連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第143回「「新しい課題」への対処法」が、発行されました。
社会に新しい課題が次々と生まれているのに、行政の対応が必ずしも積極的でないことを議論しています。かつては縄張り争いをするくらい、積極的に新しい分野に取り組んだのに、なぜ消極的になったように見えるのか。
一つは、官僚主導から政治主導への転換がまだ安定しておらず、政治家と官僚との役割分担がうまく機能していないようです。官僚たちが、上司である政治家の指示待ちになったのです。
また、新しい政策が官邸から発信されるのですが、各省大臣からの発信が少なくなったように見えます。
政策には、大きなものから小さなものまで、さまざまなものがあります。すべてを官邸が抱えると、首相だけでなく内閣官房も機能不全になるでしょう。
日本の行政、官僚に求められているのは、国内で生まれている課題を拾い上げ、政策にすることです。かつての「追いつき型・制度輸入」手法ではなく、「国内の問題を拾い上げ、対策を考える」手法への転換です。
アメリカの社会学者C・ライト・ミルズの「社会学的想像力」という考え方を紹介しておきました。