足立区立郷土博物館「琳派の花園 あだち」を紹介します。新聞で取り上げていたので、行ってきました。琳派と足立区とは、どのようなつながりか。多くの人は不思議に思うでしょう。私もそうでした。
江戸後期に、琳派の絵師たちが現在の足立区で活躍したのです。そして、千住の有力町人たちが、その絵を買い求めました。それが、区内の住宅に残されているのです。個人が所蔵して楽しんだ物なので、小ぶりな物が多いですが、なかなか立派な作品が並んでいます。
絵画というと、王侯貴族や豪商が支援者となって所有した、それが美術館に納められていると思ってしまいます。しかし日本でも、藩主や有力武士、豪商だけでなく、有力町民や農家も支援者となり所有者だったのです。
明治以降、伝統文化を捨て、欧米文化に傾倒したこともあって、日本美術は正当な評価を受けてこなかったようです。その後、日本美術が再評価され、神社仏閣に保管されていた美術品は鑑賞の対象となりましたが、個人蔵の美術品は日が当たりませんでした。「お宝探偵団」が、それに日を当てました。
足立区の個人宅に残された名品が、このような形で展示されるのは、素晴らしいことですね。関東大震災と太平洋戦争の空襲がなければ、もっとたくさん残されたのでしょうが。
各地の小京都と呼ばれる地方都市でも、祭りの際に展示されることもあります。各地でさまざまな催しがなされることを期待します。