研究開発や企業への導入を促す取り組みを進め、業界の魅力を高めていきたい」と話している・・・

近藤和彦先生「『歴史とは何か』の人びと」

近藤和彦先生が、岩波書店のPR誌『図書』に、「『歴史とは何か」の人びと』」を連載しておられます。2月号は、「R・H・トーニと社会経済史」です。
9月号トリニティ学寮のE・H・カー 、10月号謎のアクトン、11月号ホウィグ史家トレヴェリアン、12月号アイデンティティを渇望したネイミア、1月号トインビーと国際問題研究所。

これは面白いです。20世紀前半のイギリス歴史学を担った人たちの「肖像画」「舞台裏」です。学者は書き上げた論文で評価されますが、それは機械が作るのではなく、血の通った人間が作るものです。彼らが置かれた環境、育った経歴、意図したところが、論文を作り上げます。新しい歴史学を作った人たち、新しい見方を作った人たちには、もちろん時代背景もありますが、それだけではなく、それを生み出す個人的な背景があります。人間くささが、私たちを引きつけます。

雑誌『図書』は、1冊100円、年間1000円で、ほかにも興味深い文章を読むことができます。大きな本屋では、ただでもらえます。お得です。
近藤和彦訳『歴史とは何か』

学ぶべき既存知識の増加が技術革新を阻む

2月16日の日経新聞経済教室「イノベーション起こすには」、リー・ブランステッター カーネギーメロン大学教授の「能力開発・国家間協力が必須」に、次のような記述があります。

第二次世界大戦後、科学技術の飛躍的進歩とともに、経済も成長しました。ところが、1970年代以降、成長は減速します。今後、技術革新は難しくなるとの見立てがあります。
それは、「知識の負荷」が増えているからです。知識のフロンティアを進めるためには、まず既存の知識を習得しなければなりません。しかし、既存知識はどんどん増えて、個人一人ではすべてを習得することが難しくなったのです。

学校でもそうですよね。私が学生だった頃に比べて、地学ではプレートテクトニクス論が、生物では分子生物学などが「追加」されました。少し異なりますが、管理職の必須知識も増えました。

「平成の地方制度改正をひもとく」

月刊『地方自治』2023年1月号から、山﨑重孝・元自治行政局長を中心とした座談会「平成の地方制度改正をひもとく」が始まっています。
戦後改革で地方自治が制度化されました。その後、安定した時代に入り、地方自治法は大きな改変がありませんでした。それが、平成に入って、さまざまな改正が試みられ、その延長線に分権改革が行われました。

私は若い頃、自治省財政局で交付税法の改正を毎年やっていたので、行政局が法律改正をしないことを「批判」していました。一方で、地方自治法の逐条解説はどんどん立派になるので、「法改正でなく、逐条解説ですませているのではないか」とです。
もっとも交付税法改正も、制度を大きく変えるのではなく、数字の更新と小さな改正でした。自治法にしろ交付税法にしろ、よくできていた法律なので、基本的な改正は不要だったともいえます。

どのようにして、動かない法制度を変えていったか。関係者の思いと苦労が書かれています。これは、勉強になります。