コメントライナー寄稿第8回

時事通信社「コメントライナー」への寄稿、第8回「それは首相に質問すること?」が、12月27日に配信されました。
今回は、10月の国会での、岸田文雄首相の答弁を取り上げました。宗教法人法第81条に定める宗教法人への解散命令について問われた首相が、1日で解釈を変更したことが話題になりました。しかし、首相はこのような個別の条文解釈を自分で考えたのではなく、事務方の用意した答弁案に沿って答えたのでしょう。

各法律は各省大臣が所管しています。細かい条文解釈は各省の担当者に聞けば正確に答弁します。大臣に聞くならその運用のあり方であり、首相にはそれを踏まえて大臣にどのような指示をするかという方針を問うべきでしょう。失礼ながら、この法律解釈を巡るやりとりは、国会の機能からみて「少し変だよ」と思わざるを得ませんでした。
官僚として、首相や大臣の答弁を補佐する仕事を続けて来ました。その経験からみて、国会質疑は政治家同士のやりとりの場であり、事務的な内容なら政府参考人から答えた方がいいものも多々あります。

あわせて、信教の自由をどのように議論するかについて述べました。国民の思想や世界観に関わる問題で意見の相違がある場合に、それを統合するのは国会の役割です。それは、既定の法律の解釈を確定するということではなく、問題となっている事柄に対して国家や社会がどう対処すべきなのかについての合意形成です。これは明らかに政治の出番です。その例として、脳死を例に出しました。

この冬も元気な肝冷斎

野球観戦がなくなって困っているだろう、肝冷斎。どうしてどうして、古典漢文解説だけでなく、野外活動にも精を出しているようです。
この日曜日は茅ヶ崎、先週末は沖縄遠征。その前の週は大船と外房へと、飛行機や車を使って走り回っているようです。

ワクチンを打って副反応が出るようでは、仙人になるには、まだ遠い。

年賀状書き

年末恒例の行事である年賀状書き。すべて書き終えて、今朝、最後の分を投函しました。郵便屋さん、よろしくお願いします。これなら、元旦に届くでしょう。
今年も、ある程度の枚数で、勘弁してもらいます。毎年たくさんいただいていながら、すべての方に返事を書かず、申し訳ありません。かつて千枚以上書いていた頃は、これが苦行だったのです。枚数を減らしてからは、修行に変わりはありませんが、さほどの苦労ではなくなりました。

宛名書きの際に、送る方の顔を思い出しながら書くのですが、なぜか連想で、その人の周囲にいた人で年賀状を出さなくなった人を思い出します。亡くなった方や、縁遠くなって年賀状の交換をやめた人です。
若い頃に一緒に仕事をした人は、ほとんどの人が私より年上だったので、亡くなった方も多いです。お世話になったことや、一緒に仕事をしたこと、遊んだことなどを思い出します。年賀状書きは、そのような回想の時間でした。

ビッグマック指数2022年、41番目

12月18日の朝日新聞別刷りGLOBEは「物価のなぞ」でした。そこに、ビッグマック指数がグラフになって載っています。イギリスの経済誌「エコノミスト」が1986年から発表しています。
私は日本の現状を話す際に、この指標をその一つとして使っています。

2022年7月の調査では、日本では390円、2.38ドルで、世界53カ国中41番目です。ヨーロッパ各国はもちろん、中国、韓国、タイ、ベトナムより安いのです。
アメリカでは5.15ドル、710円。ロンドンでは4.42ドルです。肉、小麦粉、レタスの原材料費に大きな差がないとすると、労働費が低いのでしょう。
2004年では世界で5番目でした。この10年で急速に貧しくなったようです。

予定と振り返り

手帳と日記帳はよく似ていますが、手帳は予定を書くもので、日記は終わったことを書きます。
多くの人は手帳を持っていても、日記帳をつけていることは少ないのではないでしょうか。手帳には予定を書き込み、しばしば確認しますが、過ぎたことを振り返ることはあまりしませんよね。

毎日忙しい生活をしていると、充実はしているのですが、記憶に残らない時間が過ぎていきます。仕事などの経験や失敗は、そのつど記憶に残るのですが、人生とその意味は自分で考えないと、何も残さずに過ぎてしまいます。
予定を手帳に書くことは時間を埋めることであっても、その意味は書かれません。日記帳に出来事を書いただけでは、同じです。ただし日記帳は、出来事とともに考えたことを書くと、振り返ることができます。歴史学で年表を見ても、その時代の出来事はわかっても、その時代の意味が読めないことと同じです。「年代記と歴史学との違い

「酔生夢死」という言葉を、中学で先生に教えてもらいました。社会人になってから、自分の人生、生活に意義を見いだそうと考えてきました。
時には生活を振り返って、自分の暮らしに「意義」を見いだしたいものです。仕事、家族、趣味、勉強、小さな親切や人の役に立ったこと・・・。
毎日行うことは無理です。1年は、ちょうどよい区切りです。今年は何をしたか、年末はそれを振り返る良い機会です。そう思って、このホームページでは、年末に3回に分けて我が一年を振り返っています。そんなにたいしたことはやっていないのですが、「今年はこんな年だった」と思うことに価値があると思います。